症状の出る場所で原因を切り分ける
なしの不調は、葉、実、幹のどこに出たかで原因がほぼ決まります。見つけたときの姿から表で当たりをつけ、それぞれの節で対処します。なしはりんごと病害虫を共有するので、近くにりんごの木があれば一緒に手入れします。
| 症状 | 考えられる原因 | 急ぎ度 |
|---|---|---|
| 葉と実に黒いすすのような斑点 | 黒星病 | 高い |
| 葉の表に橙色の斑点、裏に毛のような突起 | 赤星病 | 中 |
| 実に小さい穴があき、やにが出る | シンクイムシ | 高い |
| 葉が縮れて黒っぽくなる | アブラムシ | 中 |
| 幹の樹皮が黒ずんではがれる | 胴枯病 | 高い |
| 葉の縁が茶色く枯れる | 水切れか肥料やけ | 水と肥料を見直す |
黒星病は落ち葉と雨で広がる
黒星病はなしで最も多い病気で、葉の裏と実の表面にすすのような黒い斑点が出ます。病気の菌は落ち葉と枝の芽で冬を越し、春の雨で新しい葉にうつります。実に出ると売り物にならないほど見た目を損ね、ひどいと実が割れます。落ち葉の片付けと芽出し前の殺菌で、出る量を大きく減らせます。
- 落ち葉を全部片付ける
- 十一月までに落ち葉を集めて袋に入れて処分します。株元に残すと翌春の発生源になります。
- 芽出し前に殺菌する
- 三月中旬、芽が膨らんだころに果樹用の殺菌剤をまきます。開花後にもう一度まくと、実への感染を抑えられます。
- 病葉と病果を取る
- 斑点のある葉と実を見つけ次第取って処分します。雨の前後に見回ると広がる前に見つけられます。
殺菌剤は同じものを続けると効きが落ちます。系統の違う果樹用の殺菌剤を二種類用意し、交互に使います。
赤星病はビャクシンからうつる
赤星病は、葉の表に橙色の斑点が出て、裏側に毛のような突起ができる病気です。この病気の菌は、庭木のカイヅカイブキなどのビャクシン類で冬を越し、四月から五月の雨で胞子がなしに飛んできます。なしだけを手入れしても防げず、周りのビャクシン類との距離が問題です。
| 状態 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 庭や隣家にカイヅカイブキがある | 毎年出る | 四月から五月に殺菌剤を二回まく |
| ビャクシンが百メートル以内にない | ほとんど出ない | 様子見でよい |
| ビャクシンの枝に茶色い塊がある | 胞子の発生源 | できれば塊のある枝を切る |
| なしに斑点が出た | その年は広がる | 病葉を取り、実への広がりを見る |
赤星病はなしの葉から葉へはうつりません。出ても葉を取れば、その年はそれ以上広がらないことが多いです。
シンクイムシは袋かけの時期で決まる
シンクイムシは蛾の幼虫で、六月から実の中に入り、種の周りを食べて実を落とします。実の表面に小さな穴と透明なやにが出ていたら中に入っています。入ってからでは薬が効かないので、六月上旬までの袋かけが唯一の確実な対策です。袋をかけない場合は、六月から二週間おきに果樹用の殺虫剤をまきます。
- 六月上旬までに袋をかける
- 仕上げ摘果を終えたらすぐ袋をかけます。袋の口を軸に隙間なく留めることが条件です。
- 穴のある実を取る
- 穴とやにが出ている実は中に幼虫がいるので、取って袋に入れて処分します。木の下に落とすと土に潜って翌年出ます。
- 落ちた実を毎日拾う
- 落ちた実の中の幼虫が土で越冬します。夏の間、落ちた実は毎日拾って処分します。拾った実は土に埋めず、袋に入れて燃えるごみに出します。
アブラムシと幹の病気
春の新しい葉が縮れて黒っぽくなっていたら、葉の裏にアブラムシがついています。数が少ないうちは水で流すか手でつぶし、多ければ野菜用の殺虫剤をまきます。幹の樹皮が黒ずんではがれる胴枯病は、切り口や傷から入ります。剪定の切り口に癒合剤を塗ることと、幹を見回って早く削ることで防ぎます。
幹の病気は見つけるのが遅れがちです。冬の剪定のときに幹と主枝の付け根を触り、樹皮が浮いていたり黒く湿った跡があれば削って確かめます。早く見つければ削り取るだけで止まります。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 新しい葉が縮れて黒い | アブラムシ | 水で流すか野菜用の殺虫剤 |
| 幹の一部が黒ずみ樹皮がはがれる | 胴枯病 | 黒い部分を削り取り癒合剤を塗る |
| 枝の先から急に枯れ下がる | 胴枯病が進んだ | 枯れた枝を健全な部分まで切り戻す |
毎年出るときの手入れの見直し
同じ病害虫が毎年出るなら、薬の前に木の周りの環境を疑います。なしの病気は雨で広がり、虫は落ち葉と落ちた実で越冬します。木の中まで光と風が通っていれば、病気の出方は目に見えて減ります。冬の剪定、落ち葉の片付け、落果の処分の三つを見直します。
- 冬剪定で風を通す
- 混み合った枝を抜いて、木の中に手を入れられる隙間を作ります。葉が乾きやすくなり、黒星病が減ります。
- 落ち葉と落果を残さない
- 十一月までに落ち葉を全部集めて処分します。落ちた実は夏の間毎日拾います。株元に残すと翌年の発生源になります。
- 殺菌は時期を決めて年三回
- 芽出し前、開花後、袋かけ前の三回を決まった時期に行うと、あとは葉と実の観察で済みます。
なしの収穫までのコツは作物ページに
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