地域と目的で品種を決める
オレンジと呼ばれる柑橘には、へそのあるネーブル、赤い果肉のブラッドオレンジ、初夏に採るバレンシア、ミカンとの交配種の清見などがあります。耐寒性はどれもウンシュウミカンより弱く、目安として氷点下三度を下回る夜が続く地域では地植えが難しくなります。庭の冬の最低気温と収穫したい時期を照らして選びます。
関東平野部なら日当たりのよい南向きの壁ぎわで、ネーブルか清見が現実的です。ブラッドオレンジは色づきに冬の低温が要りますが寒さに弱いので、鉢植えで冬は軒下に入れる前提で育てます。バレンシアは翌年の初夏まで木に付けておくため、冬の寒さで実が落ちやすく、関東の露地には向きません。
| 品種 | 収穫時期 | 向く育て方 |
|---|---|---|
| ワシントンネーブル | 12月〜1月 | 関東の南向きの庭なら地植え可。一本で実が付く |
| 清見 | 2月〜3月 | 寒さにやや強い。地植え向き。実が大きく甘い |
| タロッコ(ブラッドオレンジ) | 2月〜3月 | 鉢植えで冬は軒下へ。果肉の赤みは寒さで出る |
| バレンシア | 5月〜6月 | 暖地の地植え向き。関東では鉢植えで室内越冬 |
オレンジはほとんどの品種が一本で実を付けます。受粉樹はいりませんが、日当たりだけは譲れません。
植え付けは3月下旬から4月
柑橘は常緑樹なので、落葉果樹のように冬に植えると根が動かず、寒さで葉を落とします。新しい根が伸び始める3月下旬から4月中旬が植え付けの適期です。秋に苗を買ったら、鉢のまま軒下で冬を越させ、春に植えます。夏の植え付けは水切れで枯れやすいので避けます。
- 苗は葉の色で選ぶ
- 葉が濃い緑でつやがあり、幹がまっすぐで接ぎ木部がしっかりふさがっている苗を選びます。葉が黄色い苗は根が傷んでいることが多く、回復に時間がかかります。
- 根鉢は軽くほぐす
- 鉢から抜いて、底で巻いた根だけを手でほぐします。柑橘の根は切られると弱るので、落葉果樹のように大きく崩しません。
- 接ぎ木部は土の上に
- 接ぎ木部が地面より上に出る高さで植えます。埋めると台木のカラタチから芽が出て、とげのある実の付かない枝に養分を取られます。
冬の風が当たらない場所を選ぶ
オレンジは日当たりと、冬の北風が当たらないことの両方が必要です。南向きの建物の壁ぎわは昼に暖まった壁が夜に熱を放ち、周囲より二度ほど暖かくなります。北側や風の通り道は、夏は育っても冬に葉が落ちて実が付きません。水はけも重要で、根が長く水に浸かると葉が黄色くなります。
| 場所 | 向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 南向きの壁ぎわ | 最適 | 日当たりと放射熱で冬の冷え込みが和らぐ |
| 南向きで周囲が開けている | 向く | 日当たりは良いが北風対策に寒冷紗を張る |
| 東向きで午後は日陰 | やや不向き | 実は付くが甘みが乗りにくい |
| 北向きか風の通り道 | 不向き | 冬に落葉して翌年の実が付かない |
地植えの手順
植え穴は直径50センチ、深さ40センチが目安です。柑橘の根は浅く広がるので、深く掘るより広めに掘って周囲の土をやわらかくします。掘り上げた土に腐葉土と堆肥を混ぜ、元肥(植える前に土へ入れておく肥料)は根に触れない位置に入れます。
- 広めに穴を掘る
- 直径50センチ、深さ40センチの穴を掘り、掘った土に腐葉土を三割混ぜます。穴の底に緩効性の肥料を一握り置き、上に土をかぶせて根に直接触れないようにします。
- 浅く植えて水鉢を作る
- 根鉢の上面が地面と同じか少し高くなるよう置き、土を戻します。株の周りに土手を作って水鉢にし、たっぷり水を注ぎます。
- 支柱を立てて葉を減らす
- 風で根が動かないよう支柱を立てて結びます。葉が多い苗は三分の一ほど葉を落とし、蒸散を減らして根付きを助けます。
- 株元にわらを敷く
- 根が浅いので乾燥に弱く、株元にわらや腐葉土を敷いて土の乾きを抑えます。夏までは週に一回はたっぷり水を与えます。
鉢植えの手順
関東で確実に収穫するなら鉢植えのほうが失敗が少ないです。冬は軒下や玄関に移せるので、寒さで葉を落とす心配が減ります。八号から十号の深鉢に、赤玉土と腐葉土を混ぜた水はけのよい用土で植えます。二年ごとの植え替えで根を若返らせると、十年以上実を採れます。
- 深鉢と鉢底石
- 八号以上の深鉢に鉢底石を三センチ敷きます。柑橘は根が長く伸びるので、浅い鉢では夏に水切れします。
- 赤玉土七に腐葉土三
- 赤玉土の中粒七、腐葉土三の割合で混ぜ、緩効性の肥料を少量加えます。市販の柑橘用や果樹用の土でも構いません。
- 植えたら二週間は日陰
- 植え付け直後は明るい日陰に置き、根付いたら日なたに出します。いきなり直射に当てると葉が丸まります。
鉢植えは実を付けすぎると翌年に響きます。八号鉢なら三個から五個、十号鉢なら十個までが目安です。
根付かないときの切り分け
植えて一か月たっても新芽が動かない、葉が黄色くなって落ちるときは、まず土の湿り具合と葉の落ち方を見て原因を切り分けます。柑橘は根の傷みが葉に出るまで時間がかかるので、症状が出てから慌てず、水やりと置き場所を見直してから判断します。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 葉が丸まって垂れる | 水切れか直射の当てすぎ | たっぷり水をやり、数日は日陰に置く |
| 葉が黄色くなって落ちる | 根腐れか寒さ | 鉢皿の水を捨てる。地植えは周囲に溝を切る |
| 新芽が出ずに止まる | 根鉢を崩しすぎた | 葉を減らして蒸散を抑え、根の回復を待つ |
| とげのある枝が根元から出る | 台木の芽 | 見つけ次第付け根からかき取る |
植えた年に咲いた花は全て摘み取ります。実を付けると根の張りが遅れ、二年目以降の収量が落ちます。
オレンジの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
オレンジの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はオレンジの育て方にまとめています。
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