秋まきの月別作業
家庭菜園の大根は秋まきが主軸です。気温が下がりながら育つため、とう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)の心配がほとんどなく、害虫の勢いも週を追って弱まります。播種からの日数は品種で異なりますが、青首系の一般的な品種でおおむね60〜90日です。
秋まきの山場は播種からの2週間です。残暑で表土が乾きやすく、虫の活動もまだ盛んなので、水と防虫網の二つだけは手を抜けません。ここを越えれば、あとは涼しくなるにつれて手がかからなくなります。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 8月 | 畑を深く起こす、堆肥を入れる | 播種の3週間以上前に済ませる |
| 9月 | 播種、防虫網、1回目の間引き | 高温期の播種は乾かさないことが最優先 |
| 10月 | 2回目の間引き、追肥、土寄せ | 本葉5〜6枚で1本立ちにする |
| 11月〜1月 | 収穫、土中保存、干し大根 | 肩の直径6〜7センチが抜きどき |
9月にまいた株は11月から抜き始められます。畑が空く時期を逆算して、後作に何を植えるかもこの時点で決めておきます。
春まきの月別作業
春まきは、まだ寒い時期に育ち始めて暖かくなるにつれて太るという逆の流れになります。低温に当たると花芽ができるため、晩抽性の品種を選び、保温して初期を乗り切ることが条件になります。収穫は秋まきより短く、50〜60日程度で終える品種が中心です。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 2月 | 土づくり、資材の準備 | 春先の畑は湿っているので乾いた日に耕す |
| 3〜4月 | 播種、トンネルや不織布で保温 | 晩抽性品種を選び、地温が上がってからまく |
| 4〜5月 | 間引き、追肥、防虫網へ切り替え | 暖かくなると害虫が一気に増える |
| 5〜6月 | 収穫 | 遅らせるととう立ちとす入りが同時に来る |
春まきは早く抜くのが正解です。太るのを待つほど、とうが立って中身が空く方向へ進みます。
地域による適期のずれ
同じ9月でも、寒冷地ではすでに播種の適期を過ぎ、暖地ではまだ早いということが起こります。下の表で自分の地域の幅を確かめてから、月別の作業を読み替えてください。
| 地域 | 秋まきの播種 | 秋まきの収穫 |
|---|---|---|
| 暖地 | 9月上旬〜10月上旬 | 11月中旬〜2月 |
| 中間地 | 8月下旬〜9月下旬 | 11月上旬〜1月 |
| 寒冷地 | 8月中旬〜9月上旬 | 10月下旬〜12月上旬 |
寒冷地では土が凍る前に抜き切ります。凍結した土から抜くと折れ、傷んだ大根は保存がききません。
月ごとに迷いやすい判断
- 9月 まき遅れたとき
- 適期を10日以上過ぎたら、短形種やミニ大根に切り替えます。長い品種は太る前に寒さで生育が止まります。
- 10月 葉ばかり茂るとき
- 追肥(育てている途中で足す肥料)はここで打ち切ります。根が太る時期に窒素が残っていると、葉に養分が回り続けます。
- 12月 収穫が追いつかないとき
- 畑に置いたまま葉を切り、土をかぶせて土中保存に切り替えます。畑がそのまま貯蔵庫になります。
- 11月 強い霜が降りたとき
- 地上に出た首が凍ると、その部分から傷みます。首が隠れるまで土を寄せるか、切りわらをかぶせて覆います。
- 3月 まだ寒いとき
- 無理にまかず、トンネルで地温を確保できるまで待ちます。地温が上がらない時期の播種は発芽がそろいません。
どの月でも、迷ったら1本抜いて切ってみます。畑で見ているだけでは分からないことの多くは、切り口を見れば決まります。
収穫を長く続ける組み立て
秋まきは1回でまき切らず、9月の上旬と下旬など2週間ずらして2回に分けると、収穫の山が分散して食べきれます。品種を早生と中生で分ける方法も同じ効果があります。家庭菜園では作る量より、抜きどきを迎える時期をずらすほうが失敗が少なくなります。
面積が限られていて2回に分けられないなら、同じ日に早生と中生を半分ずつまきます。日をずらさなくても収穫期が2〜3週間ずれるので、畝を分けずに山を崩すことができます。
| 組み立て | 播種 | 収穫の山 |
|---|---|---|
| 1回でまき切る | 9月中旬に全部 | 11月に集中する |
| 2回に分ける | 9月上旬と9月下旬 | 11月と12月に分かれる |
| 早生と中生を混ぜる | 同じ日にまく | 2〜3週間ずれて続く |
| 短形種を足す | 9月下旬 | 早く抜けて畝が先に空く |
畑に大根を長く置けるのは寒い時期だけです。暖かくなればとうが立つため、春が来る前に食べ切る計画で植える量を決めます。
翌年のために残す記録
- 播種日と品種名
- まいた日と品種を残します。まき遅れだったのか品種が合わなかったのかを、翌年に切り分けられます。
- 1本立ちにした日
- 2回目の間引きの日を残します。太りが悪かった年は、ここが遅れていたことが原因のことが多くあります。
- 抜いた日と根の形
- 収穫日と、又根やす入りの有無を書きます。次にどの区画で作るかを決める材料になります。
記録は畑の区画ごとに分けます。同じ年でも場所によって形の乱れ方が違い、そこが土の問題の在りかを示します。
予定がずれたときの手当て
暖かい秋や急な寒波で、月別の予定は毎年のようにずれます。日付ではなく株の姿を基準にすれば、出遅れた年でも収穫までは持っていけます。
| 症状 | 起きていること | 打つ手 |
|---|---|---|
| まく時期が2週間遅れた | 生育の期間が足りない | 早生の品種に替え、不織布をかけて保温する |
| 葉が大きく根が細い | 肥料と水が多すぎる | 肥料を止め、水やりの間隔をあける |
| 春まきで花芽が立った | 低温に長く当たった | 早めに収穫し、次はまく時期を後ろへずらす |
| 寒さで太りが止まった | 地温が下がりすぎている | 畑に置いたまま土をかけ、必要な分だけ抜く |
遅れを取り戻そうとして肥料を足すと、葉ばかり茂って根が細ります。遅れた年は品種と保温で調整します。
大根の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
大根の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は大根の育て方にまとめています。
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