用途で収穫時期を決める
梅の収穫は六月の前半と後半で実の状態が大きく変わり、用途に合わせて時期を選びます。青くて硬い実は梅酒や梅ジュースに、黄色く色づいて香りが立った実は梅干しや梅ジャムに向きます。同じ樹から両方採りたいなら、上旬に半分を青梅で採り、残りを完熟させます。
| 用途 | 収穫の目安 | 実の見た目 |
|---|---|---|
| 梅酒・梅ジュース | 6月上旬〜中旬 | 全体が緑で硬く、爪を立てても傷がつきにくい |
| カリカリ梅 | 5月下旬〜6月上旬 | 小梅が緑で締まっている。大きくなる前に採る |
| 梅干し・梅ジャム | 6月中旬〜下旬 | 黄色く色づき、部屋に置くと甘い香りがする |
| 完熟梅の梅酒 | 6月下旬 | 黄色で少し柔らかい。落果直前の実を拾ってもよい |
青梅の採り方
青梅は実がふくらみきって、表面の産毛が薄くなったころが採りごろです。品種にもよりますが、南高なら直径三センチから四センチ、小梅なら二センチ前後が目安です。雨の日に採ると傷みやすいので、晴れが二日続いた後の午前中に採ります。
- 実を軽くひねって取る
- 実を手で持ち、軽く上にひねると枝から外れます。引っ張ると短い枝ごと折れて翌年の花芽を失うので、ひねるようにします。
- 傷をつけない
- 採った実は硬いかごに入れ、投げ入れません。傷がついた実は梅酒に使うと濁りの原因になるので、加工用に分けます。
- 採ったらすぐ水につける
- 青梅は採った後もどんどん黄色くなります。梅酒にするなら当日か翌日までに、水にさらしてあくを抜いて漬けます。
- 高い枝は脚立と長柄のはさみで
- 手が届かない枝は脚立を安定した地面に立て、無理に引き寄せません。枝を引っ張ると折れて翌年の実がつく枝を失います。
完熟梅の見極めと追熟
梅干しには黄色く熟した実を使います。樹の上で完熟するのを待つと落ちて傷むので、少し黄色がかった段階で採り、室内で追熟させるのが確実です。追熟は新聞紙を敷いたかごに重ならないように並べ、風通しの良い日陰に一日から三日置きます。
- 色と香りで判断する
- 実の半分以上が黄色くなり、かごに入れておくと部屋に甘い香りが広がったら漬けごろです。全体が黄色で少し柔らかい実が梅干しに最も向きます。
- 追熟は重ねない
- 実を重ねると下の実が傷みます。一段に並べ、毎日様子を見て黄色くなったものから使います。
- 落ちた実は当日に使う
- 樹の下に落ちた完熟梅は傷がなければ使えますが、傷みが早いので拾った当日に加工します。
追熟中に茶色い斑点が広がった実は傷み始めています。取り除いて、残りの実に移らないようにします。
収穫量の目安と摘果の関係
植え付けから三年目ごろに実がつき始め、五年目以降で本格的な収穫になります。成木一本で十キロから三十キロ採れますが、実の数が多すぎると小さくなるので、四月から五月の摘果で葉二十枚に一果を目安に減らします。摘果した実は小さくてもカリカリ梅にできます。
| 樹の状態 | 収穫量の目安 | 実の扱い |
|---|---|---|
| 三年目まで | 数個〜数十個 | 樹を育てる時期。実は少なめに残す |
| 四〜六年目 | 三〜十キロ | 摘果を始め、実の大きさをそろえる |
| 七年目以降の成木 | 十〜三十キロ | 青梅と完熟梅を採り分ける |
| 鉢植え | 十〜二十個 | 実を減らして株の負担を軽くする |
摘果した小さな実は捨てずにカリカリ梅や梅みそにできます。四月の摘果分は種がまだ柔らかく、丸ごと使えます。
採った後の保存
青梅は日持ちが短く、常温では二日から三日で黄色くなります。すぐ加工できないなら、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で五日ほど持たせます。長期保存するなら、あく抜きしてへたを取った実を冷凍しておくと、後日そのまま梅酒や梅シロップに使えます。
- へたを取って水気を拭く
- 竹串でへたを取り、水にさらしてから一粒ずつ水気を拭きます。水気が残ると冷蔵でも傷みやすくなります。
- 冷凍なら一年持つ
- 拭いた実を冷凍用の袋に入れて凍らせます。冷凍した梅は繊維が壊れて漬けると早くエキスが出るので、梅シロップに向きます。
- 完熟梅は冷蔵しない
- 完熟梅は冷蔵すると低温で傷みます。追熟させてから二日以内に漬けるか、傷まないうちに冷凍します。
実がつかない・落ちるときの切り分け
花は咲くのに実が採れないという相談で多いのは、受粉樹がない、五月に実が落ちる、実が小さいまま止まるの三つです。それぞれ原因が違うので、いつ、どの段階で実がなくなるかを見て切り分けます。
| 場面 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 花は咲くが実にならない | 受粉樹がない・開花期のずれ | 受粉樹を追加するか、他品種の花粉を筆でつける |
| 三月に小さな実が全部落ちる | 受粉不良・開花中の霜 | 人工受粉を行い、霜の予報の夜は不織布で覆う |
| 五月に実が落ちる | 実のつけすぎ・水切れ・肥料不足 | 早めの摘果と五月の水やり、お礼肥の確保 |
| 実が小さいまま六月になる | 実の数が多い・樹の勢いが弱い | 摘果を強め、寒肥を見直す |
梅の収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
梅の上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は梅の育て方にまとめています。
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