目的と株の状態で方法を選ぶ
ホトトギスは株分け、挿し芽、種まきのどれでも増やせますが、確実さと手間が違います。株を大きくしたい、込み合った株を整理したいなら株分け、同じ品種を数多く欲しいなら挿し芽、交配種を作りたいなら種まきと使い分けます。下の表で自分の目的に合う方法を選びます。
| 目的 | 向く方法 | 時期と確実さ |
|---|---|---|
| 込み合った株を整理し花を増やす | 株分け | 2月下旬〜3月・花後。ほぼ確実 |
| 同じ品種を五〜十株欲しい | 挿し芽 | 6月。八割ほど根付く |
| 斑入りなど親と同じ性質を残す | 株分け・挿し芽 | 種では斑が出ない |
| 交配して新しい花を作る | 種まき | 採りまき。開花まで二〜三年 |
| 植えて一年目の小さな株 | 増やさない | 株が三芽以上になるまで待つ |
株分けは芽を三〜四つずつ
株分けは芽が動き出す前の二月下旬から三月、または花が終わった十月下旬から十一月に行います。ホトトギスは地下茎が横に伸びて芽を増やすので、掘り上げると芽の付いた根の塊がいくつもつながっています。芽三〜四つを一株の目安に分けると、翌年から花が咲きます。
- 株を掘り上げる
- 株から十五センチほど離れた位置からスコップを入れ、地下茎を切らないよう大きめに掘り上げます。土を軽く落として芽の位置を確かめます。
- 芽を数えて分ける
- 芽三〜四つがひとかたまりになるよう、地下茎を手で割るか清潔なはさみで切ります。一芽だけの小さな株は根付きにくいので大きめに残します。
- 古い根と枯れた茎を取る
- 黒くなった古い根と前年の枯れ茎を切り取ります。白い根はなるべく傷めません。切り口が大きいときは半日ほど日陰で乾かしてから植えます。
- 元と同じ深さに植える
- 芽が地面すれすれに出る深さで植え、たっぷり水を与えます。植え付け後一週間は明るい日陰で管理します。
斑入り品種は緑葉に戻った芽が混じることがあります。株分けのときに緑葉だけの部分を外すと、斑を保てます。
挿し芽は六月に茎の先を挿す
六月に摘心(茎の先を摘んで枝分かれさせること)で切った茎の先は、そのまま挿し芽に使えます。ホトトギスの挿し芽は根が出やすく、湿った土に挿して日陰に置けば三〜四週間で根付きます。七月以降は暑さで腐りやすくなるので、六月中に済ませます。
- 茎の先を二節分切る
- 先端から葉二〜三枚の長さで切り、下の葉を一枚取って節を出します。切り口は水に三十分つけて水を吸わせます。
- 清潔な土に挿す
- 赤玉土小粒か挿し芽用の土に、節が埋まる深さで挿します。肥料の入った土は腐りの原因になるので使いません。
- 日陰で乾かさない
- 明るい日陰に置き、土が乾かないよう毎日確かめます。葉がしおれるなら霧吹きで葉を湿らせます。
- 根付いたら鉢上げ
- 三〜四週間して新しい葉が動き出したら根付いています。軽く引いて抵抗があれば、腐葉土を混ぜた土に植え替えます。
種まきは採りまきで翌春に発芽
花後に残した花からは、十一月から十二月に細長いさやができて種が採れます。種は乾かすと発芽率が落ちるので、採ったらすぐにまく採りまきが基本です。冬の寒さに当たって翌春三月から四月に発芽し、開花までは二〜三年かかります。斑入りの性質は種では伝わりません。
- さやが茶色くなったら採る
- さやが茶色くなって先が割れ始めたら、割れる前に摘んで紙袋に入れます。中の細かい種を集めます。
- 浅い鉢にすぐまく
- 赤玉土小粒を入れた鉢に種をばらまき、土はかけないか薄くふるいます。細かい種なので覆土は不要です。
- 冬は屋外で寒さに当てる
- 鉢を軒下に置き、土が乾かないよう管理します。寒さに当たらないと発芽が揃わないので、室内には入れません。
- 本葉三枚で植え替え
- 春に発芽して本葉が三枚になったら、一本ずつポットに移します。夏は日陰で乾かさず育て、翌春に定植します。
根付いたかの確かめ方
株分けや挿し芽のあと、根付いたかどうかは新しい葉が動くかで判断します。植えてから二〜三週間、葉が黄色くならず新芽が伸び始めていれば根付いています。逆に葉がしおれたままなら根が働いていないので、水やりと置き場所を見直します。
- 軽く引いて抵抗を見る
- 茎の根元を指で軽く引き、抵抗があれば根が出ています。すっと抜けるならまだなので、そっと戻して待ちます。
- 新芽の色を見る
- 新しく出る葉が明るい緑で張りがあるなら順調です。黄色っぽく小さいなら根が弱っており、水を控えて様子を見ます。
うまくいかないときの原因と立て直し
増やした株が枯れる原因は、株分けを小さくしすぎた、挿し芽の時期が遅く腐った、種を乾かして発芽しなかった、のどれかがほとんどです。原因が分かれば次の適期にやり直せるので、失敗した株は無理に助けず、次に生かします。
| 状態 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 株分けした小さな株が芽を出さない | 一芽だけで根が少なかった | 五月まで待つ。次は三〜四芽で分ける |
| 挿し芽の茎が黒くなって腐る | 七月以降の暑さ・土の肥料分 | 腐った茎は捨てる。次は六月に清潔な土で |
| 挿し芽がしおれて枯れる | 日が強い・乾き | 日陰に移し、霧吹きで湿度を保つ |
| 種をまいたが発芽しない | 種を乾かした・寒さに当てなかった | 翌年まで鉢を置いておく。次は採りまきで屋外に |
| 斑入りが緑葉に戻った | 種で増やした・緑の芽を残した | 緑の芽を外し、斑の部分だけ株分けで残す |
ホトトギスの挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
ホトトギスの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はホトトギスの育て方にまとめています。
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