秋にまいて長く穫る
高菜は九月にまいて十一月下旬から穫り始め、冬のあいだ外葉をかき取りながら二月三月まで使える作物です。最後は春に伸びた花茎まで食べられるので、一度まけば長く楽しめます。
作業そのものは多くありません。土を作り、まき、間引き、追肥(育ちの途中で足す肥料)をし、穫る。それぞれの時期を外さないことが、大株にするいちばんの近道になります。
| 月 | 主な作業 | 株の状態 |
|---|---|---|
| 8月下旬〜9月上旬 | 石灰と堆肥を入れて耕す | まだ種はまかない |
| 9月中旬〜10月上旬 | 種まきと一回目の間引き | 双葉〜本葉3枚 |
| 10月 | 間引きと追肥、土寄せ | 草丈15〜30センチ |
| 11月 | 追肥。下旬から収穫開始 | 草丈40〜50センチ |
| 12月〜2月 | 外葉のかき取り収穫 | 大株になる |
| 3月 | 花茎を穫って終了 | とう立ちが始まる |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした流れです。寒冷地は全体に半月早め、暖地は半月遅らせるとだいたい合います。畑の記録に照らして毎年少しずつ調整してください。
十月までは虫との勝負、十一月からは寒さとの付き合いです。前半にネットで守り切れていれば、後半は穫るだけの作物になります。
| 月 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 8月下旬 | 苦土石灰を混ぜて深く耕す | 1平方メートルに100グラム |
| 9月上旬 | 堆肥と元肥を入れて畝を立てる | 深さ30センチまで |
| 9月中旬 | 点まきしてネットをかける | 30〜40センチ間隔 |
| 9月下旬 | 一回目の間引き | 3本に減らす |
| 10月上旬 | 二回目の間引きと追肥 | 2本に減らす |
| 10月下旬 | 一本にして追肥と土寄せ | 株間30〜40センチ |
| 11月中旬 | 仕上げの追肥 | 草丈40センチ |
| 11月下旬〜2月 | 外葉から順にかき取る | 葉の長さ30センチ以上 |
| 3月 | 花茎を折って収穫、片づけ | つぼみが見えたら |
九月と十月は虫を入れない
九月はまだモンシロチョウやコナガが飛んでいます。この時期に卵を産みつけられると、十月には葉が穴だらけになり、大株になっても漬物には使えません。まいた日にネットをかけるのが唯一の確実な手です。
間引きと追肥でネットをめくる回数が増える時期でもあります。開けたらすぐ閉じる癖をつけ、作業のたびに葉の裏を確かめてください。
- まいた日にかける
- 水をやったらすぐネットをかけ、裾に土をかぶせます。芽が出てからでは中に虫を閉じ込めることになります。
- 葉裏を毎回見る
- 間引きのたびに葉の裏を見ます。細かい卵や小さな幼虫を見つけたら、その場でつぶしておくとあとが楽です。
- 作業は短時間で
- めくる時間を短くするため、やることを決めてから開けます。終わったらその場で裾を留め直してください。
薬を使う場合は葉物野菜に使えるものを選び、収穫までの日数の決まりを守ります。漬物にするので特に気をつけてください。
十一月から二月は穫る時間
十一月下旬になると外葉が三十センチを超え、順にかき取れるようになります。株ごと抜くのは漬物を仕込むときだけにして、普段は外葉を数枚ずつ取る形にすると長く使えます。
寒さが厳しくなると伸びは緩やかになりますが、葉は厚みを増して味が濃くなります。真冬の高菜は辛みも乗るので、漬物にするならこの時期の葉が向きます。
| 時期 | 見えること | すること |
|---|---|---|
| 11月下旬 | 外葉が30センチを超える | 外葉から数枚ずつかき取る |
| 12月 | 株が横に広がる | 漬物にするなら株ごと収穫 |
| 1月 | 葉が厚く色が濃い | 必要な分だけかき取る |
| 2月 | 中心が立ち上がり始める | とう立ちの前に穫り切る計画を立てる |
三月のとう立ちも収穫のうち
春になって暖かくなると、中心から花茎が伸びてきます。これは失敗ではなく、やわらかいうちに折って食べられる部分です。菜の花と同じように、つぼみが開く前が食べごろになります。
ただし花が咲いてしまうと茎が固くなり、株の力も抜けます。つぼみが見えたら十日ほどで穫り切るつもりで、こまめに畑を見てください。
- つぼみを探す
- 二月の終わりから中心をのぞき、つぼみが上がってきていないか見ます。見えたらそこから収穫の期間が始まります。
- 手で折る
- 花茎は手で折れるところから折ります。折れずに曲がるところは固いので、折れる高さが食べごろの境目になります。
- 咲く前に穫り切る
- 花が開くと茎が固くなります。つぼみのうちに順に折り取り、咲き始めたらその株は片づけて畑を空けます。
予定が狂ったときの立て直し
まくのが遅れた、虫にやられた、収穫が追いつかないといった場面は毎年のように起きます。どこまで取り返せるかを知っておくと、落ち着いて判断できます。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| まくのが半月遅れた | 小さいまま冬を迎える | 若採りでおひたしや炒め物に使う |
| 虫にやられた | 葉が穴だらけになる | 傷んだ外葉を落とし、中心の葉を使う |
| 収穫が追いつかない | 外葉が固くなる | 株ごと抜いて一度に漬け込む |
| 早くとう立ちした | 茎が伸びて葉が固い | 花茎を折って食べ、株は片づける |
高菜の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
高菜の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は高菜の育て方にまとめています。
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