症状から原因を見分ける
ライ麦は病気に強く、虫の害も少ない麦です。困るのは倒伏と、穂に付く二種類のかびです。とくに麦角(穂に付く黒紫色の角のようなかたまり)は毒があるので、見分け方を知っておきます。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 株が根元から倒れる | 肥料過多か土寄せ不足 | 束ねて紐で支え、翌年は肥料を減らす |
| 穂の一部がピンクや赤茶色にかびる | 赤かび病 | その穂を取り除き、食用にしない |
| 穂に黒紫色の角のようなかたまり | 麦角 | 穂ごと取り除いて畑の外へ。絶対に食べない |
| 葉に黄色や茶色の粉がふく | さび病 | 下葉を取り除く。収穫前なら放置でよい |
| 穂の実が抜けて軸だけ残る | スズメ | ネットをかける |
| 葉に細長い赤茶色の斑点 | 葉の病気 | 風通しを良くする。広がらなければ放置 |
麦角は毒があるので必ず取り除く
麦角はライ麦にとくに出やすいかびで、穂の実の代わりに黒紫色の細長いかたまりが付きます。大きさは一センチから二センチで、実より太く目立ちます。これには毒があり、食べると中毒を起こすので、見つけたら穂ごと取り除き、畑の外に捨てます。
開花期に雨が続くと出やすく、他の株の花粉で実るライ麦は小麦より発生が多くなります。収穫のときと脱穀のあとに実を広げて見て、黒紫色のかたまりが混じっていたらすべて取り除きます。少しでも混じった実は食べずに、種用にもしません。
- 六月に穂を見て回る
- 穂が黄色くなり始めたら、条ごとに穂を見て黒紫色のかたまりを探します。見つけたらその穂を切り取ります。
- 脱穀後に実を広げて確かめる
- 脱穀した実をトレーに広げ、黒紫色で実より太いものをすべて拾い出します。迷うものも取り除きます。
- 出た畑では翌年作らない
- 麦角は土に落ちて翌年に出ます。出た畑では二年ほど麦類をまかず、豆類や葉物に替えます。
麦角が混じった実は、ごく少量でも食べないでください。判断に迷う実は種用にも回さず処分します。
赤かび病は梅雨との重なりで出る
赤かび病は穂の実がピンクや赤茶色に変わるかびの病気で、開花期から収穫期に雨が続くと出ます。かびの毒が実に残るので、色の変わった穂は食べません。関東では開花が五月、収穫が六月の梅雨と重なるため、収穫が遅れるほど発生が増えます。
防ぐには、穂が黄色くなったら雨の合間に早めに刈り、雨に当てずに干すことです。倒れて穂が地面に着いた株はとくに出やすいので、倒伏を防ぐことも対策になります。
- 穂が黄色くなったらすぐ刈る
- 実が固まっていれば、全部が黄色くなるのを待たずに晴れ間に刈ります。干している間に追熟します。
- 色の変わった穂は除く
- 刈るときにピンクや赤茶色の穂を見つけたら、束に入れずに畑の外へ捨てます。脱穀後も色の変わった実を拾い出します。
- 軒下で風を当てて干す
- 梅雨の間は軒下に吊るして扇風機で風を当てます。湿ったまま置くとかびが広がります。
倒伏は肥料と草丈でほぼ決まる
ライ麦は麦類でいちばん背が高くなり、二メートル近くになることもあります。倒れる原因は肥料の入れすぎで茎が細長く伸びる徒長(茎がひょろ長く伸びること)と、株元の土寄せ不足の二つです。五月から六月の雨風はきっかけにすぎません。
葉の色が濃く、四月の時点で周りより草丈が高い株は倒れやすいと判断できます。そういう畑では五月に支柱と紐を張り、翌年は追肥をやめます。
| 原因 | 見分け方 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 肥料過多 | 葉が濃い緑で四月の草丈が高い | 追肥をやめ、元肥も半分に |
| 土寄せ不足 | 株元を揺すると根が動く | 二月の追肥と一緒に土を寄せる |
| まきすぎ | 茎が細く下葉が枯れ上がる | 一平方メートル十グラムで薄くまく |
| 強風と雨 | 畑全体が同じ向きに倒れる | 五月に紐を張り、三日以内に起こす |
虫と鳥は収穫前だけ見ればよい
ライ麦に付く虫は少なく、春にアブラムシが穂に付く程度です。数が少なければ放っておいて構いません。穂全体に広がるようなら水で流します。収穫が近いので薬は使わず、天敵に任せます。
スズメは実が入り始める五月下旬から穂をついばみます。小麦ほど好まれませんが、株数が少ない畑では一週間で穂が空になることがあります。実が膨らんだらネットをかけるか、キラキラするテープを張ります。
- 五月に穂を見る
- アブラムシが穂に群れていたら、ホースの水で流します。テントウムシがいれば任せます。
- 実が膨らんだらネット
- 穂より三十センチ高い支柱を立て、ネットを渡して裾を地面まで下ろします。裾が浮くと下から入られます。
実が入らないときの切り分け
穂は出たのに実が膨らまない、穂が小さい、実が軽い。原因は開花期の雨、倒伏、まき時の遅れの三つが多く、翌年のまき時と施肥を変えることで防げます。
- 穂は出たのに実がない
- 開花期の五月に雨が続くと、他の株の花粉で実るライ麦は受粉が悪くなります。翌年は早めにまいて開花を五月上旬にします。
- 穂が小さい
- 遅まきか、二月の追肥が遅れて分げつが少なかったからです。翌年は十一月上旬までにまき、二月上旬に追肥します。
- 実が軽く白い
- 倒れたか、赤かび病か、収穫が早すぎたかです。倒れた株は起こし、色の変わった実は除き、実が固まるまで待ちます。
ライ麦の収穫までのコツは作物ページに
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