カリンとの違いを先に確かめる
マルメロはカリンとよく似た黄色い実をつけますが、別の植物です。マルメロの実は表面に綿毛があり、形は洋ナシに近く、果肉は加熱するとピンク色に変わります。カリンは実の表面がつるつるで、木肌がまだら模様になります。苗は名前で売られていますが、産地の長野では「カリン」と呼ばれることもあるので、実の特徴で確かめます。
マルメロは涼しく乾いた気候を好み、長野や青森など冷涼地で本格的に栽培されています。関東平野部でも育ちますが、夏の高温多湿で病気が出やすいので、風通しのよい場所を選びます。
| 見た目 | マルメロ | カリン |
|---|---|---|
| 実の表面 | 綿毛があり熟すと落ちる | つるつるで光沢がある |
| 実の形 | 洋ナシ形で歪みがある | だ円形で整っている |
| 木肌 | 褐色で剥がれにくい | 緑と褐色のまだら模様 |
| 花 | 白から淡い桃色、一輪ずつ | 濃い桃色、一輪ずつ |
花はリンゴに似た大きめの一輪咲きで、四月下旬から五月に咲きます。花だけでも観賞価値があります。
植える時期と場所
植え付けの適期は葉が落ちた十一月下旬から三月上旬です。真冬の凍る時期を避け、十二月上旬か二月下旬から三月上旬が扱いやすいでしょう。寒さには強く、氷点下十五度前後まで耐えるので、寒冷地でも露地で越冬できます。日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所を選びます。
| 地域 | 植え付け適期 | 注意点 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 3月中旬〜4月上旬 | 凍結が終わってから |
| 関東平野部 | 11月下旬〜3月上旬 | 厳寒期の1月は避ける |
| 暖地 | 11月〜12月 | 夏の病気に備え風通しを優先 |
近くにビャクシン類(カイヅカイブキなど)があると赤星病が出ます。植える前に周りの生け垣を確かめます。
苗の選び方と受粉樹
苗は二年生の接ぎ木苗が育てやすく、幹が鉛筆より太く、芽がしっかりしたものを選びます。マルメロは一本でも実がつく自家結実性がありますが、品種によって結実が不安定なことがあり、別品種か近くにカリンがあると実つきがよくなります。品種にはスミルナ、チャンピオン、かおりなどがあります。
| 品種 | 実の特徴 | 向く目的 |
|---|---|---|
| スミルナ | 大きく香りが強い | ジャムや果実酒 |
| チャンピオン | 丸みがあり収量が安定 | 初心者向け |
| かおり | 長野の選抜で香りがよい | 冷涼地 |
| 品種名なし | 接ぎ木苗なら実はつく | 観賞と少量の収穫 |
一本で実がつかないときは、開花期に別品種の花粉を筆でつけると確実です。
地植えの手順
成木は高さ三〜四メートル、枝張りも同じくらいになります。株間は三メートル以上取り、隣の木や壁から離します。直径と深さ五十センチほどの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土と堆肥を三割ほど混ぜ、元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)として油かすを一握り加えます。
- 根を広げて浅めに植える
- 苗の根を放射状に広げ、接ぎ木部分が地面より上に出る高さに植えます。深植えすると根が呼吸できず、生育が止まります。
- 幹を切り詰める
- 植えたら幹を地面から五十〜六十センチの高さで切ります。根と枝の釣り合いが取れ、翌春に勢いのよい枝が出て主枝を選べます。
- 支柱を立てて水を回す
- 幹の脇に支柱を一本立てて結び、株の周りに土手を作ってバケツ二杯ほどの水を注ぎます。根付くまでの二週間は乾かさないように見ます。
- 株元に敷きわら
- 植え終えたら幹の周りに敷きわらかバークチップを五センチほど敷きます。乾きが遅れ、雑草も抑えられます。
苗を切り詰めるのを惜しむと、細い枝ばかりで骨格が作れません。一年目の高さより、翌年の枝を優先します。
鉢植えで育てるとき
鉢でも育てられますが、実を採るなら十号以上の鉢が要ります。最初は八号から十号に植え、二年ごとに一回り大きくし、最終的には十二号から十五号で落ち着かせます。用土は市販の果樹用か、赤玉土七に腐葉土三を混ぜたものを使います。鉢植えは乾きやすいので、夏の水やりを毎日見ます。
| 鉢の大きさ | 苗の状態 | 植え替えまでの年数 |
|---|---|---|
| 8〜10号 | 二年生の接ぎ木苗 | 2年 |
| 12号 | 三〜四年目 | 2〜3年 |
| 15号以上 | 結実期 | 根詰まりを見て随時 |
鉢植えは高さ一・五メートル前後に抑えます。実は一株に三〜五個が目安です。
根付かないときの原因を切り分ける
植えて二か月たっても芽が動かない、葉が開いてすぐしおれる、といったときは根の状態から見直します。マルメロは根付きのよい木なので、失敗の多くは深植えか水切れ、水はけの悪さです。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 芽が動かない | 根が乾いた・深植え | 掘り上げて植え直す |
| 葉が開いてしおれる | 水切れか根の傷 | 毎日水をやり葉を半分落とす |
| 葉が黄色く落ちる | 水のやりすぎ・排水不良 | 土手を崩し水を控える |
| 根元から芽ばかり出る | 接ぎ木部分を埋めた | ひこばえを切り、土を減らす |
幹の皮を爪で少し削り、下が緑なら生きています。茶色なら枝の先から順に確かめ、緑の部分まで切り戻します。
マルメロの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
マルメロの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はマルメロの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。