一年の流れを表で見る
梅は落葉果樹の中でも花が早く、二月に咲いて六月に実を採ります。その後の夏は翌年の花芽を作る時期、冬は剪定と寒肥の時期です。作業の山が春と冬に分かれるので、月ごとに何をするかを先に把握しておくと慌てません。
| 月 | 作業 | 目安・注意 |
|---|---|---|
| 1月 | 冬剪定・寒肥 | 花芽を確認して短い枝を残す。剪定は一月中に終える |
| 2月 | 開花・人工受粉 | 晴れた日の午前に筆で受粉。植え付けはこの月まで |
| 3月 | 結実の確認・草取り | 幼果が小豆大になる。芽吹き前に病害虫の予防散布 |
| 4月 | 摘果(一回目) | 混み合った実を間引く。アブラムシの発生に注意 |
| 5月 | 摘果(仕上げ)・水やり | 葉二十枚に一果が目安。実の肥大期は乾かさない |
| 6月 | 収穫・お礼肥 | 青梅は六月上旬〜中旬、完熟梅は下旬。収穫後に化成肥料 |
| 7月 | 夏剪定 | 真上に伸びる枝を手でもぎ取る。太い枝は切らない |
| 8月 | 水やり・害虫の見回り | 地植えも日照りが続けば水。コスカシバの食入痕を確認 |
| 9月 | 秋肥 | 少量の化成肥料。十月以降は与えない |
| 10月 | 草取り・落ち葉の片付け | 病葉を集めて処分し、翌年の病気の元を減らす |
| 11月 | 落葉・植え付け準備 | 落葉後に植え穴を掘り、堆肥を混ぜてなじませる |
| 12月 | 植え付け・寒肥・冬剪定開始 | 落葉が終わったら剪定を始める。寒肥はこの月から |
一月から三月:剪定と開花
一月は花芽と葉芽を見分けやすく、剪定に最もよい時期です。二月に花が咲いたら、受粉樹があっても晴れた日に筆で花粉を移すと実つきが安定します。三月には小さな実が見え始めるので、実がついたかどうかで受粉の成否を判断します。
- 一月中に剪定を終える
- 二月に入ると花が咲き始めて枝が傷つきやすくなります。花芽のついた短い枝を残し、長い枝を整理する作業は一月中に済ませます。
- 開花中は筆で受粉する
- 受粉樹の花を摘み、その花粉を筆で実を採りたい品種の花に軽くつけます。午前十時ごろの暖かい時間が花粉が出やすい頃合いです。
- 三月に結実を確かめる
- 花が散って二週間ほどで小さな実が残っていれば受粉できています。ほとんど落ちたなら受粉樹の相性や開花時期のずれを疑います。
四月から六月:摘果と収穫
実がつきすぎると小さい実ばかりになり、樹も疲れて翌年の花芽が減ります。四月に一度、五月に仕上げの摘果をして、葉二十枚あたり一果を目安に減らします。六月は用途に合わせて青梅と完熟梅を採り分け、収穫後にお礼肥を与えます。
- 四月に混み合いを間引く
- 一か所に三個以上ついた実は、傷のあるものと小さいものを落として一個か二個にします。この時期の実は指で軽くつまむと取れます。
- 五月に最終の数を決める
- 短い枝には一個から二個、長めの枝には三個から四個を目安に残します。葉の数に対して実が多いと感じたら、迷わず減らします。
- 六月に用途別に採る
- 梅酒や梅ジュースは青くて硬い六月上旬から中旬、梅干しは黄色く色づいて香りが出た下旬に採ります。
七月から九月:花芽を作る夏
収穫後の夏は、翌年の花芽が作られる大切な時期です。七月に真上に伸びる強い枝を取って樹の内側に日を入れ、八月の乾燥期には地植えでも水をやります。この時期に葉を病気や害虫で落とすと花芽が減るので、見回りを欠かさないようにします。
- 七月に若い枝を手で取る
- 太枝の上面から真上に出た枝は、柔らかいうちに手でもぎます。はさみで切るより、もぎ取った方が同じ場所から再び出にくくなります。
- 八月は幹の根元を見る
- コスカシバの幼虫が入ると幹の根元に木くずと樹脂が出ます。見つけたら針金で穴をつついて幼虫を取り出します。
- 九月に秋肥を少量
- 化成肥料をひとつかみ弱、株の周りにまきます。多く与えると枝が伸び続けて寒さで傷むので、控えめにします。
十月から十二月:片付けと植え付け
落葉が始まったら、病気の元になる落ち葉を集めて処分します。十一月に植え穴を準備し、十二月の落葉が終わったころに苗木を植え付けます。十二月からは寒肥と冬剪定を始められますが、剪定は一月まで待つと花芽が分かりやすくなります。
- 落ち葉を株元に残さない
- 黒星病や斑点のある葉が落ちたら集めて処分します。株元に残すと翌春の病気の発生源になります。
- 十一月に植え穴を掘る
- 新しく植えるなら、十一月に穴を掘って堆肥を混ぜ、土を落ち着かせてから十二月以降に植えます。
- 十二月に寒肥を埋める
- 枝先の真下に溝を掘り、油かすと骨粉と堆肥を入れます。同時に株元の覆いを敷き直します。
作業が遅れたときの立て直し
月ごとの作業を逃しても、樹が枯れることはまれです。ただし剪定と摘果の遅れは翌年の収穫に響くので、遅れた場合の対処を知っておくと安心です。二年続けて作業を飛ばさなければ、樹は元に戻ります。
| 場面 | 影響 | 立て直し |
|---|---|---|
| 剪定を一月中に終えられなかった | 花を落とすことになる | 混み合った枝だけ最小限に切り、残りは夏剪定に回す |
| 摘果をしないまま六月になった | 実が小さく翌年の花芽が減る | 小さい実は早めに採って加工し、お礼肥を確実に与える |
| 秋肥を十月以降に与えてしまった | 枝が伸び続けて寒さで傷む | 翌年の寒肥を減らし、傷んだ枝先は冬剪定で切る |
| 落ち葉を片付けなかった | 翌春に病気が出やすい | 三月の芽吹き前に殺菌剤を散布し、株元の覆いを新しくする |
梅の栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
梅の上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は梅の育て方にまとめています。
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