症状から見分ける
モモの病害虫は出る時期がはっきりしています。春の葉、梅雨の実、夏の幹と、症状の場所と季節を手がかりに切り分けます。まず葉なのか実なのか幹なのかを見て、次に何月かを思い出せば、下の表でほぼ絞り込めます。
| 症状 | 考えられる原因 | 出る時期 |
|---|---|---|
| 新葉が赤く縮れて厚くなる | 縮葉病 | 4〜5月 |
| 実に茶色の斑点が広がり灰色のカビ | 灰星病 | 6〜8月の雨の後 |
| 葉に小さな穴が開き縁が赤い | せん孔細菌病 | 5〜9月 |
| 実に小さな穴とヤニ、中に幼虫 | シンクイムシ | 6〜8月 |
| 幹の根元にヤニと木くず | コスカシバ | 通年、特に秋 |
| 新芽が縮れて黒い虫が群れる | アブラムシ | 4〜5月 |
| 枝にゼリー状のヤニが噴き出す | 根の傷みや傷口 | 通年 |
縮葉病
四月に開いた新葉が赤く縮れて厚くなり、やがて白い粉を吹いて落ちます。モモで最も目立つ病気で、雨の多い春に広がります。発病してからの薬は効かず、二月の芽が動く前の予防散布が唯一の対策です。出てしまった年は葉を摘み取り、木の体力を守ります。
- 二月に予防する
- 芽がふくらむ直前の二月上旬に、石灰硫黄合剤やボルドー液を枝全体に散布します。芽が開いてからでは葉に届きません。
- 出た葉は摘む
- 縮れた葉は見つけしだい摘み取り、落ち葉も集めて捨てます。五月下旬に出る新しい葉は健全なので、木は回復します。
- 体力を戻す
- 葉を多く失った年は五月に追肥(育ちの途中で足す肥料)をひと握り施し、実の数も減らして木を休ませます。
灰星病
熟し始めた実に茶色の斑点が出て一日で広がり、灰色のカビに覆われて腐ります。梅雨に熟す早生品種で被害が大きく、木に残った腐った実が翌年の伝染源になります。袋掛けと、腐った実をすぐ取り除くことが基本です。
- 腐った実をすぐ取る
- 斑点が出た実は木から外し、袋に入れて捨てます。木の上で干からびた実は翌年の菌の元なので冬にも取り除きます。
- 雨の前に殺菌剤
- 六月から収穫までは、まとまった雨の前に果樹用の殺菌剤を実と枝にかけます。収穫前日数の表示を守ります。
- 風通しを保つ
- 夏剪定で実の周りを開け、雨の後に早く乾くようにします。実どうしが触れる位置の実は摘果で先に落とします。
シンクイムシとアブラムシ
シンクイムシは六月以降に実に産卵し、幼虫が中を食い進んで実を落とします。袋掛けが最も確実な予防です。アブラムシは四月の新芽に群がり、葉を巻いて縮れさせます。どちらも早く見つけるほど手当てが楽です。
- シンクイムシは袋で防ぐ
- 五月下旬までに袋を掛け、口を枝にしっかり留めます。実の表面にヤニの粒や小さな穴があれば幼虫が入っているので、実ごと外して袋に入れて捨てます。
- アブラムシは早めに落とす
- 四月に新芽の先が巻き始めたら、巻いた葉を摘んで中の虫ごと捨てます。数が多いなら果樹用の殺虫剤を新芽にかけます。てんとう虫がいれば任せても構いません。
| 虫 | 見つけ方 | 手当て |
|---|---|---|
| シンクイムシ | 実に小さな穴とヤニ、袋なしの実を割ると幼虫 | 袋掛け、落果を拾って処分、五月末に殺虫剤 |
| アブラムシ | 新芽が巻いて裏に虫が群れる | 指でつぶすか水で流し、多ければ殺虫剤 |
| ハダニ | 葉が白くかすれて葉裏に赤い点 | 葉裏に水をかけ、乾燥期に増えたら殺ダニ剤 |
| カイガラムシ | 枝に白い粉や貝殻状の粒 | 歯ブラシで落とし、冬に機械油乳剤 |
コスカシバとヤニ
幹の根元や枝の分かれ目にヤニと茶色い木くずが出ていたら、コスカシバの幼虫が皮の下を食べています。放置すると幹が一周食われて枯れます。秋から冬に幹を点検して見つけ、針金で刺すか皮をはがして取り出します。傷口や根の傷みでもヤニは出るので、木くずの有無で見分けます。
- 木くずを探す
- 十一月と二月に幹の根元から一メートルの高さまでを見て、ヤニに混じった木くずを探します。木くずがなければ生理的なヤニです。
- 幼虫を取り出す
- ヤニをはがし、穴に針金を差し込んで幼虫を刺します。皮を少し削って幼虫を取り出しても構いません。
- 傷口を守る
- 取り出した後の穴に癒合剤を塗り、幹の根元に麻布や専用の資材を巻いて産卵を防ぎます。
毎年病気が減らないときの見直し
薬をまいても毎年同じ病気が出るなら、伝染源が木や地面に残っています。落ち葉、落果、木に残った干からびた実、混み合った枝を一つずつ見直します。予防散布の時期のずれも多い原因で、二月の一回と六月の雨前の散布を日付で記録しておくと翌年に生きます。
| 原因 | 見分け方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 伝染源が残る | 同じ枝や同じ側に毎年出る | 冬に干からびた実と落ち葉を全部片付ける |
| 散布の時期のずれ | 散布したのに縮葉病が出る | 芽が動く前の二月上旬に固定する |
| 枝の混み合い | 木の内側から病気が出る | 冬と夏の二回で光と風を入れる |
| 水はけの悪さ | ヤニが多く木全体が弱い | 高畝にするか排水溝を切る |
モモの収穫までのコツは作物ページに
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