つる返しは必須ではなくなった
つる返しとは、伸びたつるを持ち上げて裏返し、節から地面に下ろした不定根を切る作業である。かつては節の根が小さないもになって養分を分散させたため必要だったが、現在広く出回る品種は株元にいもが集中し、節にいもがつくことはほとんどない。したがって毎回の慣例として行う必要はない。
それでも効く場面はある。節から下りた根が土に深く入ると、株が栄養成長に傾いてつるだけが茂り、株元のいもの肥大が鈍る。つるが畝を越えて通路を厚く覆い、葉が重なって光が下まで届かない状態になっているなら、返す価値がある。
- まず観察してから決める
- 作業を習慣にせず、その年のつるの状態を見て判断する。伸びが穏やかで葉が重なっていないなら、触らないほうが収量は安定する。
- 返すのは根を切るため
- 目的は節から下りた不定根を切って養分の分散を止めることにある。日当たりを直す目的なら、通路のつるを畝へ寄せるだけで足りる。
- 収穫一か月前からは触らない
- 9月中旬以降はいもが太る最終段階に入る。株を持ち上げて揺らすと肥大が止まるので、その時期の作業は見送る。
つるを返すのは根を切るためであり、日当たりを直すためではない。返した後で葉が上下逆のまま垂れていても数日で自然に向き直る。
やるかどうかを決める見分け方
- つるを一本持ち上げてみる
- 軽く持ち上げて抵抗がなければ根は下りていない。返す必要はない。強く張り付いて葉ごと引っ張られるなら、節から根が入っている。
- 葉の重なりを見る
- 畝の上で葉が三重四重に重なり、下の葉が黄色く蒸れているなら過繁茂の兆候。返して整理するか、通路側のつるを畝上へ寄せる。
- 株元を掘って確かめる
- 8月下旬に株元の土を少しどけ、いもの肥大が始まっていれば問題なし。まだ鉛筆ほどの根しかないなら、つるぼけを疑って手当てに移る。
- マルチ栽培なら基本は不要
- 黒マルチを張っていれば節から根が下りにくい。畝の上に伸びた分については、つる返しの作業自体がほぼ要らなくなる。
つる返しの手順と時期
- 7月下旬から9月上旬に行う
- つるが畝を覆い切った頃から、収穫の一か月前までが範囲。9月中旬以降はいもの肥大期なので、株を大きく揺らす作業は避ける。
- 畝の片側から順にめくる
- つるを株元から引きちぎらないよう、先端側から手繰るように持ち上げて反対側へ裏返す。株元の茎を折らないことが唯一の禁止事項。
- 晴れた日の午前に
- 雨の直後や夕方は茎が折れやすく、傷口から病気が入る。晴れて茎がしなやかな日の午前中に済ませ、傷口を乾かす。
- 回数は一〜二回まで
- 何度も繰り返すと葉が傷んで光合成が落ち、かえって収量が下がる。夏のあいだに多くて二回でよい。
除草は最初の一か月が勝負
植え付けからおよそ一か月はつるが地面を覆わないため、雑草が先に伸びて苗を負かす。この時期の除草だけは手を抜かない。逆に、つるが畝と通路を覆ってしまえば雑草はほとんど出ないので、後半の除草作業はほぼ不要になる。
- 活着後に浅く削る
- 植え付け二週間後、三角ホーで表面を1〜2センチ削るように除草する。深く耕すと伸び始めた根を切ってしまう。
- 株元は手で抜く
- 株のすぐ横は道具を入れず手で抜く。根を引っ張らないよう、地際で切るだけでもよい。
- 通路に敷き草をする
- 刈った草を通路に厚く敷くと雑草の発生を抑え、乾燥も防げる。窒素を含む生の刈り草を畝の上に厚く積むのは避ける。
つるが覆った後に畝へ立ち入ると、茎を折り根を踏み固めることになる。夏以降は通路から見るだけにとどめる。
水やりと追肥の判断
畑では活着後の水やりは基本的に不要で、日照りが続いて葉が昼にしおれ夕方も戻らないときだけ与える。乾燥は甘みを乗せる方向に働くが、極端な乾燥は肥大を止めるため、程度の見極めが要る。
- 追肥は葉色が薄いときだけ
- 7〜8月に葉が黄緑に薄く、つるの伸びも鈍いなら軽く追肥(育てている途中で足す肥料)する。濃い緑で旺盛なら不要どころか逆効果になる。
- 追肥はカリ主体で株元から離す
- 与えるなら窒素の少ないカリ主体の肥料を、畝の肩に薄く。株元へ直接置くと濃度障害で根を傷める。
| 時期 | 畑 | プランター・袋 |
|---|---|---|
| 植え付け〜2週間 | 二〜三日おきに株元へ | 毎日、朝に鉢底から出るまで |
| 6〜8月 | 原則不要。しおれ続けたときのみ | 土の表面が乾いたら朝に与える |
| 収穫3週間前〜 | 与えない | 控えめにする。過湿は割れの原因 |
収穫直前の大雨や大量の水やりは、いもが急に水を吸って裂けることがある。掘る日程は雨の後を数日空けて決める。
つるぼけを見つけたときの立て直し
- 追肥をすべて止める
- 葉が濃緑で大きく、つるが太いのに株元が太っていないなら窒素過多。追肥を止め、以後は水も与えない。
- つる返しで根を切る
- 節から下りた根を切ると株が生殖成長に戻りやすい。この場面は、つる返しがはっきり効く数少ないケースである。
- カリを軽く補う
- 草木灰や硫酸カリを株元から離してごく少量施し、窒素とのつり合いを戻す。窒素を含む肥料は絶対に足さない。
- 翌年の設計を直す
- つるぼけは当年の挽回幅が小さい。同じ区画を使うなら、翌年は元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)を切ってカリだけにする、または痩せた区画へ移す。
台風と長雨のあとの手当て
- 畝間の水を抜く
- 畝間に水が溜まったままだといもが腐る。通路の端を鍬で切って排水路を作り、半日以内に水を落とす。
- 露出したいもに土を寄せる
- 雨で畝の土が流れていもの肩が出ると、日に当たって緑化し味が落ちる。見つけしだい土を寄せて覆う。
- 傷んだ葉は放置してよい
- 強風で葉が裂けても、新しい葉が出るので摘まなくてよい。ただし茎が折れて垂れた部分は病気の入口になるので切り取る。
さつまいもの育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
さつまいもの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はさつまいもの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。