花芽の付く枝を見分ける
モモの花芽は、その年の春から伸びた新しい枝にだけ付きます。二年以上たった枝からは花が咲かず、放っておくと実が年々外側へ移って内側が枯れ上がります。剪定の狙いは、毎年内側に新しい枝を出させて、実の付く位置を木の近くに保つことです。
冬の枝を見ると、ふっくらと丸い芽が花芽、細く先のとがった芽が葉芽です。一つの節に花芽二つと葉芽一つが並ぶ枝が実付きの良い枝です。
| 枝の姿 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 長さ三十〜五十センチで花芽と葉芽が並ぶ | 残す | 実が付き、来年の枝も出る |
| 一メートル以上の太い徒長枝 | 元から切るか半分に | 花芽が少なく木の内側を暗くする |
| 十センチ以下の短い枝 | 残す | 花芽だけの短果枝、二〜三年実が付く |
| 枝先が細く垂れた古い枝 | 元から切る | 花芽が付かず病気の元 |
花芽ばかりで葉芽のない短い枝は、実が付いても枝が育たずに枯れます。葉芽のある枝を優先して残します。
開心自然形を目指す
モモは幹の中心を立てず、二〜三本の主枝を斜め上に広げる開心自然形が基本です。中心を開けることで木の内側まで光が入り、実が全体に付きます。植えて四〜五年で骨格ができ、その後は同じ形を保ちます。高さは脚立で届く二・五メートル以内に抑えます。
| 年数 | 剪定の目的 | やること |
|---|---|---|
| 一年目冬 | 主枝を選ぶ | 高さ五十センチから出た枝のうち、方向の違う二〜三本を主枝に選び先を三分の一切る |
| 二〜三年目冬 | 主枝を伸ばす | 主枝の先端の枝を残し、内側に向く枝と競合する枝を切る |
| 四〜五年目冬 | 側枝を配置する | 主枝から出る横枝を五十センチ間隔で残し、上向きの枝は切る |
| 六年目以降 | 枝を更新する | 古い側枝を元から切り、新しい枝と入れ替える |
冬剪定の手順
十二月から二月、落葉して枝の姿が見える時期に行います。モモは切り口から枯れ込みやすく、太い枝を切ったら癒合剤を塗ります。切りすぎると春に太い徒長枝が噴き出して実が付きません。徒長(勢いだけで上へ長く伸びること)した枝には花芽がほとんど付かないので、切る量は全体の枝の三割以内を目安にします。
- 枯れ枝と病気の枝を落とす
- 先が茶色く乾いた枝、幹にヤニが固まって虫の穴がある枝を元から切ります。切った枝は畑に残さず処分します。
- 内向きと交差する枝を切る
- 木の中心に向かって伸びる枝、ほかの枝とぶつかる枝を元から切ります。中心から空を見上げて、空が三割見える程度が目安です。
- 徒長枝を処理する
- 上へ真っすぐ一メートル以上伸びた枝は元から切ります。そこに枝が欲しいときは三分の一の長さで切り、翌年出る枝を側枝に使います。
- 残す枝の先を切る
- 残した枝は先端を軽く切り、花芽の多い部分を残します。長い枝は先端三分の一を切ると、実の重さで折れにくくなります。
夏剪定で光を入れる
五月下旬から六月、新しい枝が三十センチほど伸びた頃に、木の内側で上向きに伸びる徒長枝を根元から手で折り取ります。柔らかいうちなら道具がいらず、切り口も傷みません。実の周りの葉が重なる部分を開けて、着色と病気予防を兼ねます。
- 上向きの新枝を折る
- 主枝の背中から上へ伸びる勢いの強い枝を、付け根から横に倒すように折り取ります。六月中に済ませると木の負担が少ないです。
- 実の上の葉を減らす
- 実に直接光が当たるよう、実の真上に重なる枝を一〜二本、付け根で折ります。全部取ると日焼けするので、葉一枚の陰が残る程度にします。
- 収穫後に軽く整える
- 実を採り終えた八月に、混み合った部分を軽く間引きます。九月以降に切ると枝が硬く、切り口が傷みやすいので夏のうちに終えます。
枝の誘引で角度を作る
主枝が立ちすぎると徒長枝ばかり出て実が付かず、寝すぎると先端の勢いが落ちて枝が枯れます。目安は地面から四十五〜六十度です。若い枝は柔らかいうちにひもで引いて角度を作り、翌年にはその角度で固まります。
- 杭を打つ
- 引きたい方向の地面に杭を打ち、枝の途中にひもを掛けて杭に結びます。枝に直接結ぶと食い込むので、布やホースを挟みます。
- 一年後に外す
- 翌年の冬に角度が固まっているのを確かめてから外します。外して戻るようなら、もう一年掛け直します。
切りすぎて実が付かないときの立て直し
冬に強く切った翌年は、太い徒長枝が何本も出て花が減ります。その年は徒長枝を切らず、六月に半分ほどをひもで横へ倒して勢いを抑えます。倒した枝には翌年花芽が付きます。同時に窒素肥料を止め、二年かけて元の実付きへ戻します。
| 起きたこと | その年にすること | 翌年にすること |
|---|---|---|
| 徒長枝が多く花が少ない | 六月に半分を横へ倒し、残りは折り取る | 倒した枝を側枝に使い、切る量を減らす |
| 内側が枯れ上がった | 夏に上部の枝を間引いて光を入れる | 冬に古い側枝を切り戻し、内側の新枝を残す |
| 主枝が一本折れた | 折れた部分を切り癒合剤を塗る | 近くの徒長枝を新しい主枝として育てる |
モモの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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