まく時期を外さない
大根は発芽から根が太り始めるまでの気温が15〜20度あたりのときにもっとも素直に育ちます。秋まきが基本とされるのは、生育が進むにつれて涼しくなり、害虫の勢いも落ちていくためです。春まきは逆に、寒さから暖かさへ向かうため、とう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)と害虫の両方に追われます。

| 地域 | 秋まきの適期 | 春まきの適期 |
|---|---|---|
| 暖地 | 9月上旬〜10月上旬 | 3月中旬〜4月中旬 |
| 中間地 | 8月下旬〜9月下旬 | 3月下旬〜4月下旬 |
| 寒冷地 | 8月中旬〜9月上旬 | 4月中旬〜5月中旬 |
秋まきで迷ったら遅らせるより少し早めます。冷え込みが来ると根が太る前に生育が止まり、細いまま冬を迎えます。
種まきの手順
まき穴をつける
空き瓶の底や手のひらで、直径6〜7センチ、深さ1センチほどのくぼみを平らにつけます。底が平らだと種が中央に寄らず、間隔が保てます。
4〜5粒を離してまく
くぼみの縁に沿って等間隔に置きます。重なると根が絡み、間引くときに残す株まで揺らしてしまいます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)
土を1センチかぶせ、手のひらで軽く押さえる(転圧という)。大根は好光性ではないため覆土は必要で、鎮圧すると水が種に届きます。
たっぷり水をやる
まいた直後に一度しっかり与え、発芽まで表土を乾かしません。秋まきの初期は残暑で乾きやすく、乾かすと発芽がばらつきます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
まき終わったらすぐに防虫網をかけます。発芽してから虫に気づいて掛けるのでは、すでに中に入られています。
発芽から間引きまでの流れ
- 種まき1か所に4〜5粒を離してまく
- 発芽表土を乾かさず、芽がそろうのを待つ
- 子葉が開く形の良い株を残して3本程度に間引く
- 本葉5〜6枚生育の良い1本だけを残す
- 土寄せ株元へ土を寄せて、ぐらつきを防ぐ
1回目の間引きは子葉のかたちで選ぶ
双葉が開いた頃、4〜5本を3本に減らします。このとき見るのは大きさではなく子葉のかたちです。左右対称でハート型に整った株を残し、ねじれているもの、片方が小さいものを抜きます。子葉のゆがみは根の変形と結びつきやすいためです。
抜くときは、残す株の根元を指で押さえて、抜く株を斜めに引きます。まっすぐ上へ引くと隣の根まで持ち上がります。混み合って抜きにくければ、地際をはさみで切っても構いません。
- 見るのは子葉の形
- 左右対称でハート型に整った株を残します。ねじれや左右差のある子葉は、根が変形する前ぶれと考えます。
- 抜くときの手つき
- 残す株の根元を指で押さえ、抜く株を斜めに引きます。真上に引くと隣の根まで一緒に持ち上がります。
- 抜きにくいとき
- 混み合って手が入らなければ地際をはさみで切ります。土の中に根が残っても、残す株の生育には響きません。
間引いた双葉と本葉は柔らかく、そのまま食べられます。捨てる前提の作業ではないと考えると、適期を逃しにくくなります。
2回目の間引きで1本に絞る
本葉が5〜6枚になったら1本立ちにします。残すのは葉の色が濃すぎず、株元がぐらつかず、葉柄が短くて締まった株です。この頃には根の首が少し太り始めているので、指で軽く触れて丸く張っているものを選ぶこともできます。
遅れて間引くと、根同士が押し合った跡が肌に残り、太りも鈍ります。逆に早く1本にしすぎると、その1本が虫にやられたときに取り返しがつきません。2回に分けるのは、この二つの失敗の間を取る方法です。
| 段階 | 本葉の枚数 | 残す本数 | 見るところ |
|---|---|---|---|
| 播種 | ― | 4〜5粒 | 粒どうしを離して置く |
| 1回目の間引き | 子葉が開いた頃 | 3本 | 子葉の形の整い方 |
| 2回目の間引き | 5〜6枚 | 1本 | 葉柄の短さと首の張り |
1本立ちのあとに株元へ土を寄せて安定させます。ここで倒れた株はその後まっすぐ太らず、曲がった大根になります。
発芽と間引きの失敗を切り分ける
