見た目から病害虫を見分ける
稲の病害虫は葉に出るものと穂に出るものに分かれます。葉に斑点や変色が出たら病気、穂の粒に黒い点や吸われた跡があれば虫、穂がまるごとなくなっていれば鳥です。まず見た目で大きく分け、それから細かく見ます。
| 見た目 | 疑うもの | 出やすい時期 |
|---|---|---|
| 葉に灰色の紡錘形の斑点 | いもち病 | 梅雨と低温の続く夏 |
| 葉鞘に波打つ模様の枯れ | 紋枯病 | 高温多湿の八月 |
| もみに黒い点、米が黒く変色 | カメムシの吸汁 | 出穂後の八月から九月 |
| 葉が白くかすれる、糸を引く | コブノメイガなどの幼虫 | 七月から八月 |
| 穂がちぎれてなくなる | スズメ | 色づき始めの九月 |
いもち病は肥料と湿気で呼び込む
いもち病は稲でいちばん怖い病気で、葉に紡錘形の灰色の斑点が出て広がり、穂に移ると首の部分が枯れて実が入りません。冷夏と長雨、そして窒素の多すぎる株に出やすく、家庭では追肥(育ちの途中で足す肥料)を控えることが最大の予防になります。
- 肥料を欲張らない
- 葉の色が濃すぎる株ほど発病します。元肥は控えめにし、追肥は葉の色が薄いときだけにします。
- 葉を濡らさない
- 水やりは水面に注ぎ、葉に水をかけません。長雨のときは軒下に寄せて葉が乾く時間を作ります。
- 斑点の葉を取る
- 最初の斑点を見つけた日に、その葉を根元から切って袋に入れて捨てます。放つと胞子が周りに飛びます。
- 風を通す
- バケツどうしを密着させず、株の周りに空気が動く隙間を作ります。ベランダの隅より手すり際が向きます。
穂に移った穂いもちは手当てできません。葉の段階で止めることに集中します。
カメムシは穂が出たら見回る
穂が出て柔らかい実が入り始めると、カメムシが飛んできて吸います。吸われた粒は黒い点が付いた「斑点米」になり、味には影響しにくいものの見た目が悪くなります。夏の朝、穂に止まっている虫を見つけて捕るのが家庭ではいちばん確実です。
- 朝に穂を見る
- カメムシは朝の涼しい時間に動きが鈍く、穂に止まっています。出穂から三週間は毎朝穂を見ます。
- 容器に落とす
- 手で払うと飛んで逃げるので、水を入れたペットボトルの口を下から当てて落とし込みます。臭いが手に付きません。
- 周りの草を刈る
- 近くの雑草の穂で増えたものが移ってきます。ベランダ周りの草や隣のプランターの雑草を抜いておきます。
- ネットで穂を覆う
- 防鳥用の細かいネットで穂全体を包めば、カメムシも入れません。出穂後すぐにかければ一石二鳥です。
葉を食べる幼虫とアブラムシ
葉が筒状に巻かれて中が白くかすれていたら、コブノメイガなどの小さな幼虫が中にいます。巻いた葉を指でつぶすだけで済みます。アブラムシは穂に付くことがあり、数が多いと実の入りが悪くなるので、水で流すか野菜用の殺虫剤を使います。
いずれも株を枯らすほどの害にはなりにくいので、見つけた分だけ取り除けば十分です。毎朝水位を見るついでに葉と穂を一周眺める習慣が、そのまま防除になります。
- 巻いた葉をつぶす
- 筒になった葉を見つけたら、中の虫ごと指でつぶします。葉を切る必要はなく、数枚なら株への影響もありません。
- 穂のアブラムシは流す
- 穂の付け根に群れていたら、霧吹きで水を強めに当てて落とします。開花中の午前は避け、午後に行います。
- 殺虫剤は表示を確認
- 使うなら稲に使える表示のある野菜用の殺虫剤を選び、収穫前の日数を守ります。開花中の散布は避けます。
スズメは色づいた日から来る
穂が黄色くなり始めると、どこからともなくスズメが集まります。都会のベランダでも例外ではなく、放っておくと数日で穂が空になります。目玉風船やキラキラのテープは数日で慣れられるので、物理的に穂を覆うのが確実です。
| 方法 | 効き目 | 注意 |
|---|---|---|
| 穂をネットで包む | 確実 | 目の細かいものを使う |
| バケツ全体に防虫ネット | 確実 | 支柱を立てて葉に触れさせない |
| キラキラのテープ | 数日 | すぐ慣れるので補助に |
| 室内に取り込む | 確実 | 日照が減るので登熟の終盤だけ |
被害が出てからの立て直し
家庭のバケツ稲は株が一つか二つしかないので、被害が出ると取り返しがつかないように感じます。しかし葉の一部を失っても穂は残り、穂の一部を食べられても残りは実ります。何を守れば収穫につながるかを基準に判断します。
- 葉の病気は株を残す
- 半分以上の葉に斑点が出ても、穂が無事なら実ります。病葉を取り、肥料を止め、風通しを作って穂を守ります。
- 穂の一部を失ったら
- 残った穂にネットをかけ、水管理を続けます。一株で三十本の穂があれば、数本失っても茶碗一杯には届きます。
- 来年への申し送り
- 何がいつ出たかを日付とともに記録します。翌年は同じ時期の一週間前からネットや見回りを始められます。
病気の出た株の土は翌年使い回しません。バケツも洗って乾かしてから来年の土を入れます。
稲の収穫までのコツは作物ページに
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