食べるイモと植えるイモは別物
ヤーコンには二種類の地下の部分があります。株元にかたまってできる小さなこぶのような部分が翌年の種イモになり、その下に伸びる大きくて水分の多い部分が食べるイモです。この違いを知らずに大きいほうを植えても芽は出ません。
売り場では春先に種イモとして小さなこぶの付いた株元の部分が並びます。芽の出る小さな点が付いているものを選び、乾いてしぼんだものは避けます。
| 種類 | 見た目 | 使い方 |
|---|---|---|
| 株元のこぶ状の部分 | 赤紫がかっていて小さい | 芽が出る。翌年の種イモにする |
| 下に付く大きなイモ | 薄い茶色で水分が多い | 食べる。植えても芽は出ない |
| 苗として売られる株 | すでに葉が出ている | 五月にそのまま植える |
植え付けは四月中旬から五月上旬
ヤーコンはアンデス生まれで、寒さには比較的強いものの、遅霜に当たると芽が傷みます。関東の露地なら四月中旬から五月上旬が植えどきで、芽が地上に出るころに霜の心配がなくなるように逆算します。
植えてから芽が出るまでは二週間から三週間かかります。動きが遅く不安になりますが、土を掘り返さずに待ちます。芽が出るまでの水やりは、乾ききったときだけで十分です。
- 深さ十センチに埋める
- 芽の付いた面を上にして、深さ十センチほどの穴に置きます。浅いと乾いて芽が動かず、深すぎると出るまでに時間がかかります。
- 株間を六十センチ取る
- 地上部が背丈ほどまで茂るので、株と株は六十センチから八十センチ空けます。詰めるとイモが小さくなります。
- 土をかけて押さえる
- 掘った土を戻し、手のひらで軽く押さえます。押さえないと隙間ができて乾き、芽の動きが遅れます。
- 芽が出るまで待つ
- 二週間から三週間は変化がありません。心配になっても掘り返さず、土の表面が乾いたときだけ水を与えます。
遅霜のある地域では、芽が出たあとに寒い日が続くようなら不織布をかけて守ります。地上部が傷んでも根が残っていれば芽は出直します。
土は深く耕して水はけを作る
食べるイモは地中三十センチほどまで伸びます。硬い層があるとそこで曲がったり又に分かれたりするので、植え付けの二週間前に深さ三十センチまでよく耕しておきます。石も取り除いておくと形のよいイモになります。
水はけの悪い場所ではイモが腐りやすくなります。高さ十五センチほどの畝を立て、雨のあとに水がたまらないようにします。逆に乾きすぎる砂地では、堆肥を多めに入れて水持ちを補います。
- 深く耕す
- 深さ三十センチまで掘り返し、大きな石や根を取り除きます。ここでの手間がイモの形にそのまま出ます。
- 堆肥を入れる
- 一平方メートルあたり二リットルほどの堆肥を入れて混ぜます。ふかふかの土のほうがイモが素直に伸びます。
- 元肥は控えめに
- 元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)は表示の量の半分ほどにします。多いと葉ばかり茂ってイモが太りません。
- 畝を立てる
- 高さ十五センチの畝を作ります。水はけが良くなり、秋の掘り上げのときにも作業がしやすくなります。
容器で作るなら大きさが要る
ベランダでも作れますが、イモが下へ伸びる作物なので容器の深さがそのまま収穫量になります。深さ四十センチ以上、容量にして三十リットル以上を用意し、一株だけ植えます。浅い容器ではイモが曲がって小さくなります。
容器の土は夏に乾きやすいため、真夏は毎朝の水やりが要ります。受け皿に水をためたままにするとイモが腐るので、余った水は捨てます。
| 容器 | 植える株数 | 見込みの収穫 |
|---|---|---|
| 深さ四十センチ以上の大鉢 | 一株 | 食べるイモが二個から四個 |
| 土のう袋を二重にしたもの | 一株 | 深さが取れるなら畑に近い |
| 一般的な長方形の容器 | 向かない | 深さが足りずイモが太らない |
植える場所の選び方
一日中よく日の当たる場所を選びます。背丈ほどまで伸びるので、まわりの作物に日陰を作らないよう、畑の北側か端に配置するのが定石です。風の強い場所では倒れるため、風下に支えになるものがあると安心です。
同じキク科を続けて作った場所は避けます。ヤーコン自体は連作にそれほど弱くありませんが、二年から三年空けるほうがイモの太りが安定します。
- 畑の北端に置く
- 背が高くなるので、他の作物に日陰を作らない位置を選びます。畝の向きは南北にすると光が回ります。
- 風を考える
- 秋に強い風を受けると倒れます。建物や生け垣が風よけになる場所を選ぶか、支柱を立てる前提で場所を決めます。
- 前の作物を確かめる
- 同じ場所で続けて作るなら二年から三年空けます。難しければ土を入れ替えた容器づくりに切り替えます。
芽が出ないときの切り分け
植えてから一か月たっても芽が出ないときは、種イモそのもの、深さ、温度の順に確かめます。ヤーコンで多いのは、食べるイモを間違えて植えていた場合と、種イモが乾いてしぼんでいた場合です。
- 掘って確かめる
- 一株だけそっと掘り、種イモが腐っていないか見ます。硬くしまっていればまだ動いている途中なので埋め戻します。
- 植えた部分を疑う
- 大きくて水分の多いイモを植えていた場合は芽が出ません。株元のこぶ状の部分を手に入れて植え直します。
- 地温を確かめる
- 朝に土を触って冷たいままなら温度が足りていません。透明なシートをかけて地温を上げると、種イモが動き始めます。
- 苗に切り替える
- 五月下旬になっても出なければ、葉の出た苗を買って植えます。六月上旬までなら秋の収穫に間に合います。
ヤーコンの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
ヤーコンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はヤーコンの育て方にまとめています。
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