二大病害は条件がまったく違う
黒星病は葉が濡れ続けることで感染します。胞子が発芽してから葉の表面が7時間ほど濡れたままだと侵入が成立し、20から25℃前後でもっとも進みます。だから梅雨と秋の長雨が山になります。
うどんこ病は逆に水を嫌います。菌は水がなくても発芽でき、むしろ長く濡れた葉では死にます。日中は乾いて夜に湿る、昼夜の差が大きい春と秋の新芽で爆発するのはこのためです。
| 病気 | 出やすい条件 | 主に出る場所 |
|---|---|---|
| 黒星病 | 雨が続き葉が長く濡れる | 株元に近い下葉から上へ |
| うどんこ病 | 乾湿差が大きく風通しが悪い | 新芽とつぼみ、若い葉 |
| 灰色かび病 | 低温多湿で花が濡れたまま | 開いたばかりの花弁 |
| 根頭がんしゅ病 | 傷口から土の細菌が入る | 接ぎ口と根の付け根 |
同じ株に両方が同時に出ることは珍しくありません。片方の条件を消しても、もう片方は残ると考えて設計します。
黒星病は水のはねを止めて防ぐ
黒星病の胞子は雨のはね上がりで土から下葉へ運ばれます。感染は必ず下から始まるので、地面と葉の間に距離と障壁を作るだけで発生の立ち上がりが目に見えて遅くなります。
- 株元を覆う
- バークや腐葉土で土の表面を覆い、雨粒が土をたたいて跳ねるのを止めます。同時に夏の乾燥も抑えられます。
- 水は必ず株元へ
- 葉の上から水をかけると、濡れた時間を自分で延ばすことになります。ホースの先を土に向け、葉を濡らさずに与えます。
- 朝に水をやる
- 夕方に濡らすと夜通し乾きません。朝に与えれば日中に乾き、感染に必要な7時間の連続した濡れを作りません。
- 下葉を空ける
- 地面から20から30センチの高さの葉と枝を整理し、はねが直接届く範囲を空けます。風も抜けやすくなります。
発病した葉は治りません。黒い斑点と黄変を見つけたらその葉だけを取り、地面に落とさず持ち出して処分します。
うどんこ病は風と日を通して防ぐ
うどんこ病は密植と窒素過多で急に増えます。柔らかく茂った新芽は菌にとって最良の餌で、日が当たらず空気の動かない場所ほど胞子が長く生き残るからです。
- 枝を透かす
- 混み合った細枝を抜き、株の内側に光が差す状態を保ちます。冬剪定だけでなく、生育期にも随時透かします。
- 窒素を出しすぎない
- 葉ばかり茂る施肥は発病を呼びます。春の伸長期を過ぎたら、窒素に偏らない配合へ切り替えます。
- 鉢の間隔を空ける
- 鉢どうしが触れ合うと株の中で空気が止まります。葉先が隣に触れない距離を保つだけで発生が減ります。
- 出た芽先を切る
- 白い粉が付いた芽先とつぼみは早めに切り取ります。放置すると胞子の供給源になり、株全体へ広がります。
警戒する時期を月で決める
病害虫は年中同じ強さで来るわけではありません。出る前に手を打つには、月ごとに何を警戒するかを決めて、その時期だけ観察の密度を上げるほうが現実的です。
| 時期 | 警戒するもの | 打つ手 |
|---|---|---|
| 4月から5月 | アブラムシ、うどんこ病 | 新芽の裏を毎日見る |
| 6月から7月 | 黒星病、チュウレンジハバチ | 雨の前後に見回り、下葉を整理 |
| 8月 | ハダニ、コガネムシ幼虫 | 葉裏の水洗い、鉢の土を確認 |
| 9月から10月 | 黒星病、うどんこ病の再燃 | 秋雨の前に枝を透かす |
見回りは花を見る目ではなく、葉の裏と新芽の先を見る目で行います。異常はほぼ必ず表ではなく裏に出ます。
よく来る虫と見つけ方
バラに付く虫は種類が多いものの、被害の出方でおおよそ特定できます。何がいるか分からないまま対処するより、痕跡から犯人を絞るほうが早く止まります。
- アブラムシ
- 春の新芽とつぼみの首に緑や黒の粒が群れます。触れば取れる段階で落とせば被害はほぼ出ませんが、放置するとウイルスとすす病を招きます。
- チュウレンジハバチ
- 緑の茎に縦の裂け目があれば産卵痕です。まもなく幼虫が並んで葉を食べ、数日で葉脈だけにされるので裂け目を見た時点で警戒します。
- ハダニ
- 真夏に葉が白くかすれ、裏に細かい網が見えます。乾燥で増えるので、葉裏へ水を強めにかけるだけでも密度が下がります。
- コガネムシの幼虫
- 鉢の株が急にしおれ、揺らすとぐらつくなら根が食われています。休眠期に鉢から抜いて土を替えるのが確実です。
落葉と冬の掃除が翌年を決める
黒星病の菌は落ちた葉と枝の病斑の中で冬を越し、春の雨で最初の胞子を飛ばします。冬に病原の在庫を減らしておけば、翌年の立ち上がりが遅れて薬に頼る回数が減ります。
- 落ち葉を残さない
- 株元と鉢土の上の葉をすべて拾います。土に混ぜ込むのではなく、袋に入れて敷地の外へ出します。
- 葉をしごいて落とす
- 冬剪定と誘引の前に残った葉を手で取ります。越冬する害虫と菌をまとめて持ち出せる、年に一度の機会です。
- 表土を入れ替える
- 鉢は表面の土を数センチ削って新しい用土に替えます。落ちた胞子と越冬中の虫を同時に減らせます。
- 枯れ込んだ枝を落とす
- 茶色く変色した枝は病斑を抱えています。緑の断面が出る位置まで戻して切り、切った枝も持ち出します。
葉を落としてしまった株の立て直し
病気や害虫で葉を落とした株も、放っておけば新しい葉を出します。ただしそのぶん枝の養分を使うので、原因を止めてから体力を戻す順番を守ると、その年のうちに立て直せます。
- 原因を止めてから肥料
- 葉のない株にすぐ肥料を効かせると、柔らかい芽がまた病気を呼びます。落葉が止まったのを見てから薄く与えます。
- 残った葉は切らない
- 傷んだ葉でも光合成はしています。全体が黒くなった葉だけを外し、緑が残る葉は付けたままにしておきます。
- 花を止めて葉を作らせる
- 落葉がひどい年は蕾を早めに落とし、株に葉を作らせます。花を次の周期に回すほうが結局よく咲きます。
| 症状 | 考えられる原因 | まずやること |
|---|---|---|
| 下葉から黒い斑点で落ちる | 黒星病。雨のはね返り | 落ち葉を拾い株元をマルチで覆う |
| 新芽が白い粉をふく | うどんこ病。蒸れと乾燥 | 混み合う枝を抜いて風を通す |
| 葉が点々とかすれる | ハダニ。高温乾燥の置き場 | 葉裏に水をかけ置き場を見直す |
| 蕾が開かず茶色く傷む | 花に付く虫か灰色かび病 | 傷んだ蕾を切り雨の当たり方を直す |
毎年同じ時期に同じ病気が出る株は、品種ではなく置き場所が原因のことが多いです。冬に位置を変えて確かめます。
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