地植えか鉢植えかを気温で決める
タンカンは氷点下三度前後で葉が傷み、氷点下五度を下回ると枝が枯れ込みます。関東平野部の露地は冬の最低気温が氷点下三度から五度まで下がる日があり、地植えには条件が厳しい果樹です。冬に氷点下三度を下回る日が年に数日以内なら南向きの壁際で地植えを試せますが、それ以上なら鉢植えにして冬は軒下や室内へ移すほうが確実です。
実が木に付いたまま冬を越す果樹なので、寒さが実の品質にも直結します。地植えで実を落とすくらいなら、多少小ぶりでも鉢植えで確実に熟させるほうが満足できます。
| 地域・環境 | 向く育て方 | 冬の対策 |
|---|---|---|
| 関東南部の沿岸、都市部 | 南向きの壁際で地植え可 | 十二月から二月は不織布で株を覆う |
| 関東内陸、北関東 | 鉢植え | 十二月から三月は軒下か室内の窓辺へ |
| 東海以西の暖地 | 地植え | 若木の間だけ寒冷紗で覆う |
| 寒冷地 | 鉢植えで室内越冬 | 十一月から四月は室内。日当たりを確保 |
最低気温は天気予報の値より庭のほうが低いことが多いです。植える予定の場所に温度計を置き、一冬測ってから決めると失敗しません。
植え付けは三月中旬から四月
かんきつの植え付けは寒さが緩んだ三月中旬から四月が適期です。秋に植えると根が張らないまま冬を迎え、寒害で枯れることがあります。ポット苗なら五月から六月まで植えられますが、真夏は避けます。
- 苗を選ぶ
- 接ぎ木の跡がしっかりくっつき、幹がまっすぐで葉が濃い緑の二年生苗を選びます。葉が黄色く、枝先が枯れている苗は避けます。
- 植え穴を作る
- 直径五十センチ、深さ四十センチの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土をバケツ二杯と苦土石灰ひとつかみを混ぜて戻します。かんきつは水はけの良い土を好みます。
- 接ぎ木部分を土に埋めない
- 接ぎ木の部分が地面より上に出る高さで植えます。埋めると接ぎ穂から根が出て台木の意味がなくなり、病気にもかかりやすくなります。
- 支柱を立てて水をやる
- 苗の脇に支柱を立てて麻ひもで結び、株元にたっぷり水を与えます。植え付け後一か月は土が乾いたら水を足します。
鉢植えの鉢と土
鉢植えは八号から十号の深めの鉢で始め、成長に合わせて最終的に十二号から十五号にします。用土は赤玉土の中粒六に腐葉土三、川砂一を混ぜたもので、水はけを優先します。市販の果樹用培養土でも育ちます。鉢が小さいうちは毎年、大きくなってからは二年から三年ごとに植え替えます。
| 鉢の大きさ | 苗の目安 | 実の数の目安 |
|---|---|---|
| 八号 | 植え付け一年目から二年目 | 実はならせない |
| 十号 | 三年目から四年目 | 五個から十個 |
| 十二号から十五号 | 五年目以降の成木 | 二十個から三十個 |
鉢は移動することを考え、キャスター付きの鉢台に載せておくと冬の移動が楽です。
日当たりと風よけ
タンカンは日光が大好きで、一日六時間以上日が当たる場所ほど実が甘くなります。同時に冬の北風を嫌うので、南向きで北側に壁や生け垣がある場所が理想です。風の通り道に植えると、冬に葉が落ちて春の伸びが止まります。
- 南側の壁際を選ぶ
- 建物の南側で、壁から一メートルほど離した位置に植えます。壁の照り返しで冬の夜間温度が一度から二度上がります。
- 北風をさえぎる
- 北側に何もない場所なら、株の北側に寒冷紗や防風ネットを冬だけ張ります。若木のうちは特に効きます。
植えて三年は実をならせない
かんきつは若いうちに実をならせると木が育たず、その後の収穫量が伸びません。植え付けから二年から三年は花が咲いても摘み取り、枝と根を育てることに専念します。四年目に木の高さが一メートル半を超え、枝が四方に張ったら、少しずつ実をならせ始めます。
早く実を見たい気持ちは分かりますが、三年我慢した木は十年以上収穫を続けます。一年目の実の数は五個程度に留め、翌年から倍にしていきます。
- 花を摘む
- 五月に咲いた花を、一年目と二年目は全部、三年目は九割摘み取ります。指でつまむと簡単に取れます。
- 枝を育てる
- 摘花した年は枝が勢いよく伸びます。主な枝を三本から四本選び、それ以外の細い枝は付け根から切ります。
植えた後に弱ったときの切り分け
植え付け後に葉が黄色くなる、葉が落ちる、芽が動かないといった不調は、寒さ、水、植え方のどれかが原因です。葉の色と落ち方、土の湿り具合を見て切り分けます。
| 症状 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 冬に葉が丸まって落ちる | 寒さと北風 | 不織布で覆い、鉢は軒下へ移す |
| 葉が黄色く土が湿ったまま | 水はけが悪い | 鉢なら水を控え、地植えなら株元を高く盛る |
| 春に芽が動かない | 深植えで接ぎ木が埋まった | 株元の土を除き、接ぎ木部を出す |
| 葉脈だけ緑で葉が黄色い | 土がアルカリ寄りで鉄が吸えない | ピートモスを混ぜ、石灰を控える |
かんきつは春に一斉に古い葉を落として新しい葉に入れ替えることがあります。新芽が出ていれば正常なので、あわてて肥料を足しません。
タンカンの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
タンカンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はタンカンの育て方にまとめています。
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