生育段階で警戒対象が入れ替わる
大根の被害は、地上部の食害と、土の中で進む根の障害に大きく分かれます。前者は発芽から本葉が数枚になるまでが山で、後者は収穫して初めて分かることが多いという違いがあります。どの時期に何を警戒するかを決めておくと、対処が後手に回りません。
| 時期 | 主な警戒 | 打つ手 |
|---|---|---|
| 播種〜発芽 | 地際から食われて欠株 | 播種と同時に防虫網、まき粒数を確保 |
| 本葉1〜5枚 | 葉を食う虫、アブラムシ | 網の裾を土に埋め、見回りを毎日にする |
| 根が太る期 | 土中の障害、過湿による腐り | 高畝と排水、無用な中耕をやめる |
| 収穫期 | 裂根、す入り、凍害 | 適期に抜く、首まで土をかける |
発芽直後の2週間で勝負が決まる
本葉が数枚になるまでの大根は、葉を数枚食われただけで生育が止まります。この時期の防除の中心は薬剤ではなく、物理的に虫を入れないことです。播種と同時に防虫網をかけ、裾は土に埋めるか板で押さえます。あとから掛けると、すでに内側に虫を閉じ込めることになります。
秋まきの初期は残暑が残っており、虫の活動もまだ盛んです。逆にいえば、9月下旬以降にまく地域では被害が軽くなります。まき時を数日ずらすだけで防除の手間が変わるという意味でも、適期の選び方が防除の一部になります。
- 播種と同時に掛ける
- 発芽してから掛けるのでは、すでに内側に虫を閉じこめています。まき終わったその日に掛けるのが原則です。
- 裾を押さえる
- 網の裾は土に埋めるか板で押さえます。すき間が数センチあれば、そこから入られて掛けた意味がなくなります。
- 開けたら閉じる
- 間引きや追肥(育てている途中で足す肥料)のたびに開けることになります。作業したその日のうちに必ず閉じ、めくったままにしません。
食害された穴の数より、成長点が残っているかどうかを見ます。中心の若い葉が無事なら回復しますが、芯を食われた株は抜いて次を残します。
肌荒れは土の中で起きている
収穫した大根の表面に、細かいかさぶた状の傷や褐色の点が帯のように並んでいることがあります。多くは土の中で根の表皮を傷つける小さな生き物、なかでもネグサレセンチュウによる被害です。地上部にはほとんど症状が出ないため、抜くまで気づきません。
この被害は薬剤で消すというより、増やさない設計で抑えます。同じ場所で大根やほかの根菜を続けて作らないこと、収穫後の残さを畑に残さないこと、そして対抗植物としてマリーゴールドやエンバクを前作に入れることが有効とされています。被害が強い区画では、栽培そのものを1年休ませる判断も現実的です。
| 抜いた根の様子 | 考えられる原因 | 次作でとる手 |
|---|---|---|
| 細かい褐色の点が帯状に並ぶ | ネグサレセンチュウ | 前作に対抗植物を入れ、2年あける |
| 表面がかさぶた状にざらつく | 土の中の菌による肌の病害 | 未熟な堆肥と鶏ふんを入れない |
| 先端が黒く腐っている | 過湿と排水不良 | 高畝にして水の抜け道を作る |
| 途中に食い跡の穴がある | 土の中の食害虫 | 収穫後の残さを畑に残さない |
肌が荒れていても中身は問題なく食べられます。皮を厚めにむけば済むため、見た目だけで捨てる必要はありません。
す入りと裂根は病気ではない
切ったときに中心が白くスカスカになっている状態がす入りです。これは病害ではなく、根の肥大が止まったあとも葉が成長を続け、根の中の養分と水分が使われた結果です。採り遅れ、とう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)、生育後半の高温と乾燥が重なると進みます。
縦に割れる裂根も同じく生理的な現象で、乾燥のあとの急な吸水が引き金です。どちらも一度起きると戻りません。防ぐには適期に抜くこと、水分の変動を小さくすること、そして太らせすぎないことに尽きます。
| 症状 | 起きる条件 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 中心が白くスカスカになる | 採り遅れ、とう立ち、高温乾燥 | 適期に抜き、太らせすぎない |
| 縦に長く割れる | 乾燥のあとの急な吸水 | 乾湿の差を小さく保つ |
| 首が割れて黒ずむ | 冬の凍結と融解の繰り返し | 首が隠れるまで土をかける |
す入りが疑わしいときは、抜いた1本を切って確かめます。1本で判断できれば、残りをいつまで置けるかの見当がつきます。
連作と輪作の組み立て
- 同じ科を続けない
- 大根はアブラナ科です。キャベツや白菜、小松菜の後に作ると土の中の被害が重なります。1〜2年は間をあけます。
- 前作に対抗植物を置く
- 夏にマリーゴールドやエンバクを育ててすき込むと、土中の線虫の密度を下げられます。緑肥として土も柔らかくなります。
- 収穫後を片づける
- 抜いた葉や、割れて置いてきた根を畑に残さないようにします。残さは越冬する虫と病原の住処になります。
区画ごとに何を作ったかを記録しておくと、輪作の判断が記憶に頼らずに済みます。被害の出た区画は特に記録の価値が高い場所です。
葉の食害と病気の見分け
葉に穴が開いたからといって、いつも虫がいるとは限りません。食べられたのか、しおれただけなのかを分けてから手を打つと、薬をむだに使わずに済みます。
| 葉の症状 | 病害虫か | 対応 |
|---|---|---|
| 小さな穴が点々と開く | そうだ | キスジノミハムシ。防虫網で覆う |
| 夜のうちに大きく欠ける | そうだ | ヨトウ類。株元の土を掘って捕る |
| 下葉が黄色く枯れ上がる | 違う | 肥料切れか古い葉の入れ替わり |
| 日中だけしおれ夕方戻る | 違う | 水切れによるもので病気ではない |
株全体に同じ症状が出ていれば環境か肥料、一株から広がっていれば病害虫です。数日おいて同じ葉を見比べます。
大根の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は大根の育て方にまとめています。
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