バラの冬は守るより整える季節
多くのバラは氷点下でも枝が生きて越冬します。冬に必要なのは寒さから守ることより、休眠中にしかできない根の作業を済ませることです。落葉して株が水も養分もほとんど使わない期間だけが、根鉢を崩せる時間になります。
| 作業 | 時期 | なぜこの時期か |
|---|---|---|
| 鉢の植え替え | 12月から2月 | 根を切っても株が消耗しない |
| 大苗の植え付け | 11月から2月 | 春までに根が伸びて活着する |
| 寒肥 | 12月から2月 | 有機質が分解して春に効き始める |
| つるバラの誘引 | 12月から1月 | 枝がしなやかで折れにくい |
芽が動き始めたら根の作業は打ち切ります。動き出した株の根を切ると、新芽が水を吸えずにしおれます。
鉢の植え替えの手順
鉢のバラは1年から2年に一度、必ず植え替えます。古い土は粒がつぶれて水はけを失い、根が呼吸できなくなるからです。鉢の大きさを変えなくても、土を新しくするだけで翌春の伸びが変わります。
植え替えと冬剪定は同じ日にまとめて構いません。むしろ枝を切ってから鉢を扱うほうが、とげに邪魔されず作業が速く終わります。
- 前日に水をやる
- 乾いた根鉢は崩すときにちぎれます。前日にたっぷり与えて土を湿らせておくと、根を傷めずにほぐせます。
- 根鉢を3分の1崩す
- 外側と底の古い土を落とし、黒く傷んだ根を切ります。白い根は残します。全部落とす必要はありません。
- 鉢底を作る
- 鉢底石を敷き、新しい用土を入れて高さを合わせます。接ぎ口が土に埋まらない位置に株を据えます。
- 棒で土を入れる
- 隙間に土を落としながら細い棒で突き、空洞をなくします。最後に鉢底から澄んだ水が出るまで水を流します。
鉢を大きくするのは根が回っているときだけです。根が少ないのに大きくすると土が乾かず、根腐れを招きます。
寒肥の入れ方
寒肥は有機質の肥料を土に埋め、微生物にゆっくり分解させて春に効かせる仕込みです。速効性の化成肥料を冬に撒いても、根が動いていないので効かずに流れてしまいます。
- 株元から離す
- 地植えは枝先の真下あたり、株元から30センチ以上離して掘ります。太い根を切らず、細根が伸びる先へ置きます。
- 穴を掘って埋める
- 深さ20から30センチの穴を数カ所掘り、堆肥と有機質肥料を土と混ぜて埋め戻します。表面に置くだけでは効きません。
- 鉢は表土を替える
- 鉢は掘れないので、植え替えのときに用土へ元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)として混ぜます。混ぜずに根に直接触れさせないようにします。
- 量を欲張らない
- 多く入れても春の伸びは比例しません。過剰は根を傷め、うどんこ病が出やすい柔らかい芽を作ります。
寒さで傷む条件と対策
枝が枯れ込むのは寒さそのものより、乾いた風と鉢の中の凍結です。特に鉢は土の量が少なく、土ごと凍って根が壊れることがあり、地植えより手当てが要ります。
| 環境 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 寒冷地の鉢 | 土が凍り根が壊れる | 鉢を地面に埋めるか無加温の室内へ |
| 乾いた強風の場所 | 枝が乾いて枯れ込む | 風上に囲いを立てる |
| 暖地の暖かい壁際 | 休眠が浅く芽が早く動く | 霜が来る前提で置き場を選ぶ |
| 雪の多い地域 | 枝が雪の重みで折れる | 誘引を低くし枝を束ねる |
暖房の効いた室内へ入れるのは逆効果です。休眠できないまま春を迎えると、花芽がそろわず株も弱ります。
大苗を植え付ける
秋から冬に出回る大苗は、休眠中に植えるほど春の立ち上がりが良くなります。根が動く前に据えておけば、気温が上がったときにその場所で根を伸ばし始められるからです。
根が乾いた裸苗を買ったときは、植える前に数時間ほど水に浸けて吸わせます。乾いたまま埋めると、春になっても芽が動かないことがあります。
- 穴を大きく掘る
- 直径と深さを40から50センチとり、掘り上げた土に堆肥を混ぜて戻します。狭い穴では根が広がりません。
