種もみをどこから手に入れるか
稲は家庭菜園向けの種が園芸店にほとんど並びません。手に入れやすいのは、農協や小学校向けに配られるバケツ稲のセット、通販の種もみ、または知り合いの農家から分けてもらう方法です。食用の玄米は発芽率が低く、品種も分からないので避けたほうが無難です。
品種は関東平野部なら中生の品種が育てやすく、寒冷地なら早生、暖地なら晩生も選べます。バケツで育てる分には収量よりも、丈が低くて倒れにくい品種を選ぶのが目安です。
| 入手先 | 品種の分かりやすさ | 向いている人 |
|---|---|---|
| バケツ稲セット | 品種と手引きが付く | はじめての一鉢 |
| 通販の種もみ | 品種を選べる | 品種比べをしたい人 |
| 農家から分けてもらう | 地域に合う品種 | 田んぼが近い人 |
| 食用の玄米 | 品種不明で発芽が悪い | おすすめしない |
もち米も同じ手順で育ちますが、うるち米と近くで育てると花粉が混じることがあります。バケツ一つなら気にしなくて構いません。
塩水選で中身の詰まったもみだけ残す
見た目は同じでも、中身の軽いもみは発芽しても弱い苗になります。水に塩を溶かして浮くものを捨てる塩水選は、農家が今も欠かさない最初のふるい分けです。家庭の量なら茶碗一杯の水で十分です。
- 塩水を作る
- 水一リットルに塩を百五十グラムほど溶かします。生卵を入れて横向きに浮き、五百円玉ほどの面が水面に出る濃さが目安です。
- もみを入れて混ぜる
- 種もみを入れて軽くかき混ぜ、浮いたものを捨てます。沈んだものだけが中身の詰まった種で、これを使います。
- 真水でよく洗う
- 塩が残ると発芽を妨げます。ざるにあけて流水で二、三回すすぎ、塩気を落としてから次の浸種に移ります。
水に浸して芽を出させる
稲のもみは乾いた土にまいてもなかなか芽が出ません。先に水に浸けて、白い芽がわずかに顔を出したところでまく「催芽まき」が基本です。水温の合計で百度前後、たとえば十五度の水なら一週間ほどが目安です。
- 容器に浸ける
- コップや保存容器に種もみを入れ、たっぷりの水に沈めます。置き場所は日の当たらない室内で、水温は十五度前後を保ちます。
- 毎日水を替える
- 水が濁ると酸素が足りず腐ります。一日一回は新しい水に替え、もみの表面がぬるつかないか触って確かめます。
- 芽の長さを見て止める
- もみの先から白い芽が一ミリほど出たら浸けるのをやめます。伸ばしすぎると土に落とすときに折れ、そこから腐ります。
- まく前に軽く乾かす
- ざるにあけて数時間おき、表面の水気を飛ばします。手でつまんで指にくっつかないくらいが扱いやすい状態です。
浸ける期間は関東で四月下旬から五月上旬に始めると、田植えの時期にちょうど良い苗になります。
苗箱かポットで二十日ほど育てる
芽出しした種は、バケツに直まきもできますが、別の浅い容器で苗にしてから植えたほうが失敗が少なくなります。深さ五センチほどの箱やポットに土を入れ、種を一センチ間隔でまきます。土は市販の野菜用培養土で構いません。
覆土は五ミリほどのごく薄く。厚いと芽が土を持ち上げられず、薄すぎると根が浮きます。まいたら霧吹きで土を湿らせ、日当たりのよい場所に置きます。夜の冷え込みが十度を切る日はビニールをかぶせて保温します。
- 土を平らにならす
- 苗箱の土を指で軽く押さえて平らにし、表面がでこぼこにならないようにします。凹んだ所に水がたまると種が腐ります。
- 種を一粒ずつ置く
- 指で一センチ間隔に種を置いていきます。芽の出た側を上にする必要はなく、根が自分で下を探して伸びます。
- 薄く土をかける
- ふるった土を五ミリ厚さでかけます。土の間からもみがのぞくくらいで十分で、隠しきる必要はありません。
- 水は底面から
- 上から勢いよくかけると種が流れます。箱ごと水を張った受け皿に置き、下から吸わせる方法が安全です。
植えられる苗の姿を見て決める
苗は日数ではなく姿で判断します。葉が三枚から四枚出て、丈が十センチから十五センチになったころが植えどきです。根元を軽く引いて抜けなければ、根がしっかり張っている証拠です。
| 姿 | 判断 | 対処 |
|---|---|---|
| 葉が三、四枚、丈十五センチ | 植えごろ | そのままバケツへ |
| 丈が二十センチ超えでひょろ長い | 徒長(光不足でひょろ伸び) | 外の日なたに出して数日締める |
| 葉先が黄色く細い | 肥料か水の不足 | 薄い液肥を与えて様子を見る |
| 根元が茶色くぬるつく | 水のやりすぎで根腐れ | 健全な苗だけ選んで使う |
発芽しないときの原因と立て直し
まいて一週間たっても芽が見えないときは、まず土を少し掘って種の状態を確かめます。もみが白く膨らんで芽がのぞいていれば、単に温度が足りないだけなので待てば出ます。黒ずんで柔らかいなら腐っています。
- 温度を確かめる
- 稲の発芽には二十度以上が必要です。四月の関東はまだ足りない日が多いので、室内の窓辺やビニールで覆って温めます。
- 水の量を見直す
- 土が常にびしょ濡れだと酸素が足りず腐ります。表面が湿っている程度に保ち、受け皿の水は毎回捨てます。
- まき直しの目安
- 五月中旬までなら、芽出しからやり直しても田植えに間に合います。それ以降は苗を買うか、来年に持ち越すのが現実的です。
腐った種を取り除かずに同じ土でまき直すと、また同じことが起きます。土は新しいものに替えてください。
種まきの手順
稲は、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
稲の種まきでよくある質問
稲の種はいつまく?
地域と地温に合わせる。地域、品種、その年の気温で前後するため、本文の適期も確認してください。
稲の種はどうやってまく?
直まきが目安です。種の性質に合わせた覆土と、発芽までの水分管理が大切です。
稲の種は何cmの深さにまく?
種の大きさや好光性・嫌光性によって異なります。本文の覆土の目安と、購入した種袋の表示を優先してください。
稲の種まき後は毎日水やりする?
回数ではなく土の乾き具合で判断します。発芽までは表土を乾かさず、過湿で水がたまる状態は避けます。
稲は何日で発芽する?
発芽日数は地温と品種で変わります。種袋の目安を確認し、適温と水分を保って待ちます。
稲の種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
稲の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は稲の育て方にまとめています。
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