一年の作業を月で追う
タアサイの栽培は九月から翌年二月までのおよそ半年です。作業そのものは種まき、間引き、追肥、収穫と単純ですが、防虫ネットを掛ける時期を外すと後の手間が何倍にもなります。
| 月 | 株の様子 | 作業 |
|---|---|---|
| 8月下旬 | 土作りの時期 | 石灰と堆肥を入れて耕す |
| 9月 | 発芽して双葉が開く | 種まき。防虫ネットを掛ける。一回目の間引き |
| 10月 | 本葉が増えて立ち上がる | 二回目、三回目の間引きと追肥 |
| 11月 | 葉が広がり始める | 若採りを開始。下葉の掃除 |
| 12月 | 霜で平たく張り付く | 本格的な収穫。甘みが乗る |
| 1月 | 生育が緩む | 収穫を続ける。水やりは控えめに |
| 2月 | 中心が立ち上がり始める | 穫り切る。とう立ち前に片づける |
| 3月 | 花茎が伸びる | つぼみを菜の花として食べる |
九月にすること
九月は種まきと虫よけの月です。残暑の中でまくので、地温が高く発芽は早い反面、コナガやアオムシの活動も盛んです。まいた直後からネットを掛けることが、この作物では何よりも効きます。
九月にまく前に、置き場所と道具をそろえておくと作業が滞りません。ネット、支柱、留め具は種と一緒に用意しておき、まいた当日に掛けられる状態にしておくのがこつです。
- まいたらすぐネット
- 支柱を立てて防虫ネットを掛け、裾を土で埋めます。隙間があるとそこから入って卵を産まれます。
- 毎日水を与える
- 発芽まで表面を乾かさないようにします。残暑の晴天では朝夕の二回になることもあります。
- 双葉で一回目の間引き
- 混み合ったところを抜き、株間三センチにします。込んだままだと徒長して細い株になります。
十月から十一月にすること
本葉が増えてくるこの時期に、間引きと追肥をそろえて済ませます。最終の株間三十センチを確保できるかどうかで、冬に平たく広がるかどうかが決まります。惜しまず抜いてください。
十一月に入ると若い株から順に穫れます。まだ小さい株はそのまま置き、霜に当ててから穫るとぐっと甘くなります。急がずに、株の大きさを見て順番を決めるのがこの時期のこつです。
この時期は雨のあとに株元を見る習慣を付けます。抜いた跡や間引きの跡が水を溜めていることがあり、そのままだと隣の株まで傷みます。土を寄せてならしておくだけで防げます。
- 株間を三十センチに
- 本葉五、六枚のころに最後の間引きをします。残す株は葉が厚く、左右そろっているものを選びます。
- 間引きに合わせて追肥
- 追肥(育ちの途中で足す肥料)として化成肥料を一平方メートルに一握り、株の周りにまいて軽く土と混ぜます。株元には当てません。
- 下葉を掃除する
- 黄色くなった外葉を取り除き、風を通します。株元に葉がたまると、そこから腐りが広がります。
十二月から一月にすること
霜が降りると葉が地面に張り付き、厚みと甘みが増します。この姿になってからが本当の食べどきです。寒さから守りすぎるとこの変化が起きないので、露地なら覆いは要りません。
寒さが厳しい年は、収穫のたびに株の様子を見て残す数を決めます。全部穫ってしまわず、少しずつ穫るようにすると、二月まで途切れずに食べ続けられます。
- 大きい株から穫る
- 直径二十センチを超えた株から順に、地際で切って収穫します。小さい株は残して育て続けます。
- 凍った朝は避ける
- 葉が凍っている朝に触ると割れます。日が当たって戻ってから穫ると、傷まずに持ち帰れます。
- 水やりを減らす
- 生育が緩み、土も乾きにくくなります。触って乾いていたら与える程度に減らし、凍る朝は日が出てからにします。
二月から三月にすること
二月の後半になると、株の中心が持ち上がってきます。これが花芽の合図なので、残っている株を穫り切ります。取り遅れても、伸びた花茎を菜の花として食べられるので無駄にはなりません。
二月に穫り切る計画にしておくと、次の作物の準備が三月から始められます。花茎まで楽しんでから片づけるなら、そのぶん春の作付けが遅れることも計算に入れておきます。
| 時期 | 株の様子 | すること |
|---|---|---|
| 2月上旬 | まだ平たい | 順に収穫する |
| 2月下旬 | 中心が立ち上がる | 残りを穫り切る |
| 3月 | 花茎が伸びてつぼみが付く | つぼみを摘んで食べ、株を片づける |
地域で時期がずれるときの読み替え
表は関東の平野部を基準にしています。寒冷地は種まきを二週間ほど早め、収穫は年内に済ませます。暖地はまき時を遅らせられますが、暖かすぎると平たく広がらないことがあります。
同じ市内でも、風の通る畑と建物に囲まれた庭とでは霜の降り方が違います。近所の畑の様子を見て、自分の場所が早いか遅いかをつかんでおくと、表を自分の暦に直しやすくなります。
| 地域 | 種まき | 注意 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 8月下旬〜9月上旬 | 年内に穫り切る。厳寒期は不織布を掛ける |
| 関東平野部 | 9月中旬〜10月上旬 | 露地で霜に当てて甘くする |
| 暖地 | 10月 | 霜が少ないと立ち性になりやすい |
タアサイの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
タアサイの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はタアサイの育て方にまとめています。
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