- 接ぎ口を出す
- 根元のふくらみが地面より少し上に出る高さに据えます。埋めると台木から枝が出て、品種が押し負けます。
- 水鉢を作る
- 株の周りに土手を作って水をため、ゆっくり浸み込ませます。土と根が密着して空洞が消えます。
- 支柱で固定する
- 根が張るまで風で揺れると細根が切れます。支柱を立てて幹をゆるく結び、動きを止めておきます。
休眠期にやっておくと差が出ること
冬の作業は結果がすぐ見えないため後回しにされがちですが、翌年の病気の量と花数はここでほぼ決まります。数時間の作業が、春から秋までの手間を減らします。
- 葉を全部落とす
- 自然に落ちない葉は手でしごきます。病原菌と越冬中の虫を持ち出せ、剪定のとき枝の姿がよく見えます。
- 鉢の表土を削る
- 鉢土の表面を数センチ削って新しい土に替えます。落ちた胞子とコガネムシの卵を減らせます。
- 支柱と紐を新しく
- 古くなった紐は切れ、支柱は腐ります。株が動かない冬のうちに交換しておけば、生育期に触らずに済みます。
- 置き場を見直す
- 落葉して枝だけの今なら、日照と風通しを冷静に測れます。花のある季節には移動を決断できません。
冬に枯れ込んだときの原因の切り分け
冬の傷みは春まで気づけないことが多く、芽が動く頃に「枝先から茶色い」「片側だけ枯れた」という形で現れます。枯れ方を見れば、寒さ、乾いた風、根の傷みのどれかまで絞れます。
- 生きているかを見分ける
- 枝を少し切って断面を見ます。中心が白か緑なら生きており、茶色ければその下へ順に切って生きた高さを探します。
- 根の生死は芽で判断
- 枝が枯れても株元から芽が出れば根は生きています。接ぎ口より上から出た芽なら、その芽を育てて仕立て直せます。
- 焦って切らない
- 傷んだ枝の切り戻しは、芽が動き始める頃が目安です。真冬に切ると切り口からさらに下へ枯れ込みが進みます。
| 症状 | 疑う原因 | この後の手当て |
|---|---|---|
| 枝先から下へ茶色い | 乾いた風による枯れ込み | 緑の髄が出る高さまで切り戻す |
| 片側の枝だけ枯れた | その面が風か西日を受けた | 鉢を回すか囲いを立て直す |
| 鉢全体の芽が動かない | 土ごと凍って根が傷んだ | 土を替えて植え直し様子を見る |
| 芽が早く動いて傷む | 暖かい場所で休眠が浅い | 霜の当たらない戸外へ移す |
台木から出た芽は葉の形が違い、放つと品種の枝が負けます。株元から出た芽は付け根の位置で見分け、早めに外します。
バラの冬越しに使うもの
寒さそのものより、凍って溶けるのを繰り返すことで傷みます。土を凍らせないことが目的です。
- バーク堆肥・腐葉土(マルチング用)探す言葉「バーク堆肥 マルチング」
- 規格の目安
- 40L 前後の袋。株元に 3〜5cm の厚さで敷きます。
- 数量の目安
- 株元の直径 40cm 分で 5L 前後。
土に布団をかけるのと同じです。春には鋤き込めば土壌改良材にもなり、片付けが要りません。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 防寒 べたがけ」
- 規格の目安
- 目付 20〜30g/㎡。厚いほど保温しますが、光も遮ります。
かけたまま水をやれて、日中の光も通します。ビニールと違い、内側が蒸れません。
- 鉢用の断熱材探す言葉「発泡スチロール 鉢 保温」
- 規格の目安
- 発泡スチロールの箱か、鉢を包むプチプチ。
鉢は地面より先に凍ります。地面に直に置くか、鉢ごと包むかで越冬できるかが変わります。
- 球根の保存ネット探す言葉「球根 保存 ネット袋」
- 規格の目安
- 目の粗いネット袋。
寒さに弱い球根は掘り上げて越冬させます。風の通るところに吊るし、密閉しません。
- 耐寒性のある宿根草は、地上部が枯れても根は生きています。掘り上げずに株元を覆うだけで足ります。
- ビニールで覆いっぱなしにすると、晴れた日に蒸れます。不織布のほうが失敗しません。
バラの長く咲かせるコツは作物ページに
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