方法を目的で選ぶ
宿根フロックスは株分け、挿し芽、種の三つの方法で増やせます。株分けは三〜四年たって中心が弱った株を若返らせる作業を兼ね、一度に数株に増やせます。挿し芽は摘心で出た芽を使い、同じ品種を確実に増やせます。種はこぼれ種でもよく出ますが、親と違う色になることが多く、品種を保ちたい場合には向きません。
| 目的 | 向く方法 | 時期 |
|---|---|---|
| 古い株を若返らせたい | 株分け | 3月か10月 |
| 同じ品種を確実に増やしたい | 挿し芽 | 5〜6月(摘心と同時) |
| たくさん苗が欲しい、色は問わない | 種まき | 9〜10月か3月 |
| 一年草フロックスを増やす | 種まき | 秋か春。株分けはできない |
株分けの時期と手順
株分けは芽が動く前の三月か、花が終わって涼しくなった十月に行います。株を掘り上げると、中心の古い部分は根が少なく芽も弱っているので捨て、外側の若い部分を芽三〜五本ずつに分けます。分けた株は新しい場所か、堆肥を入れ直した元の場所に植えます。同じ土に戻すときは、古い根を取り除いて土を入れ替えます。
- 株全体を掘り上げる
- 株から十五センチ離れた位置にスコップを入れ、根を切らないように大きく掘り上げます。土を落として芽と根の様子を見ます。
- 外側の若い部分を分ける
- 中心の古い部分を捨て、外側を芽三〜五本ずつに手かナイフで分けます。根がしっかり付いている部分を残します。
- 土を入れ替えて植える
- 元の場所に戻すなら古い根を取り、堆肥と元肥を混ぜた新しい土にします。株間四十〜五十センチで植えます。
- 植えた後にたっぷり水
- 植え付け後は根鉢と土をなじませるためにたっぷり水をやり、一週間ほどは乾かさないようにします。
三月に分けた株はその年の花がやや少なめ、十月に分けた株は翌夏に本来の花数で咲きます。
挿し芽の手順
五月の摘心で摘んだ芽や、六月の若い茎の先を五〜八センチに切って挿します。下の葉を取り、上の葉を二〜三枚残して、挿し芽用の清潔な土に挿します。明るい日陰で乾かさないように管理すると二〜三週間で発根し、一か月ほどでポットに移せます。九月にはしっかりした苗になり、翌夏には咲きます。
挿し芽の材料は摘心(茎の先を摘んで枝数を増やすこと)のときに出る芽がちょうどよく、別に切り取る必要がありません。発根したかどうかは、茎を軽く引いて抵抗があるかで確かめます。新しい葉が動き始めたころが目安で、抵抗がなければもう一〜二週間待ちます。
- 花芽のない若い茎を選ぶ
- つぼみの付いていない、緑で柔らかい茎の先を五〜八センチで切ります。硬くなった茎は根が出にくいです。
- 下葉を取って水揚げ
- 土に埋まる部分の葉を取り、切り口を三十分ほど水に浸けてから挿します。葉が大きければ半分に切って蒸散を減らします。
- 清潔な土に挿す
- 赤玉土の小粒かバーミキュライトに、割り箸で穴を開けてから挿します。肥料入りの培養土は切り口が腐ります。
- 明るい日陰で二〜三週間
- 直射を避けた明るい場所で、土を乾かさないようにします。新しい葉が動き出したら発根しています。
根伏せで増やす
宿根フロックスは根からも芽が出る性質があり、株分けのときに出た太い根を切って土に埋めておくと芽が出ます。挿し芽より時間はかかりますが、株分けの副産物として手間なく苗が取れます。五センチほどに切った根を、浅い箱の土に横に寝かせて一センチほど土をかけ、乾かさないようにすると一〜二か月で芽が出ます。
- 鉛筆ほどの太さの根を選ぶ
- 株分けで出た根のうち、鉛筆ほどの太さのものを五センチずつに切ります。細い根は芽が出にくいです。
- 横に寝かせて浅く埋める
- 箱に赤玉土を入れ、根を横に寝かせて一センチほど土をかけます。上下を気にしなくても芽が出ます。
- 芽が出たらポットへ
- 芽が二〜三センチ伸びたら、根ごと掘り上げてポットに移します。その後は挿し芽の苗と同じように育てます。
種から育てる
宿根フロックスの種は花後に採れますが、親と同じ花にはほとんどなりません。こぼれ種でよく増え、思いがけない色が出る楽しみはありますが、品種を保ちたいなら花がらを切って種を作らせません。一年草フロックスは種で増やすのが基本で、九月下旬から十月に秋まきするか、三月に春まきします。
| 種類 | まき時 | 扱い |
|---|---|---|
| 宿根フロックスの採り種 | 10月か3月 | 色は親と違う。気に入った株だけ残す |
| 宿根フロックスのこぼれ種 | 自然に発芽 | 春に見つけたら移植して育てる |
| 一年草フロックスの秋まき | 9月下旬〜10月 | 不織布で霜よけし、春に大株で咲く |
| 一年草フロックスの春まき | 3月 | 五月から咲くが株は小さめ |
うまくいかないときの原因
株分けした株が枯れるのは、真夏や真冬に分けたか、分けた株が小さすぎたのが原因です。挿し芽が根付かないのは、硬い茎やつぼみの付いた茎を使ったか、途中で乾かしたことが多いです。どちらも時期と材料を見直せば翌年には成功します。
| 場面 | よくある原因 | 次にどうするか |
|---|---|---|
| 株分け後に芽が出ない | 時期が悪い、株が小さすぎた | 三月か十月に、芽三本以上で分ける |
| 挿し芽が黒くなって枯れる | 水が多く腐った、土が不潔 | 新しい清潔な土で、湿る程度の水にする |
| 挿し芽がしおれる | 葉が多く蒸散した | 葉を半分に切り、風の当たらない日陰に置く |
| こぼれ種の花が地味 | 品種の性質が分かれた | 気に入った株だけ残し、他は抜く |
| 根伏せから芽が出ない | 根が細い、乾いた | 太い根を選び、土を乾かさない |
フロックスの挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
フロックスの長く咲かせるコツは作物ページに
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