八か月かかる長い作物
ヤーコンは四月に植えて十一月に掘り上げる、生育期間の長い作物です。その代わり手のかかる時期は限られていて、六月と七月の土寄せと追肥さえ済ませれば、あとは秋を待つだけになります。
夏はほとんど太らず、涼しくなる九月から十月に一気にイモが大きくなります。夏の見た目で判断せず、霜が降りるまで待つのが量を取るこつです。
| 月 | 株の様子 | その月の仕事 |
|---|---|---|
| 4月 | 植え付け | 深く耕して種イモを埋める |
| 5月 | 芽が出る | 遅霜に注意、乾かしすぎない |
| 6月 | 草丈三十センチ | 一回目の追肥と土寄せ |
| 7月 | 急に伸びる | 二回目の追肥と高い土寄せ |
| 8月 | 背丈ほど | 水やり中心、台風に備える |
| 9月から10月 | イモが太る | 土寄せの補修、肥料は足さない |
| 11月 | 霜で地上部が枯れる | 掘り上げと追熟、種イモの保存 |
四月と五月は待つ時期
植えてから芽が出るまで二週間から三週間かかります。何も起きない期間が長いので、掘り返したくなりますが我慢します。この時期にできるのは、乾かしすぎないことと遅霜から守ることだけです。
芽が出そろったら、一株から複数の芽が出ている場合は勢いのよい二本を残します。全部伸ばすと株が混み合い、イモが小さくなります。
五月は雑草が伸びる時期でもあります。芽が小さいうちは草に埋もれやすいので、株のまわりだけでも早めに取り、光が当たるようにしておきます。
- 四月中旬に植える
- 芽の面を上にして深さ十センチに埋め、株間を六十センチ以上取ります。植えたあとに軽く水を与えます。
- 霜から守る
- 芽が出たあとに冷え込む予報が出たら不織布をかけます。地上部が傷んでも根が無事なら出直します。
- 芽を二本に絞る
- 複数の芽が出たら太い二本を残し、他は根元から切ります。混み合うとイモの数は増えても小さくなります。
六月と七月は手をかける二か月
この二か月に、追肥(育ちの途中で足す肥料)と土寄せを二回ずつ行います。ここさえ済ませれば秋までの手入れはほとんど要りません。逆にここを飛ばすと、倒れやすく緑のイモが多い株になります。
梅雨の雨は水やりの代わりになりますが、水はけの悪い畑では根が傷みます。畝のまわりに浅い溝を切って、水の逃げ道を作っておきます。
- 六月下旬の作業
- 株から離して化成肥料をひとつかみまき、畝の間の土を浅く削って株元に五センチ寄せます。
- 七月下旬の作業
- 同じ量の肥料をまいてから、株元に十センチ高く土を盛ります。これで倒れにくくなります。
- 排水を作る
- 畝のまわりに浅い溝を掘り、雨水が抜けるようにします。梅雨のあいだの根の傷みを防げます。
八月から十月は見守る時期
肥料はもう足しません。することは水やりと、台風で倒れないようにすることだけです。九月に入って気温が下がると新しい葉が出て、そこからイモが本格的に太り始めます。
この時期に肥料を足したくなりますが、我慢します。秋に窒素分を入れると葉が茂り直してイモに力が回りません。することは水やりと支えの確認だけだと割り切ります。
| 時期 | 地下の様子 | すること |
|---|---|---|
| 8月 | ほとんど太らない | 水やりと台風への備え |
| 9月 | 太り始める | 土寄せの崩れを補う |
| 10月 | 急に大きくなる | 掘らずに待つ |
十一月は掘り上げと保存
霜が降りて地上部が黒く枯れたら掘り上げの合図です。枯れる前に掘ると太りきっていません。掘り上げたイモは一週間から二週間ほど陰干しすると甘くなり、翌年の種イモになる株元の部分は別に保存します。
掘る日は晴れが二日以上続いたあとを選びます。土が乾いていればイモが折れにくく、土も手で払い落とせます。掘ったあとの陰干しも早く進み、傷みにくくなります。
掘り上げたその日に全部を片づけようとすると、雑に扱ってイモを傷めます。株を起こすところまでを午前に済ませ、土を払って並べる作業は午後にゆっくり行うくらいの余裕を見ておきます。
- 地上部を刈る
- 枯れた茎を地際から二十センチほど残して刈り取ります。残した部分が掘るときの持ち手になります。
- 外側から掘る
- 株から三十センチ離した場所から掘り始め、少しずつ内側へ寄せます。真上から掘るとイモを傷つけます。
- 種イモを分ける
- 株元のこぶ状の部分を切り分け、凍らない場所で保存します。翌年の植え付けに使えます。
遅れたときの立て直し
植えるのが遅れた、土寄せを忘れた、掘る前に霜が続いたといった場合も、ほとんどは取り返せます。ヤーコンは秋に一気に太るので、夏までの遅れは思ったほど響きません。
どうしても手が回らなかった年でも、株を抜かずに置いておけば地上部が枯れるまでイモは太り続けます。あきらめて放置するより、十一月に掘るという一点だけを守るほうが収穫は残ります。
| 場面 | 取り戻し方 | 収穫の見込み |
|---|---|---|
| 六月に植えた | 追肥と土寄せを一回にまとめる | やや小ぶりだが穫れる |
| 土寄せを忘れた | 九月に高く盛って露出を覆う | 緑のイモを減らせる |
| 霜が何度も降りた | 早めに掘り上げる | 凍る前なら問題ない |
ヤーコンの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
ヤーコンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はヤーコンの育て方にまとめています。
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