挿し木の適期と成功率
種からは発芽率が低く時間もかかるため、ふやすときは挿し木が基本になる。適期は気温が安定する5月から6月と、9月から10月上旬の二回で、真夏と真冬は発根前に穂が傷む。
挿し穂には今年伸びた、緑と茶色の中間くらいの硬さの枝を使う。柔らかすぎる先端は腐りやすく、完全に木質化(茎が硬い木のようになること)した枝は根を出さない。
| 時期 | 発根までの目安 | 向く用途 |
|---|---|---|
| 5月から6月 | 3週間から6週間 | 本命の増殖、剪定枝の活用 |
| 9月から10月 | 4週間から8週間 | 冬越し用の予備株づくり |
| 真夏・真冬 | 不安定 | 避ける |
挿し木の手順
- 穂を10センチほど切る
- 枝先から10から15センチを切り取る。剪定で出た枝をそのまま使えるので、剪定の日に合わせると穂に困らない。
- 下半分の葉をしごく
- 土に埋まる部分の葉をすべて取り除く。葉を残したまま挿すと、土中で腐って穂全体が傷む。
- 水に30分ほど浸ける
- 切り口から水を吸わせてから挿す。挿し穂がしおれた状態で挿すと、発根前に枯れ込む確率が上がる。
- 清潔な用土に挿す
- 肥料の入っていない挿し木用土やバーミキュライトへ、深さ3から4センチ挿す。肥料分は腐敗の原因になるので使わない。
- 明るい日陰で乾かさない
- 直射日光を避け、用土は湿った状態を保つ。軽く引いて手応えがあれば発根しており、そこから鉢上げする。
発根までは触らない。何度も抜いて確認すると、出かけた根が切れて一からやり直しになる。
鉢上げとその後
- 根が回ってから移す
- 挿してから2か月ほど、白い根が用土に絡んだのを確認して3号程度の鉢へ移す。早すぎる鉢上げは活着に失敗しやすい。
- 用土を通常のものに変える
- 鉢上げからは水はけのよい培養土に切り替える。ここで初めて少量の緩効性肥料を入れてよい。
- 先端を摘んで枝数を増やす
- 根付いたら先端を摘み、脇芽を出させる。これを二、三回繰り返すと、株元から枝が出た形のよい苗になる。
- 一年目は鉢で管理する
- 冬を鉢で越させ、翌春に地植えへ移す。根の量が少ないうちに地植えすると、乾燥と寒さの影響を受けやすい。
- 複数株を一鉢にしない
- 発根した苗をまとめて植えると根が競合し、どれも中途半端に育つ。一鉢に一株で育て、必要な数だけ鉢を増やす。
収穫の切り方
収穫は剪定と同じ作業だと考えるとよい。先端の柔らかい部分だけを摘み続けると株の内部が混んで蒸れるので、混んだ場所や内向きの枝から選んで切る。
- 葉のある位置で切る
- 収穫でも原則は同じで、切り口の下に葉を残す。木質化した部分で切ると、その枝は芽吹かずに枯れ込む。
- 一度に二割まで
- 株全体の二割を超えて切ると回復に時間がかかる。植え付けから二、三年は控えめにし、株が育ってから量を増やす。
- 朝のうちに切る
- 日が高くなる前のほうが精油が葉に残り、香りが強い。雨上がりの濡れた状態での収穫は、乾燥保存に向かない。
生育の止まる真夏と真冬も少量なら収穫できる。ただし切り戻すような大きな収穫はしない。
乾燥と保存
- 束ねて風通しよく吊るす
- 5本ほどを輪ゴムで束ね、直射日光の当たらない風通しのよい場所に逆さに吊るす。1週間から2週間で葉が指で崩れる状態になる。
- 葉をしごいて瓶に移す
- 乾いたら枝から葉をしごき落とし、密閉できる瓶に入れる。枝ごと保存すると場所を取り、湿気も抜けにくい。
- 冷暗所に置き半年で使い切る
- 高温と光で香りが飛ぶ。透明な瓶なら戸棚へしまう。半年を過ぎると香りが目に見えて落ちる。
- すぐ使うなら冷凍でもよい
- 洗って水気を拭き、枝ごと保存袋で冷凍する。乾燥より香りが残りやすく、煮込みにそのまま入れられる。
- 乾燥前に虫と汚れを落とす
- 収穫した枝は軽く振って土や虫を落とす。水洗いした場合は水気をよく拭き、濡れたまま束ねないようにする。
料理での使い分け
| 形 | 向く料理 | 使い方の要点 |
|---|---|---|
| 生の枝ごと | 肉や魚のロースト、蒸し焼き | 下に敷くか上に載せ、食前に外す |
| 生の葉を刻む | じゃがいも料理、パン生地 | 香りが強いので少量から |
| 乾燥葉 | 煮込み、スープ、油の香りづけ | 加熱時間の長い料理に向く |
香りが強く量を入れすぎると苦味が出る。一人分あたり枝一本を目安に、足りなければ足す。
挿し木がうまくいかないとき
- 本数を多めに挿す
- 一本や二本では失敗すると打つ手がない。剪定枝を使えば元手はかからないので、十本前後まとめて挿しておく。
- 同じ条件で分けて試す
- 置き場所や用土を二通りに分けて挿すと、自分の環境で何が効くかが一度で分かる。翌年の成功率が上がる。
| 症状 | 原因 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 挿し穂が黒くなって腐る | 土中の葉、肥料入りの用土 | 下葉を全部取り無肥料の用土へ |
| しおれたまま戻らない | 水揚げ不足、直射日光 | 30分吸水させ明るい日陰へ |
| 何週間も変化がない | 穂が硬すぎる、低温期 | 今年伸びた枝を適期に挿し直す |
完全に木質化した古い枝は発根しない。緑と茶色の中間くらいの、今年伸びた枝を選ぶ。
ローズマリーの挿し芽・株分けに使うもの
ハーブは挿し芽で増やしやすいものが多く、水に挿すだけで根が出る種類もあります。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用。肥料分のないもの。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土が条件です。
- よく切れるはさみ探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。節の少し下を斜めに一度で切ります。
- 3 号ポット探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)。
根が出るまでは小さい容器のほうが乾き具合を見やすく、管理も楽です。
買わなくてよいもの・代わりになるもの
- ミントやバジルのように水挿しで根が出るものは、用土も促進剤も要りません。
- 発根促進剤は、根の出にくい木質のハーブ以外では急ぎません。
ローズマリーの収穫までのコツは作物ページに
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