原木栽培か菌床栽培かを先に決める
家庭でシイタケを育てる方法は二つあります。ナラやクヌギの丸太に種駒(菌を含ませた木の栓)を打ち込む原木栽培と、おがくずを固めたブロックを買って室内で育てる菌床栽培です。庭や日陰の置き場所があるなら原木、ベランダや室内だけなら菌床が向いています。
原木は打ってから最初の収穫まで一年半から二年かかりますが、その後三年から五年にわたって春と秋に穫れます。菌床は買って一週間から二週間で穫れますが、二回から三回で終わります。時間の余裕と置き場所で選びます。
| 場面 | 向く方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 庭に木陰か北側の壁際がある | 原木栽培 | 数年にわたって穫れる |
| ベランダか室内しかない | 菌床栽培 | 場所を取らず短期で穫れる |
| 子どもと観察したい | 菌床栽培 | 毎日大きくなるのが見える |
| たくさん穫って干したい | 原木栽培 | 十本あれば秋に百個以上 |
原木はクヌギかコナラ、直径十センチ前後
原木はクヌギかコナラが定番で、シイタケ菌がよく回り、長く持ちます。直径は八センチから十五センチ、長さは九十センチから一メートルが扱いやすい大きさです。太い木は菌が回るのに時間がかかりますが長持ちし、細い木は早く穫れて早く終わります。
原木は落葉後の十一月から二月に切った木を使います。切ってすぐは水分が多すぎるので、一か月ほど置いて乾かした状態で打ちます。園芸店や通信販売で植菌前の原木が手に入るほか、種駒とセットで売られているものもあります。
- 木の種類を確かめる
- クヌギ、コナラ、ミズナラが向きます。サクラやカエデでも育ちますが持ちが短く、スギやヒノキでは育ちません。
- 直径と長さをそろえる
- 直径十センチ前後、長さ九十センチほどにそろえると、あとで組んだときに扱いやすくなります。太さが違う木は分けて置きます。
- 皮の傷を見る
- 皮がはがれた木は雑菌が入りやすいので避けます。皮が全体に付いていて、切り口がきれいな木を選びます。
切ったばかりの木は樹皮の内側がしっとりしています。切り口に細かいひびが入り始めたころが、水分がちょうどよく抜けた合図です。
種駒は原木一本に三十個が目安
種駒はシイタケ菌を木の栓に含ませたもので、五百個入りや百個入りの袋で売られています。直径十センチ、長さ九十センチの原木なら一本に三十個ほど、太い木ならもう少し多めに打ちます。菌が早く回るほど雑菌に負けにくくなるので、けちらずに打ちます。
品種は春に出やすいもの、秋に出やすいもの、肉厚になるものなどがあります。初めてなら「春秋どちらも出る」と書かれた品種が失敗が少なく、収穫の機会も多くなります。低温性の品種は春の発生が良く、中温性は秋によく出ます。
| タイプ | 特徴 | 向く人 |
|---|---|---|
| 春秋兼用 | 年二回出て失敗が少ない | 初めての人 |
| 低温性 | 早春に肉厚の大きな傘が出る | 干しシイタケを作りたい人 |
| 中温性 | 秋に数多く出る | 生食で量を穫りたい人 |
二月から三月に穴を開けて打ち込む
植菌(種駒を打ち込むこと)は二月から三月、桜が咲く前までに済ませます。暖かくなってから打つと、菌が回る前に雑菌が先に入ります。木の表面に千鳥状(互い違い)に穴を開け、種駒を金づちで木の面と同じ高さまで打ち込みます。
穴はドリルで開けます。種駒の太さに合った専用の刃が売られていて、深さは二センチから三センチが目安です。穴の間隔は縦に二十センチ、横に四センチから五センチずらして列を作り、木の全面に回るように打ちます。
- 穴の位置に印を付ける
- 縦二十センチ間隔で列を決め、隣の列は十センチずらして互い違いにします。木の全周に四列から六列できます。
- ドリルで穴を開ける
- 種駒の太さに合った刃を使い、深さ二センチから三センチの穴を開けます。穴を開けたらその日のうちに打ち込みます。
- 種駒を打ち込む
- 種駒を穴に差し、金づちで木の面と同じ高さになるまで打ちます。飛び出していると乾いて菌が死に、深すぎると水がたまります。
- 切り口にも打つ
- 両端の切り口の近くは菌が回りにくいので、切り口から五センチ以内にも一周分を打っておきます。
種駒は開封したら冷蔵庫で保存し、一週間以内に使い切ります。余った種駒は乾くと発芽しなくなります。
打った原木は仮伏せで菌を回す
打ち終えた原木は、いきなり立てずに地面に横に積んで菌を木の中に回します。これを仮伏せといい、四月から五月の間、直射日光の当たらない場所で、シートや枝で覆って湿り気を保ちます。乾いた日が続くなら週に一回ほど水をかけます。
梅雨に入るころに切り口を見て、白い菌糸が全体に広がっていれば菌が回っています。そこで原木を立てかけて風を通す本伏せに切り替えます。詳しくは管理のページで説明しますが、この最初の三か月が成否を分けます。
- 横に積んでシートで覆う
- 地面に枕木を置き、その上に原木を並べます。上から遮光シートや枝葉をかぶせ、雨は当たるが日は当たらない状態にします。
- 乾いたら水をかける
- シートをめくって表面が白く乾いていたら、ホースで全体をぬらします。梅雨までの間に二回から三回が目安です。
- 切り口の白い菌糸を確かめる
- 六月に切り口を見て、白い斑点が広がって全体を覆っていれば菌が回っています。まだ少ないなら仮伏せをひと月延ばします。
植菌でつまずいたときの切り分け
菌が回らない、種駒が抜ける、木に別のきのこが出た。最初の年の失敗はほとんどが時期と乾きです。打った年にはまだ収穫がないので、切り口の様子と木の重さで判断します。
- 六月に切り口が白くならない
- 乾きすぎか植菌が遅かったかです。水をかけて覆いを厚くし、秋まで仮伏せを続けます。秋にも白くならなければ来年打ち直します。
- 種駒が飛び出して乾いている
- 打ち込みが浅かったものです。金づちで木の面まで打ち直します。抜けた穴は新しい種駒を打つか、木の栓で塞ぎます。
- 木に別のきのこが出た
- 雑菌の一種で、木の一部を取られています。そのきのこを取り除き、シイタケの菌が回っている部分は使えるのでそのまま育てます。
- 木の皮がはがれてきた
- 水分が抜けすぎています。日陰の湿った場所へ移して水をかけます。皮がない部分からは出ないので、次はその部分に種駒を多めに打ちます。
シイタケの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
シイタケの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はシイタケの育て方にまとめています。
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