系統によって作りやすさが違う
山芋と呼ばれる仲間には、まっすぐ長く伸びるナガイモ、太く短いイチョウイモやヤマトイモ、そして野生に近いジネンジョがあります。家庭菜園でどれを選ぶかで、掘るときの深さと手間が大きく変わります。
初めてなら、粘りが強くて短く育つイチョウイモかヤマトイモが向いています。ジネンジョは味も香りも別格ですが、一メートル以上まっすぐ掘り下げる必要があり、体力と場所を選びます。

| 系統 | 形と味 | 掘る深さの目安 |
|---|---|---|
| ナガイモ | 細長く水分が多い。すりおろしがさらり | 60〜100センチ。畑向き |
| イチョウイモ | 扇形で粘りが強い。家庭菜園に向く | 40〜60センチ。掘りやすい |
| ヤマトイモ | こぶし形で粘りが最も強い | 30〜50センチ。最も掘りやすい |
| ジネンジョ | 細く長く、香りが強い | 100センチ以上。波板やパイプが要る |
種芋は切って乾かしてから植える
山芋は芋を切り分けたものを種芋にします。市販の種芋は五十グラムから百グラムに切られていますが、自分で切るときは一片が七十グラムほどになるよう分けます。小さすぎると育ちが遅く、収穫の芋も小さくなります。
切り口をそのまま土に入れると腐ります。切ったあとは草木灰か石灰を切り口に付け、風通しのよい日陰で三日から一週間乾かして、切り口が白くかさぶたのようになってから植えます。
- 頭と尾を分けて切る
- 芽の出る頭側は育ちが早く、尾側は遅れます。植える場所をまとめておくと、育ちのそろわない列ができません。
- 切り口に灰を付ける
- 切ったらすぐ草木灰や石灰の粉をまぶします。腐りを防ぐ処置で、これを飛ばすと畑で溶ける芋が出ます。
- 日陰で三日乾かす
- 新聞紙の上に並べ、風の通る日陰に置きます。切り口が乾いて色が変わったら植えられます。
- むかごを使う手もある
- 秋に採ったむかごを翌春にまくと、一年目に小さな芋、二年目に食べられる芋になります。時間はかかりますが種芋代が要りません。
市販の種芋は切り口が処理済みのものが多く、そのまま植えられます。袋の表示を見て、処理済みなら乾かす手間は不要です。
植えるのは四月、深さ十センチ
植え付けは桜が散るころ、地温が十五度を超える四月中旬から五月上旬が目安です。早く植えても地温が低いと動かず、逆に腐る危険が増えます。遅れると秋までに芋が太りきりません。
深さは十センチ前後、株間は三十センチ、条間は七十センチが標準です。芽の向きは横向きか上向きにし、芋を寝かせて置きます。深く植えるほど掘り出しが大変になるので、必要以上に深くしません。
- 深く耕しておく
- 植える前に深さ五十センチまで耕し、石やかたい層を取り除きます。ここで手を抜くと芋が曲がって商品にならない形になります。
- 溝を切って寝かせる
- 深さ十センチの溝を切り、種芋を三十センチ間隔で横に寝かせて並べます。切り口を下にしないほうが腐りにくくなります。
- 土をかけて印を立てる
- 十センチほど土をかけます。芽が出るまで一か月近くかかるので、位置に支柱を挿して目印にしておきます。
掘る手間を減らす植え方
ナガイモやジネンジョは深く潜るので、収穫が一日仕事になります。これを避けるために、斜めに置いた波板やパイプの上に種芋を植え、芋を横に伸ばす方法が広く使われています。
波板を使うと、掘るのは三十センチほどで済み、まっすぐきれいな芋が穫れます。用意する手間はかかりますが、一度作れば毎年同じ場所で使い回せるのが利点です。
- 斜めに波板を埋める
- 深さ三十センチの溝を掘り、波板を十度から二十度の傾きで底に敷きます。板の高いほうの端に種芋を置きます。
- 芋を板の上に乗せる
- 板の上端から五センチほど内側に種芋を寝かせます。芋は板に沿って下へ伸びていきます。
- パイプでも代用できる
- 縦に割った塩化ビニルの管に土を詰めて埋める方法もあります。掘るときは管ごと引き上げられます。
土づくりは深さがすべて
山芋は根ではなく地下の茎が太ったものなので、土がかたいとそこで曲がったり分かれたりします。石や粘土の層があると、その形のまま芋が変形します。深く耕して障害物を取ることが、形のよい芋への近道です。
肥料は元肥(植える前に入れる肥料)を溝の底より下に入れ、種芋に直接触れないようにします。芋が肥料に当たると、そこで傷んだり枝分かれしたりします。
- 五十センチ掘り返す
- スコップで一段ずつ掘り上げ、石と根を取り除いて戻します。手間はかかりますが形の良し悪しを決める作業です。
- 肥料は下に入れる
- 堆肥と化成肥料を溝の底に入れ、その上に五センチ土をかぶせてから種芋を置きます。直接触れさせません。
- 高い畝を立てる
- 水はけの悪い畑では二十センチの高畝にします。芋が水に浸かると腐りが一気に広がります。
山芋は連作を比較的よく我慢しますが、二三年続けると芋の太りが落ちます。四年に一度は場所を替えるのが安全です。
植え付けでつまずいたときは
山芋は芽が出るまでが長く、五月に入っても地上に何も見えないと不安になります。掘って種芋の状態を確かめれば、待つべきか植え直すべきかが判断できます。
- 芽が出ない
- 植えてから一か月は動きません。そっと掘って芋が固ければ健全なので、埋め戻して待ちます。
- 種芋が黒く崩れた
- 切り口の乾かし不足か水はけ不足です。畝を高くし、乾かした種芋を植え直せば七月上旬までは間に合います。
- 芽が一本も見えない列
- 深く植えすぎている場合があります。十センチを超えて埋めていたら、上の土を少しどけて地温を上げます。
- 芽が複数出た
- 一つの種芋から二三本出たら、太い一本を残して他を地際で切ります。残すほど芋が分かれて小さくなります。
山芋の植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
山芋の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は山芋の育て方にまとめています。
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