切る枝と残す枝を見分ける
すだちの花は、前年の春から夏に伸びた充実した枝の先に咲きます。つまり、その年に伸びた枝を冬に全部切ってしまうと翌年の実がなくなります。剪定の基本は「混んだ枝を根元から間引く」で、枝先を一律に切りそろえる刈り込みはしません。
枝を見て、切るか残すかを判断する目安を下の表にまとめます。迷ったら残し、翌年もう一度見て決めても遅くありません。切りすぎは一年では戻らず、切らない失敗は翌年に取り返せるからです。
| 枝の姿 | 切るか残すか | 理由 |
|---|---|---|
| 前年に伸びた15〜30センチの充実した枝 | 残す | 翌年の花が付く枝 |
| 真上に勢いよく伸びた50センチ以上の枝 | 根元から切る | 徒長枝(勢いだけで伸びて花が付かない枝)で日陰を作る |
| 枝が交差して擦れている | 細いほうを切る | 傷から病気が入る |
| 内側に向かって伸びる枝 | 根元から切る | 混んで風が通らなくなる |
| 枯れ枝・細くて弱い枝 | 切る | 病害虫の住みかになる |
| 接ぎ口より下から出た芽 | すぐ切る | 台木の芽で、放置すると台木に負ける |
剪定の時期
剪定の適期は三月上旬から四月上旬、芽が動き出す直前です。柑橘は寒さに当たると枝が傷むので、真冬の剪定は避けます。夏に伸びすぎた徒長(真上に勢いよく伸びて実の付かないこと)した枝だけは、七月から八月に根元から切ってかまいません。
植え付けから三年目までは、枝を増やして樹の骨格を作る時期です。この間は枯れ枝と徒長枝だけを切り、大きな剪定はしません。四年目以降、実がなり始めたら毎年三月に混んだ枝を間引きます。
- 三月上旬に切る
- 寒さが緩んで芽が膨らむ前に済ませます。切り口が大きいときは癒合剤(切り口を守る薬)を塗ります。
- 夏は徒長枝だけ
- 七〜八月に真上に伸びた勢いのよい枝が出たら、根元から切ります。放置すると栄養を取られ、日陰を作ります。
- 秋以降は切らない
- 九月以降に切ると、傷が冬までに回復せず寒さで傷みます。収穫後の整理は翌春まで待ちます。
一度に切る量は樹全体の二割までを目安にします。それ以上切ると翌年は枝ばかり伸びて花が減り、実がならない年になります。
間引き剪定の手順
剪定は、枝を切りそろえるのではなく、混んだ場所から枝を一本ずつ根元で抜くように切ります。樹の内側まで日と風が通り、葉が重ならない状態が目標です。切りすぎると実が減るので、全体の枝の二割までにとどめます。
- 離れて全体を見る
- 二〜三メートル離れて樹を見て、枝が密になっている場所を確かめます。切るのは密な場所だけです。
- 枯れ枝と台木の芽を切る
- まず枯れ枝、次に接ぎ口より下から出た芽を根元で切ります。これだけで見通しがよくなることも多いです。
- 徒長枝を根元から切る
- 真上に伸びる太くて長い枝を、付け根から切ります。途中で切ると、切り口からまた徒長枝が出ます。
- 交差枝と内向きの枝を抜く
- 枝同士が擦れている場所は細いほうを、内側に向かう枝は根元から切ります。一か所から三本以上出ていれば真ん中の一本を残します。
- 枝先は切らない
- 前年に伸びた枝の先には花芽があります。枝先を切りそろえたくなっても、混んだ場所以外はそのまま残します。
すだちの枝にはトゲがあります。厚手の手袋と長袖で作業し、切ったトゲ付きの枝は袋に入れて捨てます。
鉢植えの仕立てと大きさの維持
鉢植えは高さ一メートル前後、幅八十センチほどに収めると管理しやすく、実もよく付きます。主幹を短めに切って三〜四本の主枝(幹から直接出る太い枝)を横に広げる開心形が、鉢でも日が入りやすい形です。
- 植え付けの年に主幹を切る
- 苗の高さ五十〜六十センチのところで主幹を切り、そこから出る枝を主枝にします。切り口の下に葉の付いた芽が三〜四つ残る高さを選ぶと、主枝の候補がそろいます。
- 主枝を三〜四本選ぶ
- 二年目に、四方向にバランスよく出た枝を三〜四本残し、他は根元から切ります。残した枝は横に広がるようひもで軽く引きます。
- 高さを保つ
- 四年目以降、一メートルを超えた枝は三月に高さの三分の一まで戻します。一度に全部ではなく、二年に分けて戻すと実が途切れません。
剪定の失敗と立て直し
すだちの剪定の失敗は「切りすぎて実がならない」と「切らずに混んで病気が出る」の二つに集約されます。どちらも一年では戻りませんが、翌春の剪定で直せます。症状から原因を確かめ、次の三月に手を打ちます。
| 症状 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 枝ばかり伸びて花がほとんど咲かない | 枝先を切りそろえて花芽を落とした・切りすぎ | 翌年は枯れ枝と徒長枝だけを切り、枝先に触らない |
| 樹の内側の葉が黄色く落ちる | 混みすぎて日が入らない | 三月に内向きの枝を間引き、内側まで日を入れる |
| 切り口から枝が枯れ込む | 秋冬に切った・切り口を保護しなかった | 枯れた部分を春に切り直し、癒合剤を塗る |
| 接ぎ口の下から出た枝が大きくなった | 台木の芽を放置 | 根元から切る。トゲが長く葉の形が違う枝が目印 |
すだちの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
すだちの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はすだちの育て方にまとめています。
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