年間の全体像
オリーブの一年は、春に剪定と土作り、初夏に開花と受粉、夏に実を太らせ、秋に収穫という流れです。作業の数は多くありませんが、剪定と受粉の時期を外すとその年の実に直結します。関東平野部の露地を基準に月ごとの作業を並べます。
月はあくまで目安です。実際は木の姿で決めます。剪定は寒さが緩んだのを確かめてから、受粉は花が開いたのを見てから、収穫は実の色を触って確かめてから、と覚えておくと暦とずれた年でも迷いません。
| 月 | 主な作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 12月〜1月 | 寒風よけ、鉢植えの水控え | 葉が丸まり始めたら風よけ |
| 2月〜3月 | 剪定、元肥、苦土石灰、植え付け | 厳寒期を過ぎ芽が膨らむ前 |
| 4月 | 植え付けの最終期、ひこばえ取り | 新芽が伸び始めたら |
| 5月下旬〜6月上旬 | 開花、受粉の補助 | 白い小花が開いたら |
| 6月下旬〜7月 | 追肥、徒長枝の整理、水やり | 実が米粒大になったら |
| 8月〜9月 | 水やり、ハマキムシ確認 | 実が親指の爪ほどになったら |
| 10月〜11月 | 収穫、礼肥 | 実が緑から紫に変わり始めたら |
寒冷地は各作業を二から三週間遅らせ、暖地は剪定を一か月早められます。
冬 12月から2月
常緑なので葉は残りますが、生育はほぼ止まっています。作業は少なく、寒風で葉を傷めないことと、鉢植えの水を控えることが中心です。2月中旬からは剪定の準備に入り、木を一周して残す枝を決めておきます。
- 寒風から守る
- 北風の当たる若木は幹に麻布を巻き、鉢植えは南向きの壁ぎわか軒下に移します。葉が内側に丸まっていたら寒さのサインです。
- 水は控えめに
- 鉢植えは一週間から十日に一回、暖かい日の午前中に与えます。夕方の水やりは夜の凍結で根を傷めます。
- 残す枝に印を付ける
- 2月に入ったら、前年に伸びた鉛筆ほどの太さの枝にひもで印を付けておきます。剪定のとき迷わず残せます。
雪が積もったら枝から落とします。常緑の葉に雪がたまると重みで枝が裂けます。
春 3月から5月
剪定と土作りをまとめて行う季節です。石灰と肥料は二週間ずらして入れます。4月には新芽が伸び始めるので、ひこばえと内向きの芽を早めに整理し、5月下旬の開花に備えます。
| 月 | 作業 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 3月上旬 | 剪定と苦土石灰 | 厳しい寒さが終わったのを確かめてから |
| 3月中旬〜4月 | 元肥、植え付け、植え替え | 石灰から二週間あけて肥料 |
| 4月 | ひこばえと内向きの芽の整理 | 芽が3センチになったころ |
| 5月 | 水やり開始、受粉樹の位置確認 | 花芽のふくらみが見えたら |
植え替えは鉢植えなら二年に一回、3月から4月に行います。根鉢の外側を三分の一ほど崩して新しい用土に替えます。
初夏 5月下旬から7月
5月下旬から6月上旬に白い小さな花が房になって咲きます。花期は一週間ほどと短く、この間に受粉が済むかどうかでその年の実が決まります。雨が続くと花粉が流れるので、鉢植えは軒下に移します。実が付いたら追肥(育ちの途中で足す肥料)と水やりに切り替えます。
- 開花中は枝を揺する
- 晴れた日の午前中に、二本の木の枝を軽く揺すって花粉を飛ばします。筆で花をなでて花粉を移す方法も効きます。
- 六月下旬に追肥
- 実が米粒ほどになったら化成肥料を一握り、株元から離してまきます。鉢植えは緩効性の粒を表土に置きます。
- 徒長枝を折り取る
- 真上に伸びる勢いのよい枝は、30センチになる前に手で折り取ります。実の付いた枝には触りません。
花が咲いても実がほとんど付かない年は、受粉樹の開花がずれた可能性があります。二本の開花日を記録しておくと翌年の判断に使えます。
夏から秋 8月から11月
夏は実を太らせる時期で、鉢植えの水切れが最大の敵です。9月にハマキムシの食害が増えるので葉を見回ります。10月に実が緑から紫に色づき始めたら収穫期で、用途に合わせて採る時期を変えます。収穫後は礼肥を少量与えて木を休ませます。
| 月 | 作業 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 8月 | 朝夕の水やり確認、日よけ | 葉が丸まり始めたら水不足 |
| 9月 | ハマキムシ、スズメガの見回り | 葉が巻かれたり食われた跡を見て |
| 10月 | 緑の実の収穫、塩漬け用 | 実が親指の爪より大きくつやが出たら |
| 11月 | 黒く熟した実の収穫、礼肥 | 実の八割が紫から黒になったら |
収穫が終わったら混み合った枝を軽く抜いて風を通します。本格的な剪定は翌春まで待ちます。
やり損ねた月の立て直し方
作業を一つ飛ばしても木は枯れません。ただし影響の出る場所が決まっているので、何を飛ばしたかを確かめ、今からできる手当てとその年はあきらめる部分を切り分けて判断します。
| やり損ねた作業 | 起きること | 立て直し |
|---|---|---|
| 春の剪定 | 枝が混んで内側が日陰になる | 6月に徒長枝とひこばえだけ整理し、翌春に本格的に切る |
| 石灰 | 新しい葉が黄色く小さい | 5月までなら有機石灰を少量まく。以降は翌冬 |
| 受粉の補助 | 花は咲いたが実が付かない | その年はあきらめ、翌年の開花日を記録する |
| 夏の水やり | 葉が落ち実がしぼむ | 残った実を優先し、翌年は表土を覆う |
| 収穫 | 実が落ちて翌年の花芽が減る | 落ちた実を拾い、翌春は実の枝を切り戻す |
二年続けて剪定を飛ばすと内部が枯れ上がり、回復に三年かかります。切る量が分からなくても、混んだ枝を抜くだけは毎春続けます。
オリーブの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
オリーブの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はオリーブの育て方にまとめています。
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