まいたのに生えない、間引いたのに太らないというつまずきは、原因が限られています。抜いた株の姿を見れば、次にどこを直せばよいかがそのまま決まります。
| 症状 | 考えられる原因 | 次にとる手 |
|---|---|---|
| ところどころ生えない | 覆土が厚いか乾かした | 覆土は1センチにし、発芽まで乾かさない |
| 生えたが糸のように細い | 日照不足と間引きの遅れ | 子葉が開いたら早めに1回目を間引く |
| 残した株が倒れる | 土が浅く根が浮いている | 株元へ土を寄せ、風の当たる面を減らす |
| 葉ばかり茂り根が太らない | 肥料が効きすぎている | 肥料を止め、次作は元肥を控えめにする |
抜いた株は捨てる前に根の先を見ます。先が二股なら石や未熟な堆肥が当たった証拠で、次は土をふるってからまきます。
点まきで4〜5粒まく理由
1か所に1粒だけまくと、その株が虫に食われた時点でその場所は空きます。4〜5粒あれば、発芽のそろいと双葉のかたちを見比べて、いちばん形の良い株を選んで残せます。複数まきは、発芽しなかった場合や虫害への保険として考えます。
株間は品種で決めます。青首系の一般的な大根で25〜30センチ、短形種やミニ大根なら15〜20センチが目安です。狭いと肩が張れず、細長い割に重さが出ない大根になります。
| 品種のタイプ | 株間 | 条間 |
|---|---|---|
| 青首の総太り種 | 25〜30センチ | 60センチ |
| 短形種、丸大根 | 20〜25センチ | 50センチ |
| ミニ大根 | 15〜20センチ | 40センチ |
| 二十日大根 | 5〜6センチ | 15センチ |
種は寿命が比較的長い部類ですが、発芽率は年々落ちます。古い種を使うときは粒数を1粒増やして保険をかけます。
春まきでとう立ちさせないために
大根は一定期間の低温に当たると花芽をつくり、その後の高温と日長で花茎が伸びます。春まきで早くまきすぎると、苗が小さいうちに寒さに当たって花芽ができ、根が太る前にとうが立ちます。芯が硬くなり、す入りも進みます。
対策は二つです。ひとつは春まき用の晩抽性品種を選ぶこと、もうひとつはトンネルや不織布で保温し、生育初期に低温へ当てないことです。地温が上がるのを待って、地域の適期の後半にまくほうが安全な年もあります。
- 晩抽性の品種を選ぶ
- 春どり用として売られている品種を使います。秋まき用を春にまくと、根が太る前に花芽ができてしまいます。
- 低温に当てない
- 13度以下が続くと花芽ができます。トンネルや不織布で覆い、生育初期の冷え込みを避けることが条件になります。
- 適期の後半にまく
- 寒い年は無理に早くまかず、地温が上がるのを待ちます。10日遅らせても収穫はほとんど遅れません。
とうが立ち始めた株は太りません。見つけたら小さくても抜いて、若い花茎を菜花として食べたほうが得です。
大根の種まきでよくある質問
大根の種は何粒ずつまく?
1か所に4〜5粒を離して点まきします。発芽しなかった場合や虫害への保険になり、発芽後に生育の良い株を選んで残せます。
大根の種は何cmの深さにまく?
約1cmです。土をかぶせたら手のひらで軽く押さえ、種と土を密着させます。
大根の株間は何cm?
一般的な青首大根は25〜30cm程度が目安です。短形種やミニ大根は種袋の表示に合わせて狭くできます。
大根の種まき後は毎日水やりする?
毎日と決めず、発芽までは表土を乾かさないように確認します。まいた直後はたっぷり与え、土が湿っている日は追加しません。
大根は何日で発芽する?
適温なら3〜5日程度が目安です。低温や乾燥では遅れるため、1週間ほどは土の状態を見ながら待ちます。
間引きはいつする?
子葉が開いたら3本程度にし、本葉5〜6枚で生育の良い1本にします。1本立ちの後は株元へ土寄せします。
大根はプランターでも種まきできる?
できます。深さ30cm以上を目安に、深型プランターと短形・ミニ大根の品種を選ぶと育てやすくなります。
大根の種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
大根の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は大根の育て方にまとめています。
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