採り頃は軸の周りの色で判断する
なしは採ったあと甘くならない果物なので、木で熟してから採ります。幸水や豊水などの茶色の品種は、軸の周りまで茶色が回り、皮のざらつきが取れて滑らかになったら採り頃です。二十世紀など緑の品種は、緑が黄みを帯びてきたら採り頃です。関東平野部での品種ごとの目安を示します。
| 品種 | 採り頃の目安 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 幸水 | 八月中旬〜下旬 | 軸の周りまで茶色になり皮が滑らかになる |
| 二十世紀 | 九月上旬 | 緑が黄みを帯び、香りが立つ |
| 豊水 | 九月上旬〜中旬 | 全体が赤茶色になり、軸の周りのくぼみが深くなる |
| あきづき | 九月中旬〜下旬 | 赤茶色で、実を軽く弾くと鈍い音がする |
| 新高 | 十月上旬 | 全体が茶色になり、軸が太く固くなる |
収穫の二日前に一個切って確かめます。種が茶色で、果汁が多く甘ければ採れます。白い種はまだ早いです。
傷をつけずに採る
なしは皮が薄く、指の跡や軸で他の実を突いた傷から傷みます。実を手のひらで包んで上に持ち上げるように軽くひねると、軸ごと枝から外れます。無理に引っ張ると短い枝ごと取れて、翌年の花芽を失います。朝の涼しいうちに採ると実が締まって傷みにくくなります。
採り頃を逃すのがなしの一番の失敗です。木で熟してから採る果物なので、早採りすると甘みが乗らず、遅れると果肉が粉っぽくなります。品種ごとの色の目安を頭に入れ、迷ったら一個切って確かめます。
- 朝の涼しいうちに採る
- 気温が上がる前に採ると実が締まって日持ちします。日中の暑い時間に採った実は日持ちが短くなります。
- 持ち上げてひねる
- 実を下から手のひらで支え、上に持ち上げながら軽くひねります。袋をかけた実は袋ごと持って外します。
- 色づいた順に数回に分けて
- 一本の木でも南側と上のほうから熟します。一度に全部採らず、色と音を確かめながら二回から三回に分けて採ります。
- 浅い箱に一段で運ぶ
- 採った実は浅い箱に一段に並べます。重ねると軸が下の実を突いて傷になり、そこから腐ります。
保存は冷蔵で、品種で日持ちが違う
なしは常温では三日から一週間で果汁が抜けて食感が落ちます。ポリ袋に入れて口を閉じ、冷蔵庫の野菜室で保存すれば、幸水で一週間から十日、豊水で二週間ほど持ちます。晩生の新高や新興は日持ちがよく、冷蔵で一か月持ちます。早生から順に食べ、晩生を後に回します。
保存中も一日おきに袋の中を確かめます。一個でも軸の周りが茶色くやわらかくなっていたら取り出し、隣の実にうつる前に食べてしまいます。
| 品種 | 冷蔵での日持ち | 注意 |
|---|---|---|
| 幸水 | 一週間〜十日 | 採ってすぐ食べる。最も日持ちしない |
| 豊水 | 二週間 | 軸の周りから傷むので先に見る |
| 二十世紀 | 二〜三週間 | 皮が薄く、こすれ傷から傷む |
| 新高、新興 | 一か月 | 新聞紙で包み野菜室に |
なしは乾燥で果汁が抜けます。袋の口を閉じて、他の野菜と分けて保存します。
食べきれない分は加工する
大量に採れた年は、コンポート、ジャム、冷凍で保存します。なしは水分が多いので、ジャムは煮詰めるのに時間がかかりますが、さっぱりした味に仕上がります。冷凍は皮をむいて切り、砂糖水にくぐらせてから袋に入れると変色しません。半解凍でシャーベットのように食べられます。
- コンポートで二週間
- 皮をむいて四つに切り、薄い砂糖水で十分ほど煮て、汁ごと冷蔵します。日持ちの短い幸水に向きます。
- ジャムで長く
- 皮をむいて刻み、重さの三割の砂糖とレモン汁で煮詰めます。水分が多いので弱火で四十分ほどかかります。
- 冷凍で三か月
- 皮をむいて一口大に切り、砂糖水にくぐらせて冷凍用の袋に入れます。解凍するとやわらかくなるので、半解凍で食べます。
- 干して保存する
- 薄切りにして三日ほど天日で干すと、甘みが濃くなり二週間ほど持ちます。密閉容器に乾燥剤と一緒に入れて冷蔵します。
実が小さい、味が薄い、粉っぽいときの見直し
収穫した実が小さい、甘みが薄い、食感が粉っぽいといった不満は、摘果の量、水、採る時期で説明がつきます。実が多くて小さいなら摘果不足、甘みが足りないなら早採りか日照不足、粉っぽいなら採り遅れか常温での保存です。翌年に向けて、どれに当たるかを実の様子から切り分けます。
| 収穫の姿 | 原因 | 翌年の直し方 |
|---|---|---|
| 数は多いが小さい | 摘果不足 | 五月に葉二十五枚に一個へ絞る |
| 甘みが薄く固い | 早採り | 軸の周りまで色が回り種が茶色になるまで待つ |
| 粉っぽくて果汁が少ない | 採り遅れか常温での保存 | 適期に採り、すぐ冷蔵する |
| 実の表面に黒い斑点 | 黒星病 | 落ち葉の片付けと芽出し前の殺菌 |
| 形がいびつで片側が膨れる | 受粉が不十分 | 二回に分けて人工授粉する |
翌年に直すのは一つに絞ります。摘果と水やりを同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなり、次の年にまた迷います。
なしの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
なしの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はなしの育て方にまとめています。
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