里芋が乾燥に弱い理由
里芋の原生地は熱帯の湿地で、根は水の多い土に合わせてできている。根毛が少なく、深く伸びずに畝の表層を横へ広がるため、表土が乾くとすぐ吸えなくなる。同じ畑の他の作物が平気でも里芋だけ萎れるのはこのためだ。
そして芋が太る7月から9月が、日本ではもっとも土の乾く時期と重なる。水が切れた期間の分だけ子芋の肥大が止まり、いったん止まった肥大は水を与えても完全には取り戻せない。夏の潅水は保険ではなく作業のうちである。
| 育てている場所 | 夏の水やりの間隔 | とくに見るところ |
|---|---|---|
| 畑(土が深く保水する) | 雨がなければ3〜4日に1回 | 敷きわらの下の湿り |
| 畑(砂地や傾斜地) | 2〜3日に1回、量を多く | 昼過ぎの葉の垂れ方 |
| プランター(20リットル以上) | 毎日、猛暑日は朝夕2回 | 鉢底から水が出るか |
| プランター(20リットル未満) | 毎日2回でも足りない | 株数を1株に減らす |
葉が昼に垂れて夕方戻るのは正常な反応。朝から垂れたままなら、すでに肥大が止まっている。
敷きわらは梅雨明け前に敷く
敷きわらは梅雨明けを待たず、土がまだ湿っている6月下旬から7月上旬に敷く。乾いてから敷いても水を閉じ込められない。湿った土に蓋をするという順序が守れるかどうかで、真夏の水やりの手間が変わる。
- 敷く前にすること
- 除草と最後の土寄せ(株元へ土を寄せること)、追肥(育てている途中で足す肥料)を先に済ませる。わらを敷いた後は土を動かしにくくなるので、地面をさわる作業はここで終える。
- 敷く範囲と厚み
- 株元だけでなく畝の肩と通路まで敷く。根は畝の外まで広がっている。厚みは地面が透けない程度、握ってひと束を軽くほぐした量が目安。
- わらがないとき
- 刈った草、落ち葉、もみ殻、使い古しの不織布でも代わる。青草を使う場合は一日干してから敷き、株元に密着させて蒸らさない。
黒マルチは地温を上げすぎる時期がある。夏は上からわらを重ねるか、株間を開けて熱をこもらせない。
水やりの量と回数
畑では回数より一度の量が効く。表面が濡れる程度の水は表層の根を浅くするだけで、翌日には乾く。与えるなら畝の深さまで届く量を、間隔を空けて与える。目安は1株あたり5リットル前後になる。
| 時期 | 畑での目安 | プランターでの目安 |
|---|---|---|
| 6月(梅雨) | 基本は不要、晴天が続けば1回 | 表土が乾いたら与える |
| 7月〜8月 | 雨がなければ3〜4日に1回たっぷり | 毎日、猛暑日は朝夕2回 |
| 9月 | 5日以上の晴天が続いたときだけ | 1〜2日に1回 |
| 10月以降 | 原則不要、収穫へ向かわせる | 表土が乾いたら控えめに |
1週間に1〜2回まとまった雨が降る年は潅水しなくてよい。雨量を見ずに機械的に与えない。
乾燥の被害はいつ出るか
同じ乾燥でも時期によって出る症状が違う。生育前半は株が小さいまま止まり、後半は芋の数や形に出る。掘ってから原因を推測するより、日付と天気を記録しておくと次の年に効く。
| 乾いた時期 | 出る症状 | 打てる手 |
|---|---|---|
| 6月〜7月上旬 | 葉数が増えず株が小さい | 敷きわらを早め、追肥を遅らせない |
| 7月下旬〜8月 | 子芋の数が増えない | 3〜4日に1回の潅水を切らさない |
| 9月 | 芋が小さく硬い、ひび割れ | 急な多量潅水は避け、少量を続ける |
乾いた土に急に大量の水を与えると、太りかけた芋が内側から割れる。戻すときは少量を数日続ける。
畑での潅水の工夫
水源が遠い畑では、いかに水を減らすかより、いかに逃がさないかを設計する。畝を高くしすぎない、通路まで覆う、風の通り道に背の高い作物を置くといった手が、水やりの回数そのものを減らす。
水を運べる量に限りがあるなら、株を絞るという判断もある。20株に薄く配るより、10株へ確実に届けたほうが収穫は多い。植え付けの段階で、真夏に世話できる株数を見積もっておきたい。
- 時間帯を選ぶ
- 与えるのは朝の早い時間か日が傾いてから。日中の高温時にかけると土の表面で温まり、根を傷めるうえ蒸発で半分が無駄になる。
- 溝で与える
- 株元へ直接かけるより、畝の肩に浅い溝を作ってそこへ流すと横の根まで届く。溝は潅水後に敷きわらで覆って乾きを止める。
- 水源が遠い場合
- ペットボトルを逆さに挿す方式や、貯めた雨水を使う。ただし1株5リットルには遠く及ばないので、敷きわらと組み合わせて不足を補う。
里芋の隣に背の高い作物を植えて西日を遮ると、土の乾きが目に見えて遅くなり潅水の回数が減る。
水のやりすぎを見分けて手当てする
湿りを好むといっても、水がたまり続ける状態は別物である。水はけの悪い畑で長雨が続くと根が酸欠になり、葉が黄ばんで下葉から枯れ、芋が腐る。畝を高くしておくのはこの保険でもある。
特に危険なのは植え付け直後と収穫前である。芽が動く前の種芋は呼吸しているだけで腐りやすく、秋に水が多いと貯蔵性が落ちて掘った芋が長持ちしない。時期によって水の意味が逆になる。
- 長雨のとき
- 通路の端に排水の溝を切り、水が抜ける道を作る。畝に水がたまった状態が二日続くと根が傷むので、雨の合間に見に行く。
- 収穫前2週間
- 潅水を止めて土を締める。水を含んだまま掘った芋は皮がむけやすく傷みやすい。掘る日は晴天が2日続いた後を選ぶ。
| 見えている症状 | 乾きか、過湿か | 打てる手 |
|---|---|---|
| 昼に垂れて夕方に戻る | 正常な反応 | そのままでよい |
| 朝から葉が垂れたまま | 乾き | その日のうちにたっぷり与える |
| 下葉から黄ばんで枯れる | 過湿による根の酸欠 | 通路の端に排水の溝を切る |
| 掘った芋がひび割れている | 乾いた土への急な多量潅水 | 少量を数日続けて土を戻す |
里芋の水やりに使うもの
畑の水やりは、回数より「一度にどれだけ入れるか」です。表面を濡らすだけの水やりは、かえって根を浅くします。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- ジョウロ(ハス口付き)探す言葉「ジョウロ 8L ハス口」
- 規格の目安
- 容量 8〜10L。ハス口の外せるものは株元へ直接注げます。
- 数量の目安
- 畝 1 本にたっぷり与えるなら 20〜30L(ジョウロ 3 杯前後)。
与えるなら根の深さまで届く量を。少量を毎日やると、根が表面にしか張らず、かえって乾きに弱くなります。
- 散水ノズル・ホース探す言葉「散水ノズル 園芸 切替」
- 規格の目安
- 水の出方を切り替えられるもの。ホースは 10〜20m。
苗のうちは霧、育ってからは株元へ。1 本で使い分けられると、生育の段階に合わせられます。
- 敷きわら・マルチ探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
水やりの回数を減らすいちばん確実な方法は、土を覆うことです。道具より効きます。
- 露地の畑は、根付いたあとは雨だけで足りる作物が多いです。毎日やる前提の道具はいりません。
- 自動潅水装置は、プランターが何鉢もあるようになってからで十分です。
里芋の収穫までのコツは作物ページに
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