切ってよいのは葉のある部分だけ
ローズマリーは古くなって茶色く硬くなった枝、いわゆる木質化(茎が硬い木のようになること)した部分に芽を持たない。葉が一枚も付いていない位置で切ると、その枝はそのまま枯れ込み、二度と芽吹かない。
したがって剪定はすべて、切り口より下に葉が残るように行う。強く小さくしたいときも、緑の葉が付いている高さまでしか下げられないと考えて計画する。
| 枝の見た目 | 切ってよいか | 切ったあとどうなるか |
|---|---|---|
| 切り口の下に葉が数枚ある | 切ってよい | 脇芽が出て枝数が増える |
| 茶色く硬く葉が一枚もない | 切らない | そのまま枯れ込み戻らない |
| 付け根に別の枝が出ている | 根元から抜いてよい | 古枝が減り内側に光が入る |
剪定の適期は年二回
- 春の花後が主
- 花が終わった4月から6月が最も安全で、切ったあとすぐ新梢が伸びて形が戻る。強めに整えるならこの時期に集中させる。
- 梅雨前の透かしが要
- 6月の入梅前に、内部の混んだ枝を間引く。ここを省くと株の中が蒸れ、内側から葉が落ちて枝枯れが広がる。
- 秋は軽く整えるだけ
- 9月から10月は伸びすぎた枝先を詰める程度にとどめる。深く切ると新芽が寒さに当たって傷む。
- 真夏と厳寒期は切らない
- 高温期は切り口から傷みやすく、冬は切ったあと芽が動かない。収穫としての少量の摘み取りなら通年でよい。
- 切る前に骨格を見る
- いきなり枝先を詰めず、株から一歩離れて残す主枝を決める。どの枝を将来の軸にするかを決めてから、それ以外を間引くと形が崩れない。
花を楽しむ品種は、花芽が付いた枝を秋以降に切ると花数が減る。開花の直後に済ませる。
蒸れを防ぐ透かし剪定の手順
- 枯れ枝を先に抜く
- 内部の茶色い枯れ枝、葉の落ちた細枝を付け根から取り除く。これだけで風の通り道ができ、以降の判断が楽になる。
- 交差枝と内向き枝を切る
- 株の中心へ向かう枝、他の枝と擦れている枝を選んで根元から除く。残す枝が外向きになるよう整理する。
- 密集部を三分の一減らす
- 同じ場所から複数出ている枝は、太さの揃った一本か二本を残して間引く。全体で枝数の三割を目安に減らす。
- 株元の風通しを空ける
- 地際から20センチほどの範囲の細枝を除き、土の表面が見える状態にする。地面からの跳ね返りによる傷みも減る。
切った枝は株元に残さない。湿ったまま堆積すると、そこから病気と害虫の温床になる。
大きくなりすぎた株の更新
数年放任して内部が木質化した株は、一度に強く切り戻すと枯死する危険が高い。回復は必ず二年から三年かけ、毎回どこかに葉を残しながら段階的に下げていく。
- 一年目は三分の一だけ
- 全体の高さの三分の一を、葉のある位置で切り下げる。同時に内部の枯れ枝を抜いて光を入れ、下部の芽を動かす。
- 下部から芽が出たか確認
- 翌春に株の下半分から新梢が出れば更新は続行できる。出なければそれ以上は下げられないので、挿し木で若い株を用意する。
- 二年目にもう一段下げる
- 下部の新梢が20センチ伸びたら、その上で古い上部を切る。新しい枝に主軸を入れ替える形で世代交代させる。
- 三年目に形を整える
- 狙いの高さに達したら、以降は年二回の軽い剪定で維持する。ここまで来れば再び木質化しても対応しやすい。
失敗しやすい切り方
| よくある失敗 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 丸く刈り込んで表面だけ緑 | 内部が空洞化し蒸れる | 透かし剪定へ切り替える |
| 秋に強く切り戻す | 新芽が寒さで傷む | 春まで待って整える |
| 木質部で一気に短縮 | 枝が枯れ込み戻らない | 下の生きた枝を主軸に育てる |
剪定ばさみは切るたびに拭き、切れ味を保つ。潰れた切り口は乾きが悪く、枝枯れの入口になる。
剪定と収穫を兼ねる考え方
- 料理で使う枝を選んで切る
- 日常の収穫を、混んだ場所や内向きの枝から行えば剪定を兼ねられる。先端だけを摘み続けると内部が混むので、あえて奥から取る。
- 一度に取る量を抑える
- 一回の収穫は株全体の二割までにとどめる。取りすぎると光合成する葉が足りず、回復に一シーズンかかることがある。
- 若い株は形づくりを優先
- 植えて一、二年の株は収穫より摘芯を重ね、枝数を増やす。骨格ができてから本格的に収穫すると、その後の量が安定する。
- 切った枝は必ず使う
- 料理に回すか、挿し穂にするか、乾燥保存にする。捨てる前提だと剪定が惜しくなり、結果として株を混ませてしまう。
生垣や仕立て物にする場合
- 刈り込みは表面だけにしない
- バリカンで外側を整えるだけだと内部が空洞化する。年に一度は手ばさみで内部の枝を抜き、光と風を通す。
- 目標の高さの手前で止める
- 狙いの高さちょうどまで伸ばしてから切ると、切る位置が木質部に入る。二割ほど手前で切り返し、緑の枝で厚みを作る。
- 下を広く上を狭く
- 側面を垂直にすると下部が日陰になって枯れ上がる。裾を広く、上を狭い台形にすると足元まで葉が残る。
- 仕立て直しは春に
- 形が崩れた仕立て物は、花後の4月から6月に整える。この時期なら切った跡がひと夏で埋まる。
刈り込みの回数を増やすほど内部は混んでいく。年二回の透かし剪定とセットで計画する。
ローズマリーの剪定・切り戻しに使うもの
切り戻しは株を若返らせる作業です。切る位置と、切り口を乾かすことに関わるものだけで足ります。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 園芸 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 5cm 前後。バイパス式(刃が交差するもの)は切り口がきれいです。
アンビル式(刃が台に当たるもの)は茎を潰します。生きた枝を切るならバイパス式を選びます。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
株を変えるたびに刃を拭きます。病気の株から健全な株へ、はさみが運んでしまうのを防げます。
- 園芸用手袋探す言葉「園芸手袋 背抜き」
- 規格の目安
- 手のひらにゴムを張った背抜きタイプ。細かい作業ができる薄手のもの。
茎の汁でかぶれる植物があります。厚い革手袋だと、切る位置を指で確かめられません。
買わなくてよいもの・代わりになるもの
- 柔らかい茎の草花は、指で摘めばはさみは要りません。
- 癒合剤は木の太い枝を切るときのもので、草花には要りません。
ローズマリーの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はローズマリーの育て方にまとめています。
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