症状から原因を絞る
梅の不調は、葉に出るもの、実に出るもの、幹に出るものに分けると原因を絞りやすくなります。まずどこに症状があるかを見て、次に時期を照らし合わせます。春先の葉と実の斑点はほぼ黒星病、初夏の新芽の縮れはアブラムシ、夏の幹の木くずはコスカシバというのが典型です。
| 症状 | 考えられる原因 | 見る時期 |
|---|---|---|
| 実に黒い小さな斑点が散る | 黒星病 | 4月〜6月 |
| 新芽の葉が縮れて丸まる | アブラムシ | 4月〜5月 |
| 幹の根元に木くずと樹脂 | コスカシバの幼虫 | 6月〜9月 |
| 葉に穴があき糸でつづられる | ケムシ類・ハマキムシ | 5月〜7月 |
| 枝の一部が急に枯れ樹脂が出る | 胴枯れ・こうやく病 | 通年(特に梅雨明け) |
| 葉が黄色く縮み穴があく | 縮葉病・穿孔病 | 3月〜5月 |
黒星病:実の斑点を防ぐ
黒星病は実に黒い点々が出る梅で最も多い病気です。食味には影響しませんが、梅干しにすると見た目が悪くなります。菌は前年の枝の病斑で冬を越し、四月から五月の雨で広がります。芽吹き前の散布と、雨の多い時期の前の散布で発生をかなり抑えられます。
- 芽吹き前に石灰硫黄合剤
- 二月の開花前か、三月の芽吹き前に石灰硫黄合剤を散布し、枝で越冬した菌を減らします。開花中の散布は花を傷めるので避けます。
- 落花後に殺菌剤
- 花が散って実が見え始めた四月上旬に、果樹用の殺菌剤を散布します。雨が続く予報の前に散布すると効きが良くなります。
- 病斑のある枝を冬に切る
- 枝に赤茶色のかさぶた状の斑点があれば菌の越冬場所です。冬剪定で切り取り、樹の外へ持ち出します。
アブラムシ:新芽の縮れを止める
四月から五月、新芽の先にアブラムシがつくと葉が縮れて丸まり、内側にびっしりと群がります。放っておくと新梢の伸びが止まり、排せつ物にすす病がついて葉が黒くなります。発生初期に見つければ手で対処でき、広がってからは薬剤が要ります。
- 新芽の裏を見る
- 四月に入ったら週に一度、新芽の先端と葉の裏を確かめます。葉が丸まりかけた枝を見つけたら、その先端ごと切って処分します。
- 少ないうちは水で流す
- 数が少ないうちは、ホースの水を勢いよく当てて落とします。テントウムシがいれば食べてくれるので、むやみに殺虫剤を使いません。
- 広がったら殺虫剤
- 多くの新芽に広がったら、果樹用の殺虫剤を葉の裏まで届くように散布します。収穫前の使用制限日数を確かめてから使います。
コスカシバ:幹の中の幼虫を取る
コスカシバは幹の皮の下に幼虫が入り、内側を食い荒らす害虫です。放置すると太い枝や幹が枯れ、樹全体が弱ります。成虫は六月から九月に幹の傷や割れ目に産卵するので、この時期に幹の根元を見て、木くずが出ていたら幼虫がいると判断します。
- 木くずと樹脂を探す
- 月に一度、幹の根元から一メートルほどの高さまでを見て、赤茶色の木くずと透明な樹脂が固まった場所を探します。
- 針金で幼虫を出す
- 木くずの出ている穴に細い針金を差し込み、幼虫をつぶすか引き出します。皮をナイフで少しめくると、幼虫の通り道が見えます。
- 幹に薬剤を塗る
- 六月から九月に幹の根元へ果樹用の殺虫剤を塗るか散布して、産卵と幼虫の侵入を防ぎます。幹の傷は癒合剤でふさぎます。
枝が枯れる病気と生理障害
枝の一部が急に枯れて樹脂が出るのは胴枯れ病やこうやく病が疑われます。こうやく病は枝にビロード状の膜が張るのが特徴で、カイガラムシの発生と関係があります。病気以外にも、実のつけすぎや強い剪定で樹が弱り、枝が枯れ込むことがあります。
| 見た目 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 枝に茶色や灰色の膜が張る | こうやく病(カイガラムシが媒介) | 膜を削り取り、冬に石灰硫黄合剤を塗る |
| 枝が急に枯れ樹脂が出る | 胴枯れ病・剪定の切り口からの侵入 | 枯れ枝を健全部まで切り戻し癒合剤を塗る |
| 葉が全体に黄ばみ枝先が枯れる | 根腐れ・水はけ不良 | 株元を高くし、水がたまらないよう溝を切る |
| 実が大量に落ちる | 実のつけすぎ・受粉不良・水切れ | 翌年の摘果を早め、五月の水を確保する |
薬剤を使わずに減らす工夫
家庭の梅では、毎年の予防と早期発見で薬剤の使用を最小限にできます。冬の剪定で風通しを良くし、落ち葉と病斑のある枝を片付け、株元を清潔に保つだけでも黒星病とコスカシバはかなり減ります。散布するなら開花前と落花後の二回に絞るのが目安です。
- 風通しを確保する
- 冬剪定で内側の混み合いを取り、雨の後に葉が早く乾く状態にします。湿った葉が長く続くほど黒星病が広がります。
- 幹の傷を作らない
- コスカシバは幹の傷に産卵します。草刈り機で幹を傷つけないよう、株元は手で草を抜きます。
- 落ち葉と剪定枝を持ち出す
- 病斑のある葉や枝は畑に残さず処分します。堆肥にすると菌が残ることがあるので、燃えるごみとして出します。
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