三段階の流れ
モモは一本の木に数千の花が付きますが、大玉に育てるには葉二十〜三十枚に実一個の目安が必要です。つぼみのうちに減らす摘蕾、実が親指大になったら減らす摘果、最後に残す実に袋を掛ける、という三段階で絞ります。早く減らすほど木の負担が軽く、実が大きくなります。
| 時期 | 作業 | 残す目安 |
|---|---|---|
| 3月中旬〜下旬 | 摘蕾 | つぼみを三分の一に減らす |
| 4月下旬〜5月上旬 | 予備摘果 | 十センチにつき一個 |
| 5月中旬〜下旬 | 仕上げ摘果 | 二十センチにつき一個、枝の下向きの実 |
| 5月下旬〜6月上旬 | 袋掛け | 残した全部の実 |
摘蕾のやり方
つぼみが赤くふくらんだ三月中旬、開花前に行います。枝の上側と付け根側のつぼみを指でしごき落とし、枝の下側と中ほどのつぼみを残します。上側の実は日焼けしやすく、付け根の実は枝に押されて形が悪くなるためです。一枝の三分の二を落とす勢いで構いません。
- 枝の上側をしごく
- 枝を手で支え、上側に付いたつぼみを親指で付け根から下へなでるように落とします。花芽と一緒に葉芽を落とさないよう、とがった芽は避けます。
- 付け根と先端を落とす
- 枝の付け根から十センチと、先端から十センチのつぼみを落とします。中ほどに残った下向きのつぼみが最良の実になります。
- 花粉のない品種は控えめに
- 白桃や川中島白桃は受粉が不安定なので、摘蕾は軽くして実の付きを見てから摘果で調整します。
摘果で数を決める
受粉後、実が親指の先ほどになる四月下旬に予備摘果、五月中旬に仕上げ摘果をします。残すのは形が整って縦長、実の下向きに付いたものです。丸すぎる実、扁平な実、双子の実は先に落とします。仕上げでは葉の数を数え、二十〜三十枚に一個へ絞ります。
- 予備摘果で大まかに減らす
- 四月下旬、実が親指の先ほどになったら、一枝に残す実を三〜四個に減らします。形の悪い実と上向きの実を先に落とし、枝の中ほどで下向きに付いた実を残します。
- 葉を数えて仕上げる
- 五月中旬に、残した実の周りの葉を数えて、二十〜三十枚に一個へ絞ります。実どうしの間隔は二十センチ前後が目安で、触れ合う位置の実はどちらかを落とします。
| 実の姿 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 縦に長く枝の下側に付く | 残す | 大玉になり日焼けしにくい |
| 丸くて小さい | 落とす | 受粉が弱く大きくならない |
| 二つがくっついた双子 | 落とす | 割れて腐りやすい |
| 枝の上側や先端に付く | 落とす | 日焼けと風で落ちやすい |
| 扁平で縫合線が深い | 落とす | 熟すと割れやすい |
摘果が遅れると、落とした後も残した実が大きくなりません。五月中に終えるのが目安です。
袋掛けで病害虫と雨から守る
仕上げ摘果が終わった五月下旬から六月上旬、実が三〜四センチになったら袋を掛けます。袋はシンクイムシの産卵を防ぎ、雨による灰星病を減らし、皮を薄くきれいに仕上げます。市販のモモ用の果実袋を使い、袋の口を枝にしっかり留めて虫が入る隙間をなくします。
- 殺虫剤を先にまく
- 袋を掛ける前日に果樹用の殺虫剤と殺菌剤を実に散布します。袋の中に虫や病気の元を閉じ込めないためです。
- 袋を掛ける
- 袋の口を広げて実を入れ、口を枝に沿わせて留め金で二回折って留めます。袋の底の角に空気穴があるものは穴を下にします。
- 収穫前に外すか決める
- 白鳳など色を付けたい品種は収穫の一週間前に袋を外して日に当てます。袋のまま採る白い仕上げも好みで選べます。
受粉が必要な品種の人工授粉
花粉を持たない品種は、花粉のある品種の花を摘んで受粉させます。開花期の晴れた午前中、花粉のある花を摘み、花びらを外して雄しべを受粉させたい花の中心に触れさせます。一つの花で十個ほどの花に付けられます。摘蕾で残した下向きの花を優先します。
- 花粉を集める
- 白鳳やあかつきの開き始めの花を摘み、紙の上で花びらを取り、指で弾いて黄色い粉が出るかを確かめます。出なければ室内で半日乾かします。
- 雌しべに付ける
- 雄しべを直接、または筆に取った花粉を受粉させたい花の中心の雌しべに触れさせます。開花から三日以内の花が対象です。
実が小さい・落ちるときの原因
六月に小さい実がぼたぼた落ちるのは、受粉が不完全な実の自然落果で、摘果の一部と考えて構いません。七月以降に実が落ちるなら水切れかシンクイムシです。実が大きくならないなら摘果不足がほとんどで、翌年は一段階早く減らします。
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 六月に小さい実が落ちる | 受粉不良の自然落果 | 正常の範囲、袋掛けの前に数を数え直す |
| 七月に袋ごと落ちる | 水切れかシンクイムシ | 割って幼虫を確かめ、水を回す |
| 実が全部小さい | 摘果不足 | 翌年は葉三十枚に一個へ絞る |
| 実の一部だけ小さい | 枝の陰で光不足 | 夏剪定で上の枝を折る |
毎年小玉になるなら、翌年は摘蕾を強めて、摘果も予備と仕上げの二回に分けます。木全体の実の数を前年より二割減らすと、大きさの違いが分かります。
モモの摘果に使うもの
摘果は減らす作業ですが、残った実は大きくなり、翌年の花芽も付きます。減らさないほうが穫れないのが木です。
- 摘果ばさみ探す言葉「摘果ばさみ 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 4〜5cm。密集した実の間に差し込めるもの。
先の尖ったはさみは、残す実に傷を付けます。傷が付くとそこから腐ります。
- 果実袋探す言葉「果実袋 果樹 かけ袋」
- 規格の目安
- 作物に合ったサイズ。上部に針金の入った掛けやすいもの。
- 数量の目安
- 木 1 本で 50〜200 枚。摘果を終えた実の数で決めます。
摘果のあとにかけます。虫と病気と鳥をまとめて防げて、見た目もきれいに仕上がります。
- 実の数が少ないなら、手で摘み取れば摘果ばさみは要りません。
- 袋かけは必須ではありません。見た目より数を穫りたいなら省けます。
モモの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はモモの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。