子芋は種芋の上にできる
土寄せ(株元へ土を寄せること)が要る理由は里芋の芋の付き方にある。植えた種芋が肥大して親芋になり、その側面から上向きに子芋が、さらに子芋から孫芋が伸びる。芋の層は年々上へ積み上がるので、土を足さないと入る場所がなくなる。
場所が足りないと子芋は地表へ顔を出し、日に当たって緑がかり、硬くえぐみのある芋になる。掘ってから気づいても戻せない。土寄せは収量よりまず品質のための作業だと考えたい。
| 部位 | できる位置 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 親芋 | 植えた種芋がそのまま肥大 | 品種により食用、子芋用種では硬い |
| 子芋 | 親芋の側面から上向きに | 主な収穫物。翌年の種芋にも使える |
| 孫芋 | 子芋からさらに派生 | 小ぶりだが充実し、種芋に最適 |
掘ったとき子芋が浅い位置に固まっていたら、土が足りなかった合図。翌年は畝を高く作り直す。
土寄せは2〜3回に分ける
一度に高く盛るのではなく、株の伸びに合わせて2〜3回に分ける。まとめて盛ると根を深く埋めて働きを落とすうえ、畝の間の土を取りすぎて通路がぬかるむ。1回あたり5〜8センチずつ足すのが扱いやすい。
- 1回目(本葉3〜4枚)
- 6月上中旬、草丈が30センチほどになった頃。芽かき(余分な芽を根元から取ること)と1回目の追肥(育てている途中で足す肥料)をこのときに済ませ、株元へ土を5センチ寄せて株を安定させる。
- 2回目(1か月後)
- 7月上中旬、2回目の追肥に合わせて行う。梅雨明け前に畝を高くしておくと、夏の乾燥にも強くなり、倒伏もしにくくなる。
- 3回目(必要なら)
- 8月中旬、子芋が地表近くまで見えてきたら足す。海老芋や八つ頭など芋の層が高く積み上がる品種では、この回を省かない。
9月以降の土寄せは効果が薄い。根を切る損のほうが大きいので、遅れた年は敷きわらで覆って代える。
土寄せのやり方
通路の土を鍬で削り、株元へ寄せて畝を高くする。削るのは通路の表層だけにとどめ、株から20センチ以内は掘らない。里芋の根は畝の外まで広く浅く張っており、そこを切ると真夏に水を吸えなくなる。
- 順序を守る
- 除草、追肥、土寄せの順に行う。草を残したまま土をかけると草ごと埋めて後で抜けなくなり、肥料を土の上に置くと流れて効かない。
- 寄せる高さ
- 葉柄の付け根が隠れる手前まで。生長点である芽の中心を埋めてしまうと展開中の葉が傷み、しばらく生育が止まる。
- 作業する日
- 雨上がりで土が湿り、少し乾いた日を選ぶ。乾ききった土を寄せても崩れて畝が保たず、泥のときは締まりすぎて固くなる。
鍬を深く入れるほど根を切る。表層をすくうように動かし、株へ近づくほど浅くするのが基本になる。
芽かきで主茎を1本に絞る
種芋から複数の芽が出たら、いちばん太い1本を残して残りをかき取る。芽を分散させると養分が割れ、どの芋も中途半端な大きさで止まる。残す芽は勢いよりも、株の中心に立っているかで選ぶ。
その後、子芋や孫芋から出るわき芽(葉のつけ根から出る芽)も見つけしだいかき取る。わき芽を伸ばすとそこに養分が回り、本来太るはずの子芋が細長い形のまま止まってしまう。子芋を大きく取りたい品種ほど効く。
- 種芋の芽かき
- 本葉が3〜4枚、草丈10〜20センチの頃に1回目を行う。残す芽の根元を手で押さえ、不要な芽を横へ倒すように引き抜くと親株が浮かない。
- わき芽かき
- 7月から8月にかけ、株の外側から出る小さな芽を見回りのたびに取る。土寄せの直前にまとめて処理すると、掘り返す回数を増やさずに済む。
八つ頭は親芋と子芋がひと塊になる品種なので、わき芽かきの効果は子芋用種ほど大きくない。
追肥と土寄せをセットにする
里芋は生育期間が長く肥料切れしやすい。追肥は土寄せと同じ日に行い、株元へまいた肥料をそのまま土で覆う。表面に置いたままだと雨で流れ、真夏の高温で効き目が落ちる。
| 時期 | 作業 | 1株あたりの量の目安 |
|---|---|---|
| 6月上中旬 | 1回目の追肥と土寄せ | 化成肥料10〜20グラム |
| 7月上中旬 | 2回目の追肥と土寄せ | 化成肥料10〜20グラム |
| 8月中旬 | 様子を見て3回目 | 葉色が薄いときだけ10グラム |
9月以降の追肥は葉ばかり茂らせて芋の充実を遅らせる。葉が黄ばんでも施さず、収穫へ向かわせる。
土寄せが足りなかったときの立て直し
掘ってみて子芋が小さい、緑色を帯びている、株の外側に散らばっているという結果は、たいてい土寄せ不足である。追肥や水やりを増やしても、芋の入る場所がなければ数は増えない。
- 地表に芋が見えたら
- すぐに土か腐葉土をかけて覆う。真夏で土を動かしたくないときは、敷きわらを厚くして日を遮るだけでも緑化は止められる。
- 株が倒れてきたら
- 土寄せ不足で株元が浮いている合図。倒れた側から土を寄せて起こす。倒伏したまま置くと葉が重なって蒸れ、病害虫を呼ぶ。
- 翌年の設計を直す
- 毎年不足するなら畝を高く作り替える。植え付け時に高さ20センチの畝にしておけば、2回の土寄せで十分な深さを確保できる。
| 掘って見えた姿 | 考えられる原因 | 翌年に直すこと |
|---|---|---|
| 子芋が緑色を帯びている | 土が足りず地表に出た | 畝を高くし、土寄せを3回にする |
| 子芋が浅い位置に固まる | 土寄せの回数が少ない | 6月と7月に5〜8センチずつ足す |
| 子芋の数が少ない | わき芽を伸ばしてしまった | 7月から8月にわき芽をかき取る |
| 株が倒れている | 株元が浮いている | 倒れた側から土を寄せて起こす |
里芋の土寄せに使うもの
土寄せは道具で速さが決まる作業です。株数が多いほど、手より道具のほうが早く終わります。
- くわ(平ぐわ)探す言葉「平ぐわ 家庭菜園」
- 規格の目安
- 刃幅 18cm 前後。柄は身長の 6 割くらいが振りやすい目安です。
通路の土を株元へ寄せる動きに向きます。畝立てにもそのまま使えます。
- 三角ホー探す言葉「三角ホー 土寄せ」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm。先が尖っているので、株の間へ差し込めます。
株間の狭い作物は、くわだと株を傷めます。細かいところは三角ホーのほうが確実です。
- 株数が数株なら、移植ごてでも足ります。
- 専用の土寄せ器は、畑がある程度の広さになってからで十分です。
里芋の収穫までのコツは作物ページに
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