3月から5月 準備と植え付け
この時期の仕事は芽出しと畝作り、そして植え付けである。焦って早植えするより、地温15℃を待って一度で確実に発芽させたほうが結果が良い。畝は植え付けの2週間前までに作り、土を落ち着かせておく。
| 月 | 主な作業 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 3月 | 種芋の選別、芽出しの伏せ込み | 植え付けの3〜4週間前に開始 |
| 4月 | 堆肥と元肥、畝立て、暖地は植え付け | 畝幅80〜90センチ、高さ15〜20センチ |
| 5月 | 中間地と寒冷地の植え付け、乾けば潅水 | 頂芽の上に土5〜7センチ |
植え付けから出芽まで3〜4週間かかる。芽が見えなくても掘り返さず、雑草だけ抜いて待つ。
6月 芽かきと1回目の土寄せ
出そろった芽を1本に絞り、追肥(育てている途中で足す肥料)と土寄せ(株元へ土を寄せること)を同時に行う月である。梅雨に入る前に株元を固め、明ける前に敷きわらまで済ませられると、その後の夏が楽になる。作業が集中するので順序を決めて動きたい。
| 時期 | 作業 | 内容 |
|---|---|---|
| 6月上旬 | 芽かき | 太い1本を残し、他の芽を抜く |
| 6月上中旬 | 1回目の追肥と土寄せ | 1株10〜20グラム、土を5センチ寄せる |
| 6月下旬 | 除草と敷きわら | 土が湿っているうちに畝と通路を覆う |
芽かき(余分な芽を根元から取ること)と1回目の追肥を同じ日にまとめると、株元をさわる回数が減り、根を傷める機会も減る。
7月から8月 水と土寄せの勝負どころ
芋が太り始め、同時にもっとも乾く時期に入る。この2か月の管理が収量を決めると言ってよい。潅水を切らさず、地表に見えてきた芋は土か敷きわらで覆い、日に当てないことだけを徹底する。
| 月 | 主な作業 | 警戒すること |
|---|---|---|
| 7月 | 2回目の追肥と土寄せ、潅水開始 | 梅雨明け直後の急な乾燥 |
| 8月上旬 | 3〜4日に1回の潅水、わき芽かき | 葉が朝から萎れる状態 |
| 8月中下旬 | 必要なら3回目の土寄せ | ハスモンヨトウの発生が増える |
8月の水切れは子芋の数そのものを減らす。旅行などで留守にするなら敷きわらを厚くしておく。
9月から11月 試し掘りと収穫
9月は肥大の仕上げで、追肥はもう行わない。極早生の石川早生なら8月下旬から掘れるが、多くの品種は10月以降に本番を迎える。霜に当たると芋が傷むため、初霜の予報が出たら一気に片づける。
本収穫の前に畝の端で1株だけ試し掘りをして、子芋の大きさを確かめる。まだ小さければ2週間待つ。9月から10月の2週間で目に見えて太るので、この判断が収量をいちばん動かす。
| 月 | 主な作業 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 9月 | 潅水を続ける、試し掘り | 下葉が2〜3枚枯れ始めたら試す |
| 10月 | 本格的な収穫、貯蔵の準備 | 晴天が2日続いた後に掘る |
| 11月 | 残りを収穫、八つ頭も掘り上げ | 初霜の予報が出る前に終える |
掘り遅れて霜に当たった芋は貯蔵が効かず、切ると内部が変色する。傷んだ部分を落として早めに食べきる。
12月から2月 貯蔵と翌年の準備
掘った芋を食べる期間であり、翌年の種芋を守る期間でもある。里芋は5℃を下回ると傷むので、冷蔵庫に入れず土の中か家の中の暖かい場所に置く。畑では次作の輪作を考えておく時期にあたる。
八つ頭は正月に合わせて12月に掘る品種なので、この時期にまだ畑に残っていてよい。ただし霜が続く年は地上部が枯れてから早めに掘り、土中貯蔵へ移したほうが傷まない。
| 月 | 主な作業 | 内容 |
|---|---|---|
| 12月 | 土中貯蔵の穴を仕上げる | 雨が入らないよう覆いを点検 |
| 1月 | 貯蔵の見回り | 腐り始めた芋を抜き取る |
| 2月 | 翌年の作付け計画 | 3〜4年空けた場所を選ぶ |
貯蔵中の芋を洗わない。土を落とすと乾きが早まり、春まで持たせるつもりの芋がしぼんでしまう。
地域で何週間ずれるか
同じ月でも暖地と寒冷地では作業が2〜4週間ずれる。基準にするのは日付ではなく、春は地温15℃、秋は初霜の予報である。この2点を自分の地域で押さえれば、あとは間の作業を等間隔に割り振ればよい。
| 地域 | 植え付け | 収穫の中心 |
|---|---|---|
| 暖地 | 4月中旬〜5月上旬 | 9月下旬〜11月中旬 |
| 中間地 | 4月下旬〜5月中旬 | 10月上旬〜11月中旬 |
| 寒冷地 | 5月中旬〜6月上旬 | 10月上旬〜霜が降りる前 |
寒冷地は生育期間が短いので極早生か早生を選ぶ。八つ頭や海老芋は間に合わないことがある。
遅れを立て直すことと記録
里芋は生育期間が長いので、多少の遅れは後の作業で吸収できる。植え付けが2週間ずれても、芽出しで日数を詰めれば霜までに間に合う。取り返せないのは夏の水切れと、9月以降の土寄せだけである。
里芋は植え付けから収穫まで半年以上あり、失敗の原因が出るのは何か月も後になる。だから当てずっぽうで直すより、その年の日付と天気を書き残しておくほうが早い。書く項目は多くなくてよい。
- 春に残すこと
- 芽出しを始めた日、植え付けた日、芽が地上に出た日の三つ。出芽までの日数がわかれば、翌年の芽出しを何週間前に始めるか決められる。
- 夏に残すこと
- 土寄せと追肥を行った日、潅水した日、まとまった雨の降った日。芋が小さかった年に、どこで水が切れていたかを後から追える。
- 秋に残すこと
- 試し掘りの日と芋の大きさ、本収穫の日、株ごとの出来。翌年の種芋をどの株から取るかは、この記録がないと選べない。
| 遅れた作業 | その年に起きること | 立て直しの手 |
|---|---|---|
| 植え付けが6月にずれた | 子芋の数が伸びない | 極早生に替えるか芽出しで詰める |
| 芽かきを逃した | 養分が割れて芋が小さい | 見つけた時点で細い芽を抜く |
| 土寄せが9月にずれた | 根を切る損のほうが大きい | 土寄せをやめ、敷きわらで覆う |
| 夏に水を切らした | 子芋の肥大が止まる | 9月までなら少量の潅水を続ける |
写真を1枚ずつ残すだけでも効く。葉の大きさと株の姿は、数字より正確に前年との差を教えてくれる。
里芋の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
里芋の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は里芋の育て方にまとめています。
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