実がつく枝とつかない枝を見分ける
なしの実は、長さ数センチの短い枝(短果枝)の先にできる丸い花芽につきます。一年で一メートル以上伸びた長い枝には葉の芽ばかりで、そのままでは実がつきません。長い枝も水平に寝かせると、二年目に短い枝が並び、三年目から実がつきます。剪定の前に木を一周して、枝の姿を見て切る量を判断します。
| 枝の姿 | 実がつくか | 剪定での扱い |
|---|---|---|
| 数センチで先に丸い芽がある | つく | 残す。触らない |
| 三十センチ前後で斜めに出た | 先のほうに少しつく | 先を三分の一切り、寝かせる |
| 一メートル以上まっすぐ伸びた | つかない | 寝かせて誘引するか根元から抜く |
| 真上に太く伸びた(徒長枝) | つかない | 根元から抜く |
花芽は丸く膨らみ、葉芽は細く尖ります。なしの花芽は一つの芽から五輪から八輪の花が出ます。
枝を水平に寝かせる誘引
なしの剪定で最も効くのは、切ることではなく枝を寝かせることです。枝を水平に近づけると伸びが穏やかになり、枝の全体に短い枝が並んで花芽がつきます。産地の棚仕立てはこの性質を使ったもので、家庭の立ち木でも、ひもで引いて枝を斜め下に向けると同じ効果が出ます。
- ひもで引いて下げる
- 枝の中ほどにひもをかけ、地面の杭や幹の下に結んで水平より少し下まで引きます。ひもが食い込まないよう布を挟みます。
- 棚に結ぶ
- 棚仕立てなら、伸びた枝を棚の針金に沿わせて三十センチおきに結びます。枝先だけ少し上に向けると先端の勢いが保てます。
- 時期は六月までか冬
- 新しい枝は六月までに、固まった枝は落葉後の冬に曲げます。夏に固まった枝を無理に曲げると裂けるので触りません。
- 曲げる角度の目安
- 主枝は水平から三十度ほど、その先の枝は水平に近づけます。真下まで下げると枝の途中から強い枝が立ち上がるので、水平で止めます。
冬剪定は十二月から二月に骨格を作る
葉が落ちて枝の全体が見える十二月から二月に主な剪定をします。立ち木なら主枝を二本から三本にして、それぞれを斜めに寝かせます。なしは切り口から腐りが入りやすいので、太い枝を切ったときは必ず癒合剤を塗ります。
- 主枝を決める
- 幹から斜め上に出た勢いのそろった枝を二本から三本残し、それ以外の太い枝は根元から切ります。主枝は互いに反対方向に伸ばします。
- 長い枝は寝かせるか抜く
- 一メートル以上伸びた枝のうち、空いた場所を埋められる枝は寝かせて残し、混み合う枝は根元から抜きます。切り戻すと先から強い枝が出るので、なしでは切り戻しより間引きを優先します。
- 古い短果枝を更新する
- 五年以上実をつけた短い枝は実が小さくなります。近くに若い短い枝があれば、古い枝を根元から切って若い枝に置き換えます。
- 高さを抑える
- 手が届く高さで主枝の先を止めます。上に伸ばすほど下の枝に日が当たらず、下枝の実がつかなくなります。
切り口の直径が二センチを超えるときは癒合剤(切り口を守る薬)を塗ります。なしは切り口が乾きにくく、そこから腐りが入ります。
夏は徒長枝を抜くだけにする
夏に太い枝を切ると木が弱り、翌年の花芽も減ります。夏の手入れは、真上に伸びる徒長枝(勢いよく伸びて実のつかない枝)を根元から抜くことと、実の周りの葉に日が当たるよう混んだ枝を少し取ることに留めます。六月と収穫後の九月の二回、軽く済ませます。
夏に手を入れるのは、木の中に日が入るようにするためだけです。徒長(枝が勢いだけで長く伸びること)した枝を切るか迷ったら、その下の葉に日が当たっているかを見て、影を作っているものだけを抜きます。
| 時期 | 切ってよい枝 | 切ってはいけない枝 |
|---|---|---|
| 六月 | 真上に伸びる細い徒長枝 | 太い枝、主枝 |
| 九月(収穫後) | 内側に向かう枝、太い徒長枝 | 短い枝、主枝の先 |
| 十月以降 | 枯れた枝だけ | 生きている枝全て |
花が少ない、枝ばかり伸びるときの原因と戻し方
なしで最も多い相談は、木は大きくなるのに花が咲かないというものです。原因はほぼ、枝が立っている、肥料が多い、冬に切り戻しすぎた、日照不足のどれかです。木の姿から原因を切り分けて、翌年に向けて直します。なしは枝を寝かせれば二年で花芽がつくので、立て直しは比較的早く効きます。
立て直しには二年ほどかかります。一年目は枝を寝かせて肥料を減らし、二年目に短い枝が並んで花芽が付いたのを確かめてから、実を付けさせます。焦って冬に強く切り戻すと振り出しに戻ります。
| 木の姿 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 枝が上に一メートル以上伸びて太い | 枝が立っている、肥料過多 | 六月までに寝かせ、肥料を減らす |
| 切った先から枝が何本も出る | 切り戻しすぎ | 切り戻しをやめて間引きに変える |
| 日陰側の枝に花がつかない | 日照不足 | 夏に徒長枝を抜き、周りの木を整理する |
| 花は咲くが実がつかない | 受粉樹がないか相性が悪い | 相性のよい品種の花粉で人工授粉する |
なしの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
なしの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はなしの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。