植え付けは日付ではなく地温で決める
さつまいもの植え付けは、遅霜の心配が消えて地温15℃以上、平均気温18℃前後になってから始める。地温が足りないうちに植えると苗は枯れないまま発根せず、二週間も三週間も止まったままになり、その分だけ秋の肥大期間を失う。カレンダーより地面の温度を優先したい。
早植えが効くのは地温を人為的に確保できる場合だけである。黒マルチを植え付けの一週間以上前に張っておくと地温が数度上がり、暖地なら5月上旬、中間地でも5月中旬からの植え付けが安定する。マルチを張らないなら一〜二週間遅らせたほうが、結果として生育は早い。

| 地域 | 植え付けの目安 | 収穫の目安 |
|---|---|---|
| 暖地(関東以西の平地・九州) | 5月上旬〜6月中旬 | 9月下旬〜11月上旬 |
| 中間地 | 5月中旬〜6月下旬 | 10月上旬〜11月上旬 |
| 寒冷地 | 5月下旬〜6月下旬(マルチ推奨) | 10月上旬〜霜が降りる前 |
6月下旬を過ぎた植え付けは、収穫までの日数が足りずいもが小さくなる。遅れたら早生系の品種に切り替える。
苗の選び方と植える前のひと手間
苗はいもではなく、いもから伸ばしたつるを切ったものである。根がついていない状態で売られているのが普通なので、根の有無で良し悪しを判断しない。見るべきは節の数と茎の締まり、切り口が乾いて黒変していないかどうかである。
- 節が7〜8以上ある苗
- 埋める節の数がそのままいもの候補数になる。長さ25〜30センチ、節が7〜8以上ある苗を選ぶ。短い苗しかないときは植え方の型を変えて対応する。
- 茎は太すぎないもの
- 茎が異様に太く葉が濃い苗は窒素過多の畑で育っており、植えてからつるぼけしやすい。中くらいの太さで節間が詰まった苗のほうが結果がよい。
- しおれた苗はむしろ好都合
- 届いた苗がしおれていても捨てない。切り口から発根しやすくなるため、購入後に二〜三日、日陰で寝かせてから植える農家もいる。腐って黒ずんだものだけ除く。
- 植える前に水揚げする
- 植え付け前に切り口を3〜5センチ水に浸け、半日ほど吸わせてから植える。活着が目に見えて安定する。浸けすぎて茎全体を水に沈めると腐るので切り口だけにする。
植え方の型でいもの数と大きさが変わる
いもは土に埋めた節から作られる。つまり埋める節が多い型ほど数が増えて一つずつは小さくなり、少ない型ほど数は減って大きく揃う。焼きいも向けの中型を数多く採りたいのか、大きないもを少数採りたいのかで型を選ぶ。
| 植え方 | 埋める節数 | いもの傾向 |
|---|---|---|
| 水平植え | 5〜6節 | 数が多く、中〜小型が揃う。長い苗向き |
| 船底植え | 4〜5節 | 中央が浮くので数と大きさの均衡がとりやすい |
| 斜め植え | 3〜4節 | 数はやや少なく大きくなる。短い苗でも可 |
| 垂直植え | 2〜3節 | 数は少ないが一つが大きい。狭い場所向き |
水平植えは根が浅い層に集中するため乾燥に弱い。梅雨明け後に雨が少ない畑では斜め植えのほうが失敗しにくい。
植え付けの手順
- 畝を湿らせておく
- 乾いた畝にそのまま挿すと活着しない。植える前日に雨がなければ、植え穴にたっぷり水を入れ、引いてから苗を置く。
- 穴は棒であける
- 移植ごてで大きく掘ると土が乾く。支柱や太い棒を斜めに差し込んで深さ10〜15センチの穴をあけ、苗を差し込む型で植える。
- 葉は土に埋めない
- 埋めるのは節と茎まで。葉が土に埋まると腐って病気の起点になる。地上には葉が3〜4枚残る状態にする。
- 植えたら株元を押さえる
- 茎と土の間に隙間があると発根しない。手のひらで株元をしっかり押さえ、最後にもう一度株元へ水をやる。
- 曇りの日か夕方に植える
- 晴天の日中に植えると葉から水が抜けて枯れやすい。曇りの日、または夕方に植えると活着率が上がる。
株間と畝の広さを決める
株間は狙ういもの大きさで決める。詰めれば数が増えて一つが小さくなり、広げれば数は減って大きくなる。家庭菜園で焼きいもにちょうどよい大きさを狙うなら35センチ前後が扱いやすい。
- 畝の向きは南北に取る
- つるが両側へ均等に広がり、日が全体に当たる。東西に取ると片側の株が影になりやすい。傾斜地では排水を優先し、水が流れる向きに合わせる。
- 通路は50センチ以上あける
- 夏にはつるが通路まで覆う。狭いと収穫時に踏み荒らして畝を崩すため、人が歩ける幅を最初に確保しておく。
- 一畝に一列で植える
- 畝の上に二列植えると根が競合していもが太らない。幅の広い畝でも中央に一列だけにするほうが結果がよい。
| ねらい | 株間 | 畝幅・畝高 |
|---|---|---|
| 中〜小型を数多く | 30センチ | 畝幅60〜70センチ・高さ25センチ以上 |
| 標準(焼きいも向き) | 35センチ | 畝幅70〜75センチ・高さ30センチ前後 |
| 大型を少数 | 40〜45センチ | 畝幅75〜80センチ・高さ30センチ以上 |
活着するまでの一〜二週間
- 最初の一週間は水を切らさない
- 植え付け直後だけは畑でも水やりする。晴天が続くなら二〜三日おきに株元へ与える。発根して新しい葉が動き始めたら水やりはやめる。
- しおれても数日は待つ
- 植えた翌日から葉が垂れるのは正常で、根が動けば戻る。三〜四日で回復しない株、茎が黒く軟らかい株だけ抜いて植え直す。
- 予備苗を数本残す
- 欠株は収量にそのまま響く。植え付け時に苗を数本余らせて畝の端に仮植えしておき、一週間後の欠株補充に使う。
補植は植え付けから二週間以内にすませる。それ以降に植えた株は生育日数が足りず、掘っても細い根しか残らない。
プランターと袋で植えるとき
- 容量25リットル・深さ30センチ
- 容器は深さ30センチ、容量25〜40リットルを目安にする。それ以下だといもが太る空間がなく、土の乾きも早すぎて肥大が止まる。
- 一容器に一株が基本
- 25リットル級なら苗は1本。欲張って2本植えると細いいもばかりになる。60センチの長方形プランターで2本が上限と考える。
- 底の排水を確保する
- 袋栽培は袋の底の角を切り、側面下部にも数か所穴をあけて水が溜まらないようにする。停滞水は腐敗といもの割れの原因になる。
- 用土は肥料の少ないものを
- 元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)入り培養土をそのまま使うと窒素が多くつるだけが茂る。培養土に赤玉土や日向土を2〜3割混ぜて肥料濃度を薄めると仕上がりがよい。
さつまいもの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
さつまいもの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はさつまいもの育て方にまとめています。
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