収穫の時期を見分ける
実は九月下旬から緑が抜け始め、十月中旬から十一月上旬に全体が黄色くなります。表面の綿毛が落ちて皮が黄色く光り、近づくと甘い香りが強く立つころが適期です。関東平野部では十月下旬が中心で、霜が降りる前に採り終えます。
マルメロの実は完熟しても硬く、生では渋くて食べられません。採りごろの判断は柔らかさではなく、色と香りで決めます。迷ったら軸の離れやすさも確かめます。
| 見た目 | 状態 | 判断 |
|---|---|---|
| 緑色で綿毛が密 | 未熟 | 待つ |
| 黄緑で綿毛が薄くなる | 熟し始め | 霜が近いなら採る |
| 全体が黄色く香りが強い | 適期 | 順に収穫 |
| 黄色が濃く軸が離れやすい | 完熟 | 早めに採る |
実を軽く持ち上げて軸が簡単に離れれば熟しています。離れなければ数日待ちます。
採り方
実の付け根をハサミで切り、軸を短く残します。袋をかけてあれば袋ごと外し、中の実を取り出します。実は重く、綿毛が手につくので、手袋をして両手で支えながら作業します。晴れた日の午前中に採り、雨の後は実の表面が乾いてからにします。
- 軸をハサミで切る
- 実を片手で支え、軸を実のへた近くで切ります。引きちぎると枝が裂けて、翌年の花芽を傷めます。
- 綿毛を布でふく
- 残った綿毛は乾いた布で軽くこすると落ちます。水で洗うのは加工の直前にし、保存する実は乾いたままにします。
- 傷のない実を選ぶ
- 皮に傷や虫の穴がある実は日持ちしないので、先に加工します。きれいな実は追熟に回します。
採った実は洗わずに保存し、使う直前に洗います。水分が残るとカビが出ます。
追熟で香りを引き出す
採った実を風通しのよい涼しい場所に一〜二週間置くと、香りがさらに強くなり、加工したときの風味が増します。新聞紙を敷いた箱に重ならないように並べ、部屋に置くだけで芳香剤の代わりになります。皮が濃い黄色になり、部屋全体に香りが広がったら加工の時期です。
| 状態 | 保存場所 | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 追熟中 | 暖房のない部屋 | 一〜二週間 |
| 追熟後 | 冷蔵庫の野菜室 | 一か月 |
| 加工したジャム | 煮沸した瓶で冷蔵 | 一〜二か月 |
| 果実酒 | 冷暗所 | 半年〜一年で飲みごろ |
追熟中に柔らかくなった実やカビの出た実は、周りにうつる前に取り除きます。
ジャムと果実酒の作り方
マルメロの果肉は加熱するとピンク色に変わり、香りのよいジャムになります。ペクチンが多いので、砂糖と煮るだけで固まります。果実酒は、皮ごと切った実をホワイトリカーと氷砂糖に漬け、半年ほどで飲みごろになります。はちみつ漬けやシロップにしても香りが楽しめます。
- 種と芯を取り除く
- 実を四つ割りにし、種と芯を必ず取り除きます。マルメロの種にはわずかに有害な成分が含まれるので、種ごと煮たり漬けたりしません。
- ジャムは砂糖を半量で
- 薄切りにした果肉に重さの半分の砂糖を加え、水を少し足して弱火で四十分ほど煮ます。ピンク色になりとろみが出たら煮沸した瓶に詰めます。
- 果実酒は皮ごと漬ける
- 実一キロを皮ごと一口大に切り、氷砂糖二百〜三百グラムとホワイトリカー一・八リットルに漬けます。三か月で実を取り出し、半年から飲めます。
果肉は硬いので、切るときは安定したまな板と大きめの包丁を使い、手を切らないよう気をつけます。
収穫後の木の手入れ
実を採り終えたら、十月にお礼肥として化成肥料を一握り与え、落ち葉と落ちた実を集めて処分します。病気の葉や虫の入った実を残すと翌年の被害が増えます。冬の剪定で古い結果枝を更新し、翌年の実をつける短い枝を残します。
- 落ち葉と落果を集める
- 落葉が始まったら週に一度、木の下を掃きます。集めたものは堆肥にせず、袋に入れて処分するのが安全です。
- お礼肥を与える
- 幹から五十センチ離して化成肥料を一握りまき、軽く土と混ぜます。量が多いと冬に枝が伸びて寒さで傷みます。
- 収穫の記録をつける
- 採った日と数、実の大きさを書き留めます。翌年の摘果の量や肥料の加減を決める目安になります。
実を木に残したままにすると翌年の花が減ります。霜が降りる前に全部採り終えます。
実が少ない・悪いときの見直し
花は咲くのに実がつかない、実が小さい、虫食いばかり、といったときは、木の年齢、受粉、摘果、袋かけの順に原因を確かめます。収穫期に分かる問題の多くは半年以上前に原因があります。翌年の作業表に印をつけて備えます。
| 状態 | 原因 | 翌年の手当て |
|---|---|---|
| 花は咲くが実がつかない | 若木・受粉不足・開花中の雨 | 別品種の花粉を筆でつける |
| 実が小さく数が多い | 摘果不足 | 葉三十枚に一個まで減らす |
| 虫食いばかり | 袋かけをしなかった | 六月中旬までに袋をかける |
| 去年多く今年少ない | 隔年結果 | 多い年に摘果を強める |
植えて三〜四年以内は実がつかなくても普通です。五年目から本格的に実がつきます。
マルメロの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
マルメロの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はマルメロの育て方にまとめています。
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