掘る時期は霜から逆算する
里芋は寒さに弱く、霜に当たると芋の内部が傷んで貯蔵が効かなくなる。だから収穫の締め切りは初霜の予報で決まる。地上部が青いうちでも、霜が近ければ掘り上げを優先したほうが結果は良い。
早すぎる収穫もまた損である。9月から10月にかけて子芋は急に太るので、下葉が2〜3枚枯れ始めてから試し掘りをして、大きさを確かめてから本番に入る。品種による差が大きいので日付では決めない。
| 品種の系統 | 収穫の中心 | 備考 |
|---|---|---|
| 石川早生(極早生) | 8月下旬〜9月 | 早掘りで柔らかい子芋を食べる |
| 土垂(中生) | 10月〜11月 | 貯蔵性が高く長く食べられる |
| 八つ頭 | 11月〜12月 | 正月に合わせて遅めに掘る |
| 海老芋 | 10月下旬〜12月 | 土寄せを重ねた株ほど形が良い |
試し掘りは畝の端の1株で行う。中央を掘ると残りの株の根を切り、以後の肥大を止めてしまう。
掘り上げの手順
掘るのは晴天が2日ほど続いた後にする。土が乾いていれば芋が離れやすく、傷も付きにくい。雨上がりに掘った芋は皮がむけやすく、そのまま貯蔵すると腐りの起点になる。
- 茎を切る
- 地際から10〜15センチを残して葉柄を切る。全部を切り落とすと持つところがなくなり、切り口から水が入って傷みやすくなる。
- 株を起こす
- 株から30センチ離れた場所にスコップを入れ、周囲を一周ゆるめてから、てこの要領で株ごと持ち上げる。近くに刺すと子芋を割る。
- 土を落とす
- 株のまま数時間から半日、畑で乾かしてから土を落とす。濡れた土をこすり取ると皮が傷つくので、乾いてから手でほぐす。
洗うのは食べる直前でよい。土が付いたままのほうが乾燥と傷みを防ぎ、日持ちがはっきり違う。
親芋・子芋・孫芋の食べ分け
掘り上げた株はひとかたまりになっている。中心の大きな親芋、その周りの子芋、さらに外側の小さな孫芋という構造で、どれをどう扱うかは品種によって変わる。切り分ける前に系統を思い出したい。
| 部位 | 食味と用途 | 種芋への向き |
|---|---|---|
| 親芋 | 子芋用種では硬い、八つ頭や海老芋は美味 | 大きすぎて扱いにくい |
| 子芋 | 粘りがあり煮物向き、主な収穫物 | 使えるが孫芋に劣る |
| 孫芋 | 小ぶりだが締まって美味 | もっとも適する |
子芋用品種の親芋も、皮を厚くむいて下ゆですれば食べられる。えぐみが強い株は無理に食べない。
食べる分の保存
里芋は低温に弱く、冷蔵庫に入れると数日で傷んで味が落ちる。適温は8〜10℃前後、5℃を下回らせないのが原則である。家の中でもっとも寒くない、暗くて風の通る場所を探して置く。
- 掘った直後
- 洗わず土を付けたまま、風の通る日陰で半日から1日乾かす。表面の水気が抜けたら新聞紙に包み、段ボール箱へ立てて入れる。
- 置き場所
- 床下収納、暖房を入れない部屋の隅、玄関土間など。凍らず暑くもならない場所を選び、月に一度は箱を開けて腐りを抜く。
- 長く持たせるなら
- 株から切り離さず、親芋と子芋がつながったまま置くと日持ちする。食べる分だけそのつど外していくのが理にかなう。
種芋の越冬は土の中で
翌年の種芋は掘らずに畑へ埋め戻して越冬させるのが確実である。家の中では温度と湿度が保てず、乾いてしぼむか腐るかのどちらかになりやすい。土の中は温度が安定し、湿りも一定に保たれる。
- 穴を掘る
- 水のたまらない高い場所を選び、深さ50〜70センチの穴を掘る。底にもみ殻かわらを敷き、直接土に触れないようにする。
- 芋を並べる
- 親芋と子芋を切り離さず株のまま、茎の切り口を下に向けて並べる。上からもみ殻かわらをかぶせ、さらに土を30センチほど戻す。
- 雨を防ぐ
- 山盛りに土を戻し、その上をビニールや波板で覆う。雨水がしみ込むと中で腐るので、水が横へ流れる形に仕上げる。
掘り出すのは芽出しを始める3月。それより早く開けると外気で傷むので、場所に目印を立てて春まで待つ。
うまくいかなかったときの読み方
掘った結果には理由がある。数が少ないのか、小さいのか、形が悪いのかで原因が分かれるので、次の年の設計に直結させたい。記録しておけば、同じ失敗を三年続けることはなくなる。
- 芋が小さい
- 夏の水不足がほとんど。7月から8月の潅水と敷きわらを見直す。追肥(育てている途中で足す肥料)を増やしても水が足りなければ芋は太らない。
- 数が少ない
- 芽かき(余分な芽を根元から取ること)不足か株間の詰めすぎ、あるいは植え付けの遅れ。主茎を1本に絞り、株間を35センチ以上取って翌年を組み直す。
- 緑色や変形
- 土寄せ(株元へ土を寄せること)不足で日に当たった証拠。畝を高く作り、6月と7月の2回を必ず行う。地表に芋が見えた時点で覆うだけでも防げる。
- 切ると内部が茶色
- 乾腐病の疑いがある。その株の芋は種にせず、翌年は別の場所へ移し、イネ科作物を挟んで3〜4年空ける。
掘った日と株ごとの出来をひと言だけ残す。翌春に種芋を選ぶとき、その一行がいちばん役に立つ。
里芋の収穫に使うもの
穫るときより、穫ったあとに困ります。入れるものと、しまうものを先に用意しておきます。
- 収穫ばさみ探す言葉「収穫ばさみ 野菜」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜7cm のステンレス製。先が丸いものは実を傷つけにくいです。
引きちぎると株のほうに傷が残り、そこから病気が入ります。次の実を穫るつもりなら、切って穫ります。
- 折りたたみコンテナ探す言葉「折りたたみコンテナ 20L」
- 規格の目安
- 20L 前後。使わないときに畳めるものが置き場所を取りません。
袋に入れると重みで下の実が潰れます。積み重ねられる箱なら、そのまま持ち帰れます。
- 鮮度保持袋探す言葉「野菜 鮮度保持袋 有孔」
- 規格の目安
- 厚さ 0.02mm 前後の有孔ポリ袋。葉物用と実物用でサイズを分けます。
穴のない袋に入れると蒸れて傷みます。穴あきの袋は湿りを保ちながら呼吸を通します。
- 新聞紙・保存箱探す言葉「野菜 保存 コンテナ 通気」
- 規格の目安
- 通気穴のある箱。根菜は新聞紙に包んで立てて入れます。
根菜と芋類は洗わずに土を落として乾かし、暗く涼しい場所に置くほうが長くもちます。
- よく切れる普通のはさみで足りる作物は多く、専用の収穫ばさみが要るのは硬い茎のものだけです。
- 真空保存機は、量が出るようになってから考えれば十分です。
里芋の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は里芋の育て方にまとめています。
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