切る枝と残す枝を見分ける
タンカンの実は前年の春に伸びた充実した枝の先に付きます。長く勢いよく伸びた枝には実が付きにくく、二十センチ前後の中くらいの枝がもっとも実を付けます。剪定では、勢いの強い枝と込み合った枝を減らし、実の付く中くらいの枝を残すのが基本です。
| 枝の姿 | 実の付きやすさ | 扱い |
|---|---|---|
| 長さ十センチから二十五センチで葉が密 | よく付く | 残す |
| 五十センチ以上まっすぐ伸びた太い枝 | 付きにくい | 付け根から切るか半分に切り戻す |
| 幹や太い枝から真上に出た枝 | 付かない | 付け根から切る |
| 内側に向いて他の枝と交差する枝 | 日陰で付かない | 付け根から切る |
| 枯れた枝、細く弱い枝 | 付かない | 切って風を通す |
迷ったら切らないのが正解です。かんきつは切りすぎると翌年花が付かず、切らなくても枯れることはありません。
剪定の時期は三月
剪定は収穫が終わり、寒さが緩んだ三月に行います。冬に切ると切り口から寒さが入って枝が枯れ込みます。四月以降は新芽が動いて花芽が見えるので、それより前に終えます。
- 枯れ枝と病枝を落とす
- 先端が枯れた枝、かいよう病の斑点が付いた枝を先に切ります。病枝は健全な部分まで戻して切り、袋に入れて処分します。
- 勢いの強い枝を減らす
- 真上に太く伸びた枝を付け根から切ります。全部切ると木が反発してまた出るので、二本あれば一本残して半分に切り戻します。
- 込んだ枝を間引く
- 同じ方向に重なる枝、交差する枝を付け根から抜きます。木の内側に手を入れて、葉越しに空が見える程度が目安です。
- 切り口を守る
- 直径一センチを超える切り口には癒合剤を塗ります。かんきつは切り口が乾きにくく、そこから腐りが入ります。
木の高さを抑える
タンカンは放っておくと三メートルを超え、収穫も防寒も難しくなります。家庭では高さ二メートル以内に抑えます。中心の幹をある程度の高さで切り、横に広がる枝を主にする開心形にすると、内側まで日が入り、脚立なしで手が届きます。
- 主枝を三本から四本選ぶ
- 植えて二年目から三年目に、幹の高さ五十センチから八十センチから出た枝を三本から四本選び、それを主枝にします。
- 幹の上を止める
- 主枝が決まったら、その上の幹を一番上の主枝のすぐ上で切ります。木の高さが横に広がる形に変わります。
- 毎年高さを確かめる
- 三月に二メートルを超えた枝を、下向きの枝のある所まで切り戻します。一度に大きく下げず、二年かけて下げます。
鉢植えの剪定はより軽く
鉢植えは根の量が限られているので、地植えより枝の伸びが穏やかです。三月に枯れ枝と内側の込んだ枝を数本抜く程度で足ります。切りすぎると鉢の中の根とのバランスが崩れ、その年の花が付きません。移動のために幅を抑えたいときは、横に広がりすぎた枝を分岐点まで戻します。
| 鉢の大きさ | 残す枝の目安 | 切る量 |
|---|---|---|
| 八号から十号 | 主枝三本 | 枯れ枝と内向きの枝だけ |
| 十二号 | 主枝三本から四本 | 全体の一割以内 |
| 十五号以上 | 主枝四本 | 全体の二割以内、高さ二メートルまで |
鉢植えで剪定した年は、根と枝の釣り合いを取るために三月の春肥を通常量にし、四月に新芽の伸びを見て弱ければ液体肥料を一度足します。植え替えと強い剪定を同じ年に重ねないのが鉢植えのこつです。
隔年結果を剪定で抑える
タンカンは実がたくさん付いた翌年に実が少なくなる隔年結果(一年おきに実の量が波打つこと)が出やすい果樹です。実をたくさん付けた年は枝が伸びず、翌年の花芽が減るのが原因です。剪定で実の付く枝と伸ばす枝を分けると波が小さくなります。
たくさん実が付いた年は、実の付いていない枝を残して伸ばし、翌年の花芽を確保します。実が少ない年は、勢いの強い枝を切り戻して中くらいの枝を増やします。
- 実の多い年は摘果で調整
- 七月に葉二十五枚から三十枚に実一個の割合まで摘果します。実が付いていない枝には手を付けず、翌年用に伸ばします。
- 実の少ない年は枝を作る
- 三月に長い枝を半分に切り戻し、夏に出る枝を翌年の実の付く枝にします。この年は枝を伸ばす年と割り切ります。
- 夏に伸びた枝の先を摘む
- 七月から八月に三十センチを超えて伸びた夏枝は、先端を十センチほど摘んで止めます。枝の充実が進み、翌春に花芽の付く中くらいの枝に変わります。
剪定で失敗したときの立て直し
切りすぎて花が付かない、逆に切らなくて内側が枯れた、という失敗は珍しくありません。木の様子を見て、どちらに傾いたかを判断し、翌年の剪定で戻します。
| 症状 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 春に太い枝ばかり伸びて花がない | 切りすぎ | 翌年は枯れ枝だけ切り、伸びた枝は夏に先を摘む |
| 木の内側の葉が落ちて枝が枯れる | 込みすぎで日が入らない | 三月に内側の枝を抜き、二年かけて空ける |
| 切り口から枝が枯れ込む | 冬に切ったか癒合剤なし | 枯れた部分を健全な所まで戻して切り、癒合剤 |
| 高くなりすぎて手が届かない | 高さの管理不足 | 二年かけて下向きの枝の所まで下げる |
タンカンの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
タンカンの収穫までのコツは作物ページに
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