咲かない原因を株の姿で判断する
ホトトギスは日が短くなるのを感じて花芽を作る性質があり、九月下旬から十一月に咲きます。咲かない、花が少ないという相談の原因はほぼ、夏に葉を傷めて体力が足りなかったか、置き場所が暗すぎて茎が徒長(光を求めてひょろ長く伸びること)したか、夜間に街灯や室内の光が当たっていたかのどれかです。まず株の姿を見て原因を絞ります。
| 姿 | 考えられる原因 | 翌年への直し方 |
|---|---|---|
| 葉が夏に焼けて少ない。茎は短い | 夏の葉焼けと水切れ | 夏だけ遮光し、腐葉土で乾きを防ぐ |
| 茎が長く倒れ、葉は青いが花がない | 暗すぎる・肥料過多 | 午前の日が当たる場所へ。春の肥料を減らす |
| つぼみは付くが開かずに落ちる | つぼみの時期の乾きか急な寒さ | 九月からの水切れに注意。鉢は霜前に軒下へ |
| 夜も明るい場所で咲かない | 街灯や窓の光で日長を感じない | 夜暗くなる場所へ移す |
| 株が小さく茎が一〜二本 | 株の若さ・株分け直後 | 一年待つ。秋の追肥で株を太らせる |
花芽が作られるのは八月下旬から
花芽は日が短くなり始める八月下旬から九月にかけて、茎の先と葉の付け根で作られます。この時期に株が弱っていると花芽の数が減るため、七月から八月は花のためではなく葉を守るための管理と考えます。逆にこの時期に葉が青々としていれば、特別なことをしなくても咲きます。
つぼみが見え始めるのは九月中旬ころです。つぼみが見えてから乾かすと、開かずに落ちます。九月から十月は春と同じくらいこまめに土の乾きを確かめます。
- 八月末にリン酸の液肥
- 花芽が作られる時期に合わせ、リン酸の多い液体肥料を規定の倍に薄めて二週間おきに二〜三回与えます。窒素の多い肥料は葉ばかり茂るので避けます。
- 九月は水を切らさない
- つぼみが付いてからの乾きは落蕾の直接の原因です。鉢植えは毎朝土を触り、表面が乾いていたらたっぷり与えます。
- 夜は暗くする
- 玄関灯や窓の光が夜中も当たる場所では、日が短くなったことを感じられず咲きません。鉢なら夜暗い場所へ移します。
倒れやすい茎の支え方
ホトトギスは茎が弓なりに伸びて先に花を付ける性質があり、品種によっては長さが八十センチを超えます。倒れて地面に付くと花が汚れ、株の中心が蒸れて病気が出ます。夏のうちに支柱を立てるか、茎を切り詰めて低く仕立てるかのどちらかで対処します。
- 六月に摘心して低く仕立てる
- 摘心(茎の先を摘んで枝分かれさせること)を六月上旬までに一回行うと、高さが三分の二ほどに収まり、枝数が増えて花も増えます。七月以降に摘むと花芽を減らします。
- 支柱は株の中心に一本
- 株の中心に支柱を一本立て、茎を麻ひもでゆるく束ねます。一本ずつ結ぶより自然な姿になり、風で折れにくくなります。
- 垂れる姿を生かす
- 鉢植えなら高い台や吊り鉢に置き、茎を垂らして咲かせる方法もあります。タイワンホトトギス系の長く伸びる品種はこの仕立てが向きます。
支柱で立たせるより、摘心で低く仕立てるほうが手間が少なく花数も増えます。
品種で花の時期と姿が変わる
ホトトギスとひとくくりにされますが、日本の山野草系と台湾原産の系統では性質がかなり違います。丈夫で花付きが良いのはタイワンホトトギスとその交配種で、初心者はここから始めると失敗が少なくなります。
| 系統 | 花の時期と姿 | 育てやすさ |
|---|---|---|
| タイワンホトトギス | 9月下旬〜11月。紫の斑点、茎の先にまとまって咲く | 最も丈夫。地下茎でよく増える |
| ホトトギス(在来種) | 10〜11月。葉の付け根に一輪ずつ | やや乾きに弱い。半日陰が必須 |
| ヤマホトトギス・ヤマジノホトトギス | 8〜10月。花弁が反り返る | 山野草らしい。夏の暑さにやや弱い |
