立体にすると何が変わるか
空中栽培は、つるを支柱やネットに登らせて縦方向に伸ばす仕立てです。1株の占有幅が2メートル前後から70センチ程度まで縮み、地面に接する葉と実がなくなります。泥はねが届かないので、うどんこ病以外の葉の病気と実の腐りが減ります。
代わりに支える手間と、実の重さを吊る仕掛けが要ります。風で株ごと倒れるとつるが根元から裂けるため、支柱の強度は地這いよりはるかに重要です。台風の通る地域では、収穫前に一度は補強できる構造にしておきます。
| 項目 | 地這い | 空中栽培 |
|---|---|---|
| 1株の占有幅 | 2〜3メートル | 70センチ〜1メートル |
| 実の腐り | 接地面から出やすい | ほぼ出ない |
| 向く果重 | 制限なし | 1.5キログラムまで |
| 主な失敗 | つるが通路を覆う | 強風で支柱ごと倒れる |
向く品種と向かない品種
選ぶ基準は果重です。実は網や吊り袋を介して支柱にぶら下がるので、1.5キログラムを超える大果は構造ごと引き倒します。果重500グラム前後のミニ品種か、細長くて重量の割に吊りやすいものが向きます。
| 系統・タイプ | 果重の目安 | 立体での作りやすさ |
|---|---|---|
| ミニの西洋種 | 300〜700グラム | 最も作りやすい |
| 細長い果形の品種 | 1〜1.5キログラム | 吊り袋があれば可 |
| 一般的な西洋種 | 1.8〜2.2キログラム | 重く、非推奨 |
| 日本かぼちゃ | 1.5〜2キログラム | つるが長く手間が増える |
そうめんかぼちゃなどのペポ系はつるが短くまとまる品種があり、支柱が低くても収まります。種袋のつる性の記載を見ます。
支柱とネットを組む
支柱は直径20ミリ以上、長さ210センチ以上を使い、合掌型かアーチ型に組みます。ミニ品種でも実と葉を合わせた重量は1株で10キログラム前後になるため、きゅうりネットを張っただけの構造では真夏に垂れ下がります。
- 支柱を組む
- 畝の両側に支柱を斜めに差し、上部で交差させて合掌にします。差し込みは30センチ以上、交差部は紐で二重に締め、横棒を通して全体をつなぎます。
- 横の筋交いを入れる
- 合掌の側面に斜めの支柱を1本入れて三角形をつくります。これがないと前後方向にねじれ、風のたびに株元が揺すられて根が切れます。
- ネットを張る
- 目の粗いつる用ネットを、たるみが出ないよう上下と両端で固定します。目が18センチ角程度あると、つるを通す手間が少なく済みます。
- 設置の時期
- 定植前に組み立てておきます。つるが伸びてから支柱を差すと、地中の根を切って生育が止まり、その年の着果が丸ごと遅れます。
つるを誘引する
かぼちゃの巻きひげは自力でネットをつかみますが、太いつるを支えるほどの力はありません。週に2回、伸びた分を紐で結び直します。結ぶのはつるではなく節のすぐ下で、8の字にゆるく回して締め付けないようにします。
- 上へ伸ばす順序
- 子づる2本をネットの左右に振り分け、まっすぐ上へ登らせます。交差させると葉が重なり、下の葉から先にうどんこ病が出ます。
- 上端まで届いたら
- 支柱の上端に達したら、反対側へ折り返して下ろすか、上端で摘心(先端を摘んで枝数を増やすこと)します。折り返す場合は曲げる位置を紐で支え、自重で裂けるのを防ぎます。
- 下葉の整理
- 着果節より下で黄色くなった葉は取ります。風が通り、株元の消毒や追肥(育てている途中で足す肥料)もしやすくなります。健全な緑の葉は残します。
誘引の紐は麻など柔らかいものにします。細い針金や結束バンドはつるが太る過程で食い込み、そこから折れます。
実を吊って支える
実がテニスボール大になったら吊ります。それ以前は軽く、果柄が耐えます。吊り遅れると果柄の付け根が裂け、そこから水を吸えなくなって肥大が止まります。ミニ品種でも例外ではありません。
吊り具は玉ねぎ用の網袋か、幅の広い布が扱いやすいものです。実全体を受ける形にし、細い紐で果柄だけを吊らないようにします。荷重を果柄一点に集めると、収穫直前の最も重い時期に落ちます。
- 吊る位置
- 実の下半分を袋で受け、袋の口を上の横棒に結びます。結び目は片側だけでなく2点にし、実が回転しないようにします。
- 余裕を持たせる
- 実はここから2倍以上に太ります。袋は現在の大きさより一回り大きいものを選び、紐にも10センチほど遊びを残します。
- 日焼けを防ぐ
- 南に面した実は表皮が白く抜けることがあります。真夏は葉を1枚残して影をつくるか、収穫まで新聞紙をかけておきます。
プランターで育てる
容器で作るなら深さ30センチ以上、容量25リットル以上が最低線です。かぼちゃの根は横に広く張るので、容量が足りないと真夏に一日2回の水やりが必要になり、切らした瞬間に実の肥大が止まります。
容器では地這いのような不定根が出ず、株元の根だけで全部を支えます。果数は1株2〜3個までに絞り、残りは早めに摘み取ります。欲張ると全部が小さいまま、皮だけ硬くなって終わります。
| 容器容量 | 植える株数 | 仕立て |
|---|---|---|
| 25〜35リットル | 1株 | 子づる2本・あんどん |
| 40〜60リットル | 1株 | 子づる3本・支柱+ネット |
| 土のう袋など不定形 | 1株 | 子づる2本・果数2個まで |
あんどん仕立ては縦の支柱だけだとねじれます。輪状の横棒を上中下の3段に入れると、風で株が回りません。
うまくいかないときの切り分け
立体仕立ての失敗は、たいてい支える側か水の側に原因があります。株を疑う前に、支柱の傾きと土の乾きを見て、どちらが先に起きたのかを確かめてから手を入れます。
点検の目安は週に一度です。誘引の結び直しと吊り具の確認をまとめて行い、実がこぶし大になったら三日に一度へ詰め、収穫までその間隔を保ちます。
| 起きていること | 考えられる原因 | その日の手当て |
|---|---|---|
| 支柱が風で傾いた | 筋交いがなくねじれている | 斜めの支柱を足して結び直す |
| 実が落ちて果柄が裂けた | 吊るのが遅れ自重がかかった | 残る実を網袋で受け直す |
| 葉が下から白くなる | つるが重なり風が抜けない | 重なった古い葉を取り除く |
| 実が途中で太らない | 容器が小さく水が切れている | 敷きわらを足し朝夕に潅水する |
倒れた支柱を起こすときは、つるを外さずに支柱側だけを直します。つるを引き戻すと節から裂けて、そこから枯れ上がります。
かぼちゃの支柱立てに使うもの
支柱は倒れてから足すと、そのときにはもう根を傷めています。植え付けと同時に立てるつもりで用意します。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 支柱(イボ竹)探す言葉「園芸支柱 210cm 11mm」
- 規格の目安
- 直径 11mm × 長さ 210cm が標準。背の低い作物なら 150cm・直径 8mm でも足ります。
- 数量の目安
- 株間 45cm で 6 株なら 6〜7 本。合掌に組むなら横に渡す 1 本を足します。
直径 8mm は実の重さが乗るとしなります。実物野菜は 11mm 以上を選ぶと、収穫期に立て直さずに済みます。
- 誘引テープ・麻ひも探す言葉「誘引テープ 園芸」
- 規格の目安
- 幅 10mm 前後の伸びる園芸テープか、麻ひも。
茎は太るので、きつく縛ると食い込みます。8 の字にゆるく掛けるのが基本です。
- 支柱ジョイント探す言葉「支柱 ジョイント 11mm」
- 規格の目安
- 支柱の太さに合ったもの(11mm 用・8mm 用)。直交と自在の 2 種類があります。
交差部をひもで縛るとゆるみます。ジョイントなら風で揺すられても位置がずれません。
- 支柱は使い捨てにしません。洗って乾かせば何年も使えます。
- ネットを張る作物でなければ、きゅうりネットは要りません。
かぼちゃの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はかぼちゃの育て方にまとめています。
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