一年の流れを表で見る
なしは四月から六月に受粉、摘果、袋かけが続き、夏は水やりと病気の見回り、八月から九月に収穫という流れです。作業の間隔が二週間ほどなので、この時期は予定を空けておくと失敗が減ります。月の初めに表を見て、次の作業を確かめる習慣をつけます。
| 月 | 主な作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 12月 | 植え付け、冬剪定と誘引、元肥 | 落葉後、寒くなる前に |
| 1〜2月 | 冬剪定の仕上げ、幹の見回り | 寒い日の作業は避ける |
| 3月 | 植え付け(春植え)、芽出し前の殺菌 | 芽が膨らむ前に |
| 4月 | 開花、人工授粉、花後の殺菌 | 咲き始めから三日以内に授粉 |
| 5月 | 予備摘果、仕上げ摘果 | 花が散って二週間後から |
| 6月 | 袋かけ、追肥、徒長枝を抜く | 梅雨前に袋をかける |
| 7月 | 水やり、黒星病の見回り | 乾いたらたっぷり |
| 8〜9月 | 収穫、収穫後の礼肥 | 品種で時期が違う |
| 10〜11月 | 落ち葉の片付け、水を控える | 花芽の充実期 |
冬(十二月〜二月)は剪定と誘引と土づくり
落葉して枝の全体が見える冬に、一年分の骨格を決めます。なしは切り戻すと先から強い枝が出るので、切るより寝かせることを優先します。元肥(一年の始めに与える肥料)は十二月に株元へ油かすと堆肥を混ぜて浅く埋めます。なしは肥料をよく使う果樹なので、元肥は多めでかまいません。
- 十二月に元肥を入れる
- 枝の広がりの先あたりに浅い溝を掘り、油かすを三握りと堆肥をバケツ一杯入れて土を戻します。幹のすぐ際には入れません。
- 一月に剪定と誘引をする
- 短い枝を残し、混み合った枝と真上に伸びる徒長枝を根元から抜きます。残した長い枝はひもで引いて水平近くまで寝かせ、太い切り口には癒合剤を塗ります。
- 幹を見回る
- 幹に樹皮のはがれや黒ずみがないか見ます。見つけたら削って癒合剤を塗り、病気の入り口をふさぎます。
徒長(枝が勢いだけで長く伸びること)した枝を根元で抜くと、翌年はその跡からまた強い枝が出ます。数が多いなら全部抜かず、半分は寝かせて残します。
春(三月〜五月)は受粉と摘果
芽が膨らむ三月に、黒星病を防ぐ殺菌を一度しておきます。四月上旬から咲く花に人工授粉をし、花が散って二週間後から予備摘果、五月下旬に仕上げ摘果と進みます。それぞれの作業は、暦より実の大きさを見て始める時期を判断します。
| 時期 | 作業 | 見て決める目安 |
|---|---|---|
| 3月中旬 | 芽出し前の殺菌 | 芽が膨らんで先が緑になったら |
| 4月上旬〜中旬 | 開花、人工授粉 | 花が三輪目まで開いたら |
| 4月下旬〜5月上旬 | 予備摘果 | 実が小指の先ほどになったら |
| 5月下旬 | 仕上げ摘果 | 実が親指の先ほどになったら |
初夏から夏(六月〜八月)は袋と水と病気
六月上旬に袋をかけ、追肥(育ちの途中で足す肥料)を化成肥料ひとつかみ与えて実の肥大を助けます。梅雨に広がる黒星病は、葉と実の黒い斑点を見つけ次第、病葉を取って殺菌剤をまきます。梅雨明け後は乾きやすいので、株元をわらで覆い、乾いたらたっぷり水をやります。
- 六月上旬に袋と追肥
- 仕上げ摘果が終わったら実に袋をかけ、枝の広がりの先に化成肥料をひとつかみまきます。
- 梅雨に黒星病を見回る
- 葉の裏や実に黒い斑点が出ていないか週に一度見ます。見つけたら病葉を取って袋に入れ、果樹用の殺菌剤をまきます。
- 梅雨明け後は水を切らさない
- 実が急に大きくなる七月から八月は、土が乾いたら株元にバケツ二杯の水をやります。鉢は朝夕二回が目安です。
- 収穫後に礼肥をやる
- 収穫が終わったら油かすをひとつかみ株元にまき、実をつけて疲れた木に養分を戻します。
秋(九月〜十一月)は花芽を作る時期
収穫が終わった九月以降は、翌年の花芽が枝の中で作られる時期です。九月に徒長枝を抜いて枝に日を当て、水は乾いたときだけにして枝を締めます。十月以降に肥料をやると枝が伸び続けて寒さで傷むので、何も与えません。落ち葉は黒星病の越冬場所になるので、十一月にすべて片付けます。
| 月 | 作業 | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 9月 | 徒長枝を根元から抜く、礼肥 | 太い枝を切る |
| 10月 | 水は乾いたときだけ | 肥料をやる |
| 11月 | 落ち葉を集めて処分 | 落ち葉を株元に残す |
暦がずれたときの立て直し
暖冬で開花が早まった、開花中に雨が続いた、摘果の時期を逃した、台風で実が落ちたといったずれは毎年のように起きます。暦ではなく木の状態を見て判断し、遅れた作業は簡略化してでも済ませます。なしは摘果の遅れが翌年の花芽の減りに直結するので、摘果だけは逃さないようにします。
| 場面 | 起きること | 立て直し |
|---|---|---|
| 三月下旬に咲き始めた | 受粉樹と時期が合わないことがある | 早く咲いた木の花粉を冷蔵し、後の木に授粉 |
| 開花中に雨が一週間続いた | 受粉できず実がつかない | 晴れ間に二回授粉。翌年は花粉を冷凍で用意 |
| 予備摘果を五月下旬まで忘れた | 実が小さいまま止まる | 仕上げ摘果と一緒に強めに絞る |
| 台風で実が落ちた | 収穫が減る | 残った実を大事にし、翌年は棚か支柱で枝を固定 |
なしの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
なしの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はなしの育て方にまとめています。
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