月別に何を警戒するか
里芋は葉が大きく丈夫で、見た目には病害虫が少ない作物に映る。実際に多いのは種芋から持ち込まれる病気と、夏から秋の葉を食べる虫、そして病気ではない乾燥害である。時期ごとに見るものを決めておくと見落とさない。
| 時期 | 警戒するもの | 予防の中心 |
|---|---|---|
| 4月〜5月 | 種芋由来の乾腐病、植え傷み | 健全な種芋の選別と水はけ |
| 6月〜7月 | アブラムシ、疫病の初発 | 風通しと株の見回り |
| 8月〜10月 | ハスモンヨトウ、ハダニ | 葉裏の点検と早期の捕殺 |
| 7月〜9月 | 乾燥害(生理障害) | 敷きわらと潅水 |
薬を増やす前に、水と風通しと連作年数を疑う。里芋の不調はこの三つで説明がつくことが多い。
ハスモンヨトウは葉裏を見る
夏から秋にかけていちばん目立つ食害はハスモンヨトウである。卵はまとめて産みつけられ、ふ化した幼虫は最初の数日を同じ葉の裏で群れて食べる。この段階なら葉を1枚取るだけで終わるが、散ってしまうと株全体に広がる。
- 見つけ方
- 葉が白っぽく透けて見えたら、その葉の裏を必ず確かめる。表皮だけ残して食べるので、遠目には色が抜けたように見えるのが最初の合図になる。
- 群れているうちに
- 卵の塊と若い幼虫が固まっている葉は、葉ごと切り取って畑の外へ出す。1枚失っても株への影響は小さく、後の被害と比べれば安い。
- 大きくなった幼虫
- 育つと昼は株元や土の際に隠れ、夜に食べる。日暮れか早朝に株元の土や敷きわらの下をめくって探し、見つけしだい取り除く。
被害が増えるのは8月下旬から10月。収穫が近い時期なので、薬に頼らず見回りで抑えたい局面が多い。
アブラムシとハダニ
アブラムシは新しい葉の付け根や葉裏に付き、数が増えるとウイルス病を媒介する。ハダニは乾燥した年に増え、葉に白い小さな点が散り、進むと葉全体がかすれて色を失う。どちらも乾いた条件で勢いづく。
- アブラムシの予防
- 窒素を効かせすぎないことが最大の予防になる。葉が濃い緑で柔らかい株ほど寄られる。追肥(育てている途中で足す肥料)は決めた量を守り、9月以降は施さない。
- ハダニの予防
- 乾燥が続くと増えるので、潅水と敷きわらがそのまま対策になる。発生した葉は葉裏に水をかけて洗い、ひどい葉は取り除く。
- 見回りの頻度
- 7月から9月は週に1回、株の中心と外周の葉を1枚ずつ裏返す。全部を見る必要はなく、決まった株を定点で見るほうが変化に気づく。
アブラムシが急に増えたら周りの雑草も確認する。畑の縁の草が発生源になっていることが多い。
種芋から来る病気を持ち込まない
乾腐病は生育中の葉には症状が出にくく、収穫した芋を切って初めて内部の変色に気づくことが多い。原因菌は土の中で長く生き、種芋に付いて畑から畑へ移動する。つまり対策のほとんどは植える前に終わっている。
- 種芋の選別
- 病気の出ていない株から取った芋だけを種にする。表面の土を洗い落として傷や変色を確かめ、少しでも腐りのある芋は使わない。
- 残さの処分
- 収穫後の茎葉と傷んだ芋を畑にすき込まない。菌を翌年へ残す原因になるので、畑の外へ出して処分する。
- 水はけを作る
- 疫病も乾腐病も、水がたまる畑で広がる。高畝にし、通路の端に排水の溝を切っておくと、長雨のときの被害が明らかに違う。
疫病は葉に水がしみたような斑点が出て急に広がる。見つけた株は早く抜き、畑の外で処分する。
乾燥害は病気と間違えやすい
葉の縁が茶色く枯れ込む、株が伸びない、芋が小さく硬いといった症状の多くは、病気ではなく水不足である。薬をかけても直らない。原因が乾燥かどうかは、掘って根の広がりと土の湿りを見れば判断できる。
一度止まった肥大は完全には戻らないが、9月までなら潅水を再開して取り返せる部分がある。ただし乾いた土に急に大量の水を与えると芋がひび割れるので、少量を数日続けて土を戻すほうがよい。
昼だけ萎れて夕方に戻るのは正常。朝から葉が垂れたままなら水不足を疑い、その日のうちに潅水する。
連作を避ける設計
里芋は連作障害が強く出る作物で、同じ場所での栽培は3〜4年、できれば5年空ける。年数を短くすると乾腐病や線虫の被害が積み上がり、株が育たない年が突然やってくる。畑を区切って輪番を決めておきたい。
厄介なのは、被害が出るまで土の状態が見えないことである。去年まで問題がなかった場所で急に株が小さくなり、掘ると芋が付いていないという形で表れる。そうなってからでは、その年の分は戻らない。
| 前作 | 里芋の後の相性 | 理由 |
|---|---|---|
| イネ科(とうもろこし等) | 良い | 菌の密度を下げ、残った有機物が保水に働く |
| さつまいも、じゃがいも | 普通 | 科は違うが土壌病害の管理は必要 |
| 里芋、こんにゃく | 避ける | 同じ病害虫を引き継ぐ |
区画が狭くて空けられないなら、鉢や大型プランターへ移して土を入れ替える年を挟むとよい。
出てしまったあとの切り分けと手当て
症状を見たらまず、虫か、病気か、乾燥かを分ける。葉裏に虫や卵があれば虫、葉に水がしみたような斑が広がれば病気、株全体が伸びずに土が乾いていれば乾燥害である。この三つで大半は説明がつく。
分けたうえで、その年の収穫を守る手と、翌年へ持ち越さない手を別に考える。今年の芋は掘れる範囲で掘り、残さと区画だけは切り離す。里芋の失敗は土に残るので、片づけ方が翌年をいちばん左右する。
- 薬より先に三つを疑う
- 水と風通しと連作年数を先に見る。里芋の不調はこの三つで説明がつくことが多く、薬を増やしても解決しない。
- 残さを畑に残さない
- 収穫後の茎葉と傷んだ芋はすき込まない。菌が翌年へ残るので、畑の外へ出して処分する。
| 見えている症状 | 考えられる原因 | 打てる手 |
|---|---|---|
| 葉が白く透けて色が抜ける | ハスモンヨトウの幼虫 | 葉裏を見て、葉ごと切り取る |
| 葉に水がしみた斑が広がる | 疫病 | 株ごと抜いて畑の外で処分する |
| 葉に白い小点、全体がかすれる | ハダニ | 葉裏に水をかけ、敷きわらを足す |
| 掘った芋の内部が変色 | 乾腐病 | その株の芋は種芋にしない |
同じ区画で2年続けて出た不調は、管理では止まらない。翌年は場所を替えるという判断が、どの手当てよりも確実に効く。
里芋の収穫までのコツは作物ページに
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