花芽のつき方を知る
マルメロの花は、前年に伸びた枝の先や、短く伸びた枝の先に一輪ずつつきます。長く勢いよく伸びた枝には花がつきにくく、五〜十五センチほどの短い枝によくつきます。つまり冬に枝先をすべて切り詰めると、花芽を落とすことになります。
切る前に枝先を見て、ふっくらと丸い芽が花芽、細くとがった芽が葉芽です。花芽のついた短い枝は残し、長い枝を減らすのが基本です。
| 枝の姿 | 花のつきやすさ | 扱い |
|---|---|---|
| 五〜十五センチの短い枝 | 多い | 残す |
| 三十〜五十センチの中くらいの枝 | 先に少し | 先を切らずに残す |
| 一メートル近い太い枝 | つかない | 半分に切るか付け根で抜く |
| 内向き・下向きの枝 | 少ない | 付け根で抜く |
花芽は十一月ごろにはふくらみが分かります。落葉後に枝先を確かめてから切る枝を決めます。
若木は開心形に仕立てる
植えて一〜三年目は、主枝を三本選んで中心を開いた開心形に仕立てます。植え付け時に幹を切り詰めると、翌春にその下から数本の枝が出るので、三方向に伸びる勢いのよい三本を主枝にし、それ以外は付け根から抜きます。中心が開いていると内側まで日が入り、病気も減ります。
- 主枝を三本選ぶ
- 幹の高さ三十〜六十センチから斜め四十五度ほどで三方向へ伸びる枝を選びます。真上に伸びる枝は実がつきにくいので避けます。
- 主枝の先を三分の一切る
- 若木のうちは主枝の先端を三分の一ほど切って、その下から側枝を出させます。外向きの芽の上で切ると枝が広がります。
- ひこばえを地際で切る
- 接ぎ木部分より下から出た芽は台木の芽です。養分を奪うので、見つけ次第地際で切ります。
鉢植えでは主枝の高さで幹を止め、高さ一・五メートル前後に抑えると管理が楽です。
冬の剪定で骨格を作る
落葉して枝が見える十二月から二月に行います。目標は、中まで日が入る開いた形にすることです。マルメロは内側が暗いと花芽がつかず、湿気で病気も出ます。切るのは内向きの枝、重なる枝、下向きに垂れた枝、細く弱い枝で、付け根から抜きます。
- 内向きと交差する枝を抜く
- 幹の内側へ向かう枝、ほかの枝とこすれる枝を付け根から切ります。枝の数を減らして風と光を通します。
- 長すぎる枝は半分に
- 一メートル近く伸びた勢いのよい枝は、半分ほどの位置で外向きの芽の上で切ります。翌年その下から短い枝が出て花芽がつきます。
- 短い枝は切らない
- 五〜十五センチの短い枝には花芽がついています。混んでいなければ一本も切らずに残します。
- 古い結果枝を更新する
- 何年も実をつけて細く弱った枝は、付け根近くから出ている若い枝の位置で切り戻します。一度に更新するのは全体の二割までにします。
太い枝を切ったら切り口に癒合剤を塗ります。切り口から胴枯れ病が入ることがあります。
夏の管理は軽くする
夏は基本的に切りません。ただし六月から七月にかけて幹の途中から勢いよく伸びる徒長(枝が勢いよく伸びすぎること)した枝は、柔らかいうちに手で取ります。冬に太くなってから切るより株への負担が小さくてすみます。実の近くで日を遮る枝も、混んでいれば軽く減らします。
| 時期 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 6月 | 徒長した枝を手で取る | 長さ二十センチ以内のうち |
| 7月 | 実を覆う枝を軽く減らす | 実に日が当たる程度 |
| 8月以降 | 何もしない | 花芽ができる時期 |
八月以降に枝を切ると、来年の花芽をつける枝を減らします。伸びすぎが気になっても冬まで待ちます。
枝の混み具合を見る目安
剪定を終えた木は、内側に立って見上げたときに空が三割ほど見える程度が目安です。まったく見えなければ切り足りず、半分以上見えるなら切りすぎです。葉が重なって影を作っていた枝を優先して抜くと、実に日が当たり、病気も減ります。
| 姿 | 判断 | 手当て |
|---|---|---|
| 空がまったく見えない | 混みすぎ | 内向き枝と重なり枝を抜く |
| 空が三割ほど見える | 適正 | そのまま |
| 空が半分以上見える | 切りすぎ | 翌年は軽めにする |
| 長い枝ばかりで短い枝がない | 切り詰めすぎ | 長い枝を半分で止めて短い枝を出させる |
迷った枝は残します。翌年の花のつき方を見てから切っても遅くありません。
切りすぎたときの立て直し
強く切りすぎると、翌年は長い枝ばかりが伸び、花も実もつかない年になります。慌ててさらに切ると悪循環です。一年は伸ばすままにして、次の冬に長い枝を半分で止め、短い枝が出るのを待ちます。
| 姿 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 長い枝ばかりで花がない | 冬に切りすぎた | 一年切らずに落ち着かせる |
| 内側が暗く実が小さい | 枝を残しすぎた | 冬に内向き枝を抜く |
| 切り口から枯れ込む | 癒合剤を塗らなかった | 枯れた部分を春に切り直す |
| 株元が枝だらけ | ひこばえ放置 | 地際で切り、接ぎ木部分を確認 |
実がつくまで三〜四年かかるのが普通です。若木のうちは花がなくても剪定の失敗とは限りません。
マルメロの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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