| キイジョウロウホトトギス | 10月。黄色い釣り鐘形、茎が垂れる | 湿度と涼しさが必要。上級者向け |
| 白花・園芸交配種 | 9〜11月。白や淡い桃色 | タイワン系交配なら丈夫 |
花後の手入れと翌年へのつなぎ方
花が終わったら花がらをこまめに摘むと、次のつぼみが開きやすくなり、種を作る養分を株に戻せます。全体の花が終わって葉が黄色くなったら、茎を地際で切り、株元に腐葉土を敷いて休眠に入らせます。
- 花がらは付け根から摘む
- しぼんだ花は付け根から指で摘み取ります。残すと種ができて株が疲れ、翌年の花が減ります。種を採りたい花だけ残します。
- 葉が青いうちは切らない
- 花後も葉が青い間は光合成で根に養分をためています。黄色く枯れてから切るのが目安で、早く切ると翌年の芽が弱くなります。
- 三年に一度は株分け
- 株が込み合うと中心の茎が細くなり花が減ります。花後か早春に掘り上げて三〜四芽ずつに分け、植え直します。
つぼみが落ちるときの原因と手当て
つぼみは付いたのに開かず落ちるのは、つぼみの時期の乾き、急な低温、株の体力不足のどれかです。九月から十月に鉢植えを乾かしてしまうことが最も多く、一日の水切れでもつぼみは黄色くなって落ちます。
落ちたつぼみは戻りませんが、水やりを立て直せば残りのつぼみは開きます。霜が早い年は、鉢を軒下に入れるだけで開花期間が二週間ほど延びます。
| 状態 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| つぼみが黄色くなって落ちる | 乾き | 毎朝土を触り、乾いていたら与える。腐葉土で覆う |
| つぼみが黒くなって落ちる | 霜・急な冷え込み | 鉢は軒下や壁際へ。地植えは不織布をかける |
| つぼみが小さいまま開かない | 株の体力不足 | 今年は諦め、翌年の夏に葉を守る |
| 先端の花だけ咲いて下は咲かない | 自然な咲き進み方 | 問題なし。上から順に一か月ほど咲く |
ホトトギスの花を咲かせ続けるのに使うもの
つぼみが上がってからやることは決まっています。摘む・支える・足す、の 3 つです。
- 液体肥料(リン酸多め)探す言葉「液体肥料 開花 リン酸」
- 規格の目安
- 1000 倍希釈の原液。N-P-K の真ん中(P)の数字が高いもの。
つぼみを作る時期はリン酸が要ります。窒素の多い肥料を続けると、葉ばかり伸びて花が上がりません。
- 花がら摘み用のはさみ探す言葉「園芸ばさみ 花がら摘み」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm、先の細いもの。
種を作らせないことが、次の花を咲かせる条件です。花の下の節まで切り戻すのが基本です。
- 支柱(草花用)探す言葉「園芸支柱 草花 リング」
- 規格の目安
- 直径 8mm・長さ 90〜150cm の細い支柱か、株ごと囲むリング支柱。
花の重みで倒れると、そこから茎が折れます。咲いてから立てるのでは間に合わないので、つぼみのうちに。
- 誘引用の麻ひも探す言葉「麻ひも 園芸 誘引」
- 規格の目安
- 太さ 2mm 前後。目立たない色のもの。
きつく縛ると茎が食い込みます。8 の字にゆるく掛けて、茎が太る余地を残します。
- 開花促進剤は、肥料と日当たりが足りているなら急ぎません。
- リング支柱がなくても、細い支柱 3 本を株の周りに立てて麻ひもで囲めば同じことができます。
ホトトギスの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はホトトギスの育て方にまとめています。
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