まず品種の組み合わせを決める
梅の多くの品種は自分の花粉では実がつきにくく、別の品種の花粉が必要です。苗木を一本だけ植えて何年も実がならない失敗は、ほとんどがこの相性の問題です。植え付け前に、実を採る品種と花粉を出す品種の二本を組み合わせるか、一本で実がつく品種を選ぶかを決めます。
| 品種 | 一本での結実 | 受粉樹の目安 |
|---|---|---|
| 南高 | つきにくい | 小梅や花香実などを近くに植える |
| 白加賀 | つきにくい | 南高や豊後と組み合わせる |
| 豊後 | 比較的つく | 他品種があると実つきが安定する |
| 小梅(竜峡小梅など) | 比較的つく | 他の中梅・大梅の花粉樹にもなる |
| 花香実 | 一本でつく | 他品種の受粉樹として優秀 |
開花期が近い品種同士を選びます。早咲きと遅咲きで花の時期がずれると、二本あっても受粉しません。
植え付けの時期と苗木の選び方
落葉している十一月下旬から二月が植え付けの適期で、関東平野部なら十二月か二月が扱いやすい時期です。寒冷地では厳冬期を避けて三月上旬に植えます。苗木は一年生の接ぎ木苗で、接ぎ口がしっかりくっつき、幹に張りがあるものを選びます。
- 接ぎ口を確かめる
- 根元から十センチほど上にある接ぎ口を見て、隙間や割れがないものを選びます。接ぎ口がぐらつく苗は活着が悪く、数年後に折れることがあります。
- 根の状態を見る
- ポット苗なら底から白い根が少し見える程度がよく、根が真っ黒で乾いているものは避けます。裸苗は根が乾かないよう、買った当日に植えるか湿らせた新聞紙で包みます。
- 芽の数を数える
- 幹に芽が多く、芽の間隔が詰まっているものを選びます。芽と芽の間が間延びした苗は日照不足で育ったもので、植えた後の枝の出方が悪くなります。
植え穴と土の準備
梅は水はけの良い土を好み、水が停滞する場所では根腐れから樹全体が弱ります。粘土質の畑では植え穴を広く掘り、周囲より十センチほど高く植える高畝にします。植え穴は直径と深さがそれぞれ五十センチ前後を目安に掘ります。
- 穴を掘って土を分ける
- 掘り上げた土のうち、上の黒い土と下の固い土を分けておきます。底に固い層があるなら、底をさらに二十センチほどほぐして水が抜ける道を作ります。
- 堆肥と苦土石灰を混ぜる
- 上の土に完熟堆肥をバケツ二杯、苦土石灰をひとつかみ混ぜて穴に戻します。梅は弱酸性から中性の土でよく育つので、酸性の強い畑では石灰を少し多めにします。
- 一週間なじませる
- 土を戻したら一度たっぷり水をやり、一週間ほど置いて土を落ち着かせてから植えます。掘った直後に植えると、土が沈んで苗が深植えになります。
植え付けの手順
植え付けで最も大切なのは接ぎ口を土に埋めないことと、深植えにしないことです。深く植えると根の呼吸が妨げられ、春の芽吹きが遅れます。植えた後は幹を五十センチ前後で切り戻すと、翌年の枝の出方が良くなります。
- 高さを合わせる
- 根鉢の上面が周囲の地面と同じか、やや高くなる位置に苗を置きます。接ぎ口は地面より十センチ以上上に出るように調整します。
- 土を戻して水で締める
- 土を半分戻したところで水をたっぷり注ぎ、根の間に土が入るように棒で軽く突きます。残りの土を戻してから、株元にドーナツ状の水鉢を作って再度水をやります。
- 支柱を立てて切り戻す
- 風で根が動かないよう、幹に沿って支柱を立てて八の字にひもで結びます。幹は地上五十センチほどの充実した芽の上で切り、春に出る枝を三本ほど育てます。
植え付け直後は肥料をやりません。堆肥だけで十分で、化成肥料を根に触れさせると根が傷みます。
鉢植えで育てるときの違い
ベランダで育てるなら八号から十号の深鉢に植え、二年から三年ごとに一回り大きな鉢へ植え替えます。用土は赤玉土七に腐葉土三の割合で、鉢底には軽石を敷いて水はけを確保します。鉢では地植えより実の数を減らし、一本あたり十から二十個を目安に摘果します。
| 鉢の大きさ | 苗の目安 | 植え替えの頻度 |
|---|---|---|
| 八号(直径二十四センチ) | 植え付け一年目の苗 | 翌年か翌々年に十号へ |
| 十号(直径三十センチ) | 三年目から結実期 | 二年ごとに根を整理して同じ鉢に戻す |
| 十二号以上 | 本格的に実を採る株 | 三年ごとに用土を入れ替える |
植えたあとに芽が動かないときの見分け
三月になっても芽がふくらまないと枯れたのではと不安になりますが、梅は植え付け一年目は芽吹きが遅れがちです。幹の皮を爪で少し削り、下が緑色なら生きています。茶色く乾いているなら根が活着していないので、深植えや乾燥を疑って原因を切り分けます。
- 幹の緑を確かめる
- 幹の途中を爪で一ミリほど削り、緑色でしっとりしていればまだ様子を見ます。四月中旬まで待っても芽が動かなければ、根の状態を確認します。
- 深植えなら植え直す
- 接ぎ口が土に埋まっているなら、四月までに掘り上げて浅く植え直します。根鉢を崩さずそっと持ち上げれば、この時期でも回復します。
- 水切れなら水鉢を作り直す
- 冬でも乾燥が続くと根が傷みます。株元の土が白く乾いていたら水をたっぷりやり、わらや腐葉土で覆って乾きを防ぎます。
梅の植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
梅の上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は梅の育て方にまとめています。
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