症状から原因を探す
マルメロはナシやリンゴと同じ仲間で、共通する病気と虫が出ます。葉に橙色の斑点、実の中に虫、実の表面に黒い斑点、の三つが代表的な症状です。まず一株全体を見て広がり具合を確かめ、被害の場所と時期から原因を絞ります。
| 症状 | 考えられる原因 | 見る場所 |
|---|---|---|
| 葉に橙色の丸い斑点 | 赤星病 | 五〜六月の葉の表 |
| 実に小さな穴と糞 | シンクイムシ | 実の軸の近く |
| 実の表面に黒い斑点 | 黒星病・黒斑病 | 梅雨明け後の実 |
| 新芽が縮れる | アブラムシ | 五月の葉の裏 |
| 枝の一部が急に枯れる | 胴枯れ病 | 切り口や傷の周り |
落ちた実と葉を放置すると、翌年の病気と虫の元になります。見つけたら集めて処分します。
赤星病はビャクシンから来る
五月から六月、葉の表に橙色の丸い斑点が出て、裏に毛のような突起が生じるのが赤星病です。病原菌はカイヅカイブキなどのビャクシン類で冬を越し、春の雨で胞子が飛んでマルメロに移ります。近くにビャクシンがあると毎年出るので、予防が中心になります。
- 周りのビャクシンを確かめる
- 半径数百メートル以内にカイヅカイブキや貝塚などの生け垣があるか見ます。自宅にあるなら、できれば別の樹種に替えます。
- 芽吹き前に殺菌剤を一回
- 三月下旬から四月上旬、芽が動く直前に果樹用の殺菌剤を一回散布します。開花前後にもう一回使うと効果が上がります。
- 出た葉は摘む
- 斑点の出た葉は治りません。見つけ次第摘み取って処分し、広がりを止めます。落ちた葉も拾って残さないようにします。
赤星病はマルメロからマルメロへは移りません。ビャクシンとの往復で広がるので、そちらを断つのが根本の対策です。
シンクイムシは袋かけで防ぐ
六月から九月、ガの幼虫が実に入り込んで中を食べます。軸の近くに小さな穴と糞が出ていれば入っています。入った実は治りません。摘果のあとすぐに袋をかけるのが最も確実な予防で、袋なしで育てるなら六月から八月に果樹用の殺虫剤を使います。
- 六月中旬までに袋をかける
- 実が親指の先から梅の実ほどのうちに、ナシやリンゴ用の果実袋をかけ、口を針金でしっかり留めます。
- 被害果は早く落とす
- 穴と糞のある実は摘み取り、ビニール袋に入れて処分します。中の幼虫が土に潜って翌年増えるのを防ぎます。
- 落果は毎日拾う
- 夏に落ちる小さな実にも幼虫が入っていることがあります。拾ってビニール袋に入れ、ごみとして出します。
近くにモモやナシ、カリンがあるとシンクイムシが行き来します。そちらの落果も拾います。
実の黒い斑点と胴枯れ病
梅雨明け後、実の表面に黒い斑点が出て広がるのは黒星病や黒斑病です。湿気の多い年に出やすく、袋かけと風通しの確保で減らせます。枝の一部が急に枯れ、皮が茶色く陥没するのは胴枯れ病で、切り口や傷から入ります。太い枝を切ったら癒合剤を塗り、枯れた枝は緑の部分まで切り戻して処分します。
| 種類 | 出る時期 | 手当て |
|---|---|---|
| 黒星病・黒斑病 | 梅雨〜夏 | 袋かけ、落ち葉の処分、殺菌剤 |
| 胴枯れ病 | 通年 | 枯れ枝を切り戻し癒合剤 |
| アブラムシ | 4〜5月 | 水で流す・指でつぶす |
| カイガラムシ | 通年 | 冬にブラシでこすり落とす |
枝が混んで風が通らないと病気が増えます。冬の剪定で内側を開けるのが最も効く予防です。
生理的な障害
病気や虫ではなく、育て方によって出る障害もあります。実の表面がごつごつと歪む、実が割れる、小さい実ばかりになる、といった症状は、水や肥料、摘果の加減で直します。マルメロの実はもともと歪みがあるので、多少の凹凸は品種の癖です。
| 見た目 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 実が割れる | 乾燥後の急な大雨 | 敷きわらと夏の水やり |
| 実が小さく数が多い | 摘果不足 | 葉三十枚に一個まで減らす |
| 実の表面が茶色くざらつく | 風で葉や枝にこすれた | 袋かけ、風当たりを避ける |
| 葉が早く落ちる | 病気か水はけの悪さ | 落ち葉を処分し排水を確かめる |
去年多く今年少ないのは隔年結果です。多い年に摘果を強めて波をならします。
薬を使わずに減らす工夫
家庭では農薬に頼らなくても、袋かけと日々の見回り、環境づくりで被害をかなり抑えられます。ポイントは木の内側を明るく保つこと、落ちた実と葉を残さないこと、実に袋をかけることの三つです。天敵のテントウムシやクモは残しておきます。
- 株元を裸にしておく
- 幹の周り五十センチは草を抜き、敷きわらも幹から少し離します。落ちた実や葉がすぐ見つかります。
- 冬に幹を洗う
- 落葉後、幹や太い枝をたわしで軽くこすり、カイガラムシや越冬中の卵を落とします。粗皮を剥ぎすぎないよう力は控えめにします。
- 週一回の見回りを決める
- 五月から九月は週に一度、新芽の先、葉の表、実の軸の周りを見る日を決めます。早く見つかれば手で取れる段階で済みます。
殺菌剤や殺虫剤を使うときは、果樹に登録のあるものをラベルの回数と時期を守って使います。
マルメロの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はマルメロの育て方にまとめています。
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