一年の流れをつかむ
山芋は四月に植えて十一月に掘ります。長く畑を占めますが、手がかかるのは植え付けと収穫、それに夏の水やりだけで、途中の管理はほとんど要りません。
畑を八か月占めるので、同じ場所で他の作物を回すことはできません。区画の使い方を決めるときは、山芋の列を先に決めてから残りを配ると計画が立てやすくなります。
| 時期 | 作業の山 | かかる手間 |
|---|---|---|
| 3月〜4月 | 土づくりと種芋の準備、植え付け | 深く耕すので一日仕事になる |
| 5月〜6月 | 支柱立て、つるの誘導、草取り | 半日ずつ二三回 |
| 7月〜9月 | 水やりと見回り、追肥 | 乾いたら水。数日に一度見る |
| 10月〜11月 | つるが枯れたら掘り取り | 掘るのに半日から一日 |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした目安です。寒い地域は植え付けを半月ほど遅らせ、暖かい地域は収穫を十二月まで延ばせます。地温と霜の時期で前後するので、住んでいる場所の気候に合わせて読み替えてください。
山芋は日付よりつるの状態で判断する場面が多い作物です。表の月はきっかけとして使い、実際にはつるの伸びと枯れ方を見て前後させてください。
| 月 | やること | 見るところ |
|---|---|---|
| 3月 | 畑を深さ五十センチまで耕す | 石とかたい層を取り除く |
| 4月 | 種芋を切って乾かし、植え付け | 切り口が白く乾いてから植える |
| 5月 | 支柱を立てる。芽が出るのを待つ | 一か月出なくても慌てない |
| 6月 | つるを誘導、一回目の追肥、草取り | つるが一メートルになったころ |
| 7月 | 敷き草をする。乾いたら水やり | 昼のしおれが夕方に戻るか |
| 8月 | 二回目の追肥。水切れに注意 | 芋が太る時期。水を切らさない |
| 9月 | 台風に備えて支柱を点検 | むかごを採るならこのころ |
| 10月 | 水と肥料を止める | 葉が黄色くなり始める |
| 11月 | つるが枯れたら掘り取り | つるが完全に茶色くなってから |
三月と四月の準備が肝心
山芋の出来は、植える前の土づくりでほぼ決まります。深く耕して石を取り除く作業は地味ですが、これを飛ばすと曲がった芋や分かれた芋ばかりになり、掘るときにも折れやすくなります。
- 三月に深く耕す
- スコップで五十センチまで掘り上げ、石と古い根を取り除いて戻します。土が乾いている日を選ぶと作業が軽くなります。
- 四月上旬に種芋を切る
- 七十グラムほどに切り分け、切り口に草木灰か石灰を付けて、風の通る日陰で三日から一週間乾かします。
- 四月中旬に植える
- 地温が十五度を超えたころに深さ十センチで植えます。その日のうちに支柱まで立ててしまうと、あとで芋を傷めません。
波板やパイプを使う植え方をするなら、三月のうちに材料をそろえておきます。植え付け当日に用意を始めると時期を逃します。
夏は見回りだけの時期
七月から九月は、山芋にとって芋が太る大事な時期ですが、人がやることは水やりと見回りだけです。手を出しすぎず、つるを傷めないようにするのがこの時期の心得です。
この時期にやってはいけないのは、つるを整理しようとして切ることです。葉が作った養分がそのまま芋になるので、混みすぎた内側の黄色い葉以外は残しておきます。
| 状態 | 判断 | やること |
|---|---|---|
| 葉が濃い緑で棚を覆う | 順調 | 水やりだけ続ける |
| 昼だけしおれる | 問題なし | 夕方に戻るなら放っておく |
| 朝もしおれている | 水切れ | その日にたっぷり与えて敷き草をする |
| 葉が黄色く落ち始める | 早すぎる枯れ | 病気か根の傷み。株元を確かめる |
地域でずれる時期の目安
山芋の作業時期は、春の地温と秋の霜で決まります。地温が十五度に届かない時期に植えても動かず、霜でつるが枯れてからが収穫の合図になります。
凍る地域では、芋を土に置いたままにすると傷みます。霜が続く前に掘り上げ、室内で新聞紙に包んで保存するほうが確実です。逆に暖かい地域なら、畑を空ける必要がなければ春まで置いておけます。
| 地域 | 植え付け | 収穫 |
|---|---|---|
| 寒い地域 | 5月上旬〜中旬 | 10月中旬〜11月上旬 |
| 関東の平野 | 4月中旬〜5月上旬 | 11月〜12月上旬 |
| 暖かい地域 | 4月上旬〜下旬 | 11月下旬〜翌2月まで置ける |
時期の判断で迷ったときは
山芋は地下の様子が見えないぶん、時期の判断に迷いがちです。困ったときは日付ではなく、つるが伸びているか枯れているかを基準にすれば大きく外しません。
- 五月に芽が出ない
- 植え付けから一か月は動かないのが普通です。掘って芋が固ければそのまま埋め戻して待ちます。
- 十月でもつるが青い
- 肥料が遅くまで効いています。掘るのは霜が降りて枯れてからにすれば、芋の太りが最後まで進みます。
- 掘る日を決められない
- つるが完全に茶色くなればいつでも掘れます。畑に置いたままでも冬を越すので、天気のよい日を選んでください。
- 追肥の時期を逃した
- 八月を過ぎてから気づいたなら、その年は足さずに水やりに専念します。秋の追肥(育ちの途中で足す肥料)は葉を伸ばすだけで芋には回りません。
山芋の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
山芋の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は山芋の育て方にまとめています。
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