木の年数で切る目的が変わる
不知火の剪定は、若い木では骨格づくり、実が付き始めてからは実の数と枝の更新の調整が目的です。切りすぎると枝ばかり伸びて花が減り、切らないと内側が枯れ上がって実が外側にしか付かなくなります。年数と木の姿を見て切る量を決めます。
柑橘は落葉樹のように毎年強く切り詰める木ではありません。不知火はとくに枝が細く垂れやすいので、切るというより、要らない枝を抜いて残った枝に光を回す感覚で作業します。
| 木の状態 | 切る量 | 狙い |
|---|---|---|
| 植えて1〜2年 | ほとんど切らない | 主枝を3本決めて広げる |
| 3〜4年で実が付き始める | 混んだ枝を間引く程度 | 花芽を残しながら風を通す |
| 5年以上で実が安定 | 全体の2割前後 | 古い枝を更新し内側にも光を入れる |
| 前年に実が付きすぎた | 枝の間引きを多め | 花芽の数を減らして翌年に備える |
剪定時期は3月、寒さが緩んでから
柑橘の剪定は落葉樹と違って厳寒期を避け、3月上旬から3月下旬に行います。2月以前に切ると切り口から寒さが入り枝が枯れ込みます。不知火は収穫が2月から3月なので、実を採り終えてすぐ剪定に入る流れになります。4月になって新芽が動き始めたら、その年は太い枝を切るのをやめます。
- 枯れ枝と内向きの枝を落とす
- まず枯れた枝、木の内側に向かって伸びる枝、交差して擦れる枝を根元から切ります。ここまでで風通しはかなり変わります。
- 徒長枝を根元から抜く
- 真上に勢いよく伸びた徒長(勢いだけで太くまっすぐ伸びること)した枝は根元から切ります。花が付かないうえ、途中で切ると同じ枝がまた何本も出てきます。
- 混んだところを間引く
- 枝と枝の間に手が入る程度に間引きます。不知火は前年に伸びた春枝に花が咲くので、細くて短い春枝はできるだけ残します。
- 切り口に保護剤を塗る
- 直径2センチ以上の切り口には市販の癒合剤を塗ります。柑橘は切り口から腐りが入りやすく、放置すると枝の中まで空洞になります。
とげのある枝は作業中に実や葉を傷つけるので、剪定のついでにとげも切り落としておくと、夏の作業が楽になります。
花が咲いたら数を減らす
不知火は花付きがよく、放っておくと枝が折れるほど実が付きます。実が多い年の翌年は花がほとんど咲かず、これが隔年結果です。5月の開花時に混み合った花房を摘み取っておくと、後の摘果の手間が減り、木への負担も軽くなります。
- 枝の先の花房を残す
- 1本の枝に花が数房付いていたら、枝先に近い1〜2房を残して手で摘みます。枝の内側で葉のない場所に付いた花は実になっても小さいままです。
- 葉のない花を先に落とす
- 葉が付かず花だけの枝は実が肥大しません。開花の時点で見分けやすいので、先に落として木の力を残します。
摘果は7月と9月の二回
生理落果(木が自分で実を落とす時期)が6月に終わってから、7月上旬に一回目、9月に仕上げの二回に分けて摘果します。目安は葉80〜100枚に実1個で、温州みかんの葉25枚に1個よりずっと少ない数です。ここを詰めすぎると実が小さく、翌年の花も減ります。
| 時期 | 残す目安 | 落とす実 |
|---|---|---|
| 7月上旬 | 葉60〜80枚に1個 | 傷のある実、小さい実、日陰の実 |
| 9月 | 葉80〜100枚に1個 | 形の悪い実、隣と触れ合う実 |
| 10月以降 | 追加はしない | 割れた実や病気の実だけ落とす |
実の上部のこぶ(デコ)は残す実を選ぶ目安になりません。こぶがない実でも味は変わらないので、大きさと位置で選びます。
夏枝と秋枝の扱い
不知火は春枝のほかに7月ごろの夏枝、9月ごろの秋枝が伸びます。夏枝と秋枝は太く伸びやすく、実に回るはずの養分を奪います。実の付いている枝から出た夏枝は元から取り、実の付いていない枝の秋枝は翌年の枝として残す、という分け方をします。
- 夏枝は8月までに整理
- 実のそばから伸びた夏枝は根元から手で折ります。放っておくと実に日が当たらなくなり、皮の色づきが遅れます。
- 秋枝は残して冬に判断
- 秋枝は伸びきったあと冬に硬くなります。寒さで先が枯れた秋枝は3月の剪定で枯れた部分だけ切り戻します。
花が咲かないときの原因と戻し方
春になっても花がまったく咲かない年は、前年の実の付きすぎか、剪定のやりすぎのどちらかであることがほとんどです。原因が違うと戻し方も違うので、前年の様子を思い出して切り分けます。
| 前年の様子 | 疑う原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 実がたくさん採れた | 隔年結果の裏年 | 今年は剪定を弱め、来年の摘果を厳しくする |
| 強く切り戻した | 枝を作る方向に力が向いた | 今年は切らず、夏枝だけ整理する |
| 肥料を多くやった | 窒素過多で枝ばかり伸びた | 春肥を半分にし、リン酸を多めにする |
| 冬に葉が落ちた | 寒さで木が弱った | 防寒を見直し、実を少なめに制限する |
花が咲かない年でも枝は伸びます。翌年に向けて春枝を大事に残すことが、隔年結果の周期を崩す一番の近道です。
不知火の剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
不知火の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は不知火の育て方にまとめています。
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