色づきと酸で収穫時期を決める
不知火は12月に橙色に色づきますが、この時点ではまだ酸が強く食べられません。木で完熟させると2月下旬から3月が食べごろになりますが、関東の露地では寒さで実が傷むほうが早いことが多いです。実の色と寒さの予報を見て、木に残すか採って貯蔵するかを決めます。
店で売られる不知火が2月から4月に出回るのは、産地で12月から1月に採って貯蔵で酸を抜いているからです。家庭でも同じ流れで、木で完熟を待つ必要はありません。色づきを見て採り、あとは室内で仕上げると考えます。
| 状態 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 12月、色は橙、氷点下の予報なし | 木に残す | 木で酸が抜けていく |
| 1月、氷点下3度以下が続く予報 | 採って貯蔵 | 果肉が凍る前に守る |
| 2月、皮の色が濃く実がやや柔らかい | 採って2週間貯蔵 | 酸が抜けきる直前 |
| 3月、木で完熟 | すぐ食べられる | 暖地や無加温ハウスの場合 |
皮が黄色いうちに採ると貯蔵しても甘くなりません。少なくとも全体が橙色になるまで木に付けておきます。
採り方
不知火は実の上部にこぶがあり、そこにへたが付いています。手でもぐと皮が裂けて貯蔵中に腐るので、必ずはさみで切ります。二度切りといって、まず果梗を長めに切って実を外し、次にへたのすぐ上で切り直すと、他の実を傷つけません。
- 晴れた日の午前中に採る
- 雨や露で実がぬれていると貯蔵中にかびが出ます。晴れが2日続いた午前中に採るのが目安です。
- 二度切りで外す
- 実から離れた位置で枝ごと切り、手元でへたのすぐ上を切り直します。残った軸が長いと隣の実の皮に刺さって傷になります。
- 傷んだ実は別にする
- 皮に傷や黒い点があるもの、浮き皮のものは貯蔵に回さず先に食べます。1つの傷みが箱全体に広がります。
貯蔵で酸を抜く
採った実は5〜10度の暗い場所で2〜4週間置くと酸が抜けて甘くなります。関東の冬なら暖房のない北側の部屋や玄関が向いています。実を1つずつ新聞紙で包み、段ボール箱にへたを下にして並べ、時々開けて傷んだ実を抜きます。
貯蔵中は皮から水分が抜けて実が少し軽くなりますが、これは正常です。皮がしわになるほど乾いたら場所が乾きすぎている目安なので、箱にふたをして湿度を保ちます。
| 貯蔵場所 | 期間の目安 | 注意 |
|---|---|---|
| 暖房のない部屋(5〜10度) | 2〜4週間 | 新聞紙で包み段ボールに並べる |
| 冷蔵庫の野菜室 | 1〜2か月 | 乾きすぎるので袋に入れる |
| 暖かい室内(15度以上) | 1週間まで | 酸は抜けるが日持ちしない |
酸が抜けたかは食べて確かめるのが確実です。1つ切って酸っぱければさらに1週間置き、甘くなったころに残りも食べ始めます。
収穫後の木の手当て
3月に実を採り終えた木は、一年近く実を付けていた疲れがたまっています。すぐに春肥を施し、剪定で枝を整えて、翌年の花芽が育つ春枝を伸ばさせます。ここでの回復が遅れると隔年結果(実が付く年と付かない年が交互に来ること)が始まります。
- 採り終えたらすぐ春肥
- 収穫の終わりと同時に油かす主体の肥料を枝先の真下に施します。1週間以上空けると芽出しに間に合いません。
- 3月中に剪定
- 枯れ枝、内向きの枝、徒長(勢いだけで太く伸びること)した枝を切って風を通します。実を付けていた枝は疲れているので、その先の枝は軽く切り戻します。
- 残った袋と不織布を外す
- 防寒の資材は4月上旬までに外します。遅くまで覆っていると新芽が蒸れ、かいよう病が出やすくなります。
食べ方と使い切り
不知火は皮が手でむけ、じょうのう(薄皮)ごと食べられるのが特徴です。貯蔵で甘くなった実はそのままが一番ですが、酸が抜けきらなかった実はジャムやマーマレードにすると使い切れます。皮は厚くて香りが強いのでピールにも向きます。
- 冷蔵で食べ頃を伸ばす
- 酸が抜けた実は袋に入れて野菜室へ移し、乾きを防ぎます。1か月ほどは味が保てますが、皮の香りは徐々に薄れるので早めに食べ切ります。
- 酸っぱい実は加工する
- 酸が残る実は果肉と砂糖で煮てジャムにします。皮は白い部分を削ってから刻み、煮こぼしてピールにします。
味が乗らないときの原因と直し方
貯蔵しても甘くならない、実が小さい、皮ばかり厚いという年は、その年の栽培のどこかに原因があります。実の状態から前年の何を変えるかを決めます。
| 実の状態 | 疑う原因 | 翌年に直すこと |
|---|---|---|
| 貯蔵しても酸っぱい | 採るのが早すぎた、秋の水が多かった | 全体が橙色になるまで待ち、10月以降の水を控える |
| 実が小さく数が多い | 摘果が足りない | 9月に葉80〜100枚に1個まで減らす |
| 皮が厚く果肉が少ない | 窒素が多い、若い木 | 春肥を減らし、木が落ち着くのを待つ |
| 果肉が白くぱさつく | 冬の寒さで凍った | 袋かけと不織布を早め、寒波前に採る |
不知火の収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
不知火の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は不知火の育て方にまとめています